第14話 一之瀬!最大の危機!!
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風介と別れて、ひとまず皆がどこへ行ったか確認しようと思ったらその前に携帯が鳴った。なっちゃんからだ。……ああ、これ前にもあったな。
「も、もしもし」
「ああもう、やっと出たわね!説明は後よ。美波、今から言う場所へ直ぐに来なさい!」
早口に場所を言われて電話は切れた。焦った口ぶりだったけど何かあったのかな?とにかく言われた場所に行く為に、ここら辺に住んでそうな人に聞いてみる。よし、わかった!
急ぎ足でついた先にはグラウンドがあって、そこでは試合が行われていた。相手チームは女の子だけのチームみたいだ。
パッと見ただけでも劣勢なのがわかる。なんか皆の動きがぎこちない。そして前半が終わって0ー1。……負けてる。とりあえず皆の所へ。
「遅くなってごめんなさい!」
「美波ちゃん!どこに行ってたの?」
「……ナニワランドを回ってました」
「随分と遅かったな」
「ごめん鬼道いたたたたた」
「よく伸びるな」
「やめろ鬼道」
「遅れたのは美波だ」
鬼道にみょんと頬を引っ張られた。地味に痛い。奈良に続いて遅れてきたのはこれで2回目だから、返す言葉も無くて甘んじて受けるしかない。
でもちょっとやり返したくて、そーっと後ろからゴーグルのゴムを引っ張ろうとしたら普通にバレた。ですよね。
「前半最後だけ見たけど、皆いつもより動けてなかったよね」
「なんか調子狂うっていうか……」
「彼女達、独特な動きをするんだよ。それに惑わされたっていうか」
「風丸なんて踊ったもんな」
「え?」
「やめてくれ……」
一郎太はプリマドンナという技で華麗に抜かれたそうだ。不覚だったとかなんとか。そう説明してくれた土門の隣で、一之瀬はどこか遠くを見ていた。
なんでもこの試合は一之瀬の今後がかかっていて、もし負けたら
一之瀬は雷門を抜けて対戦相手である大阪ギャルズCCCのキャプテン――浦部リカと結婚することになってるらしい。
いや何で結婚……?食べたお好み焼きが、ら、ラブラブ焼き?だった?何それ……あたしがいない間に何が……。
「まだ結婚出来る歳じゃないよね」
「そういう問題じゃないんだよ!俺は結婚する気なんて無いんだ!」
「何であの子は結婚とか言い出したのさ」
「一之瀬くんに一目惚れしたんだって」
「一応言っておくけど俺は本当に何もしてないからな!?お好み焼きを食べはしたけど!」
一之瀬が言うにはナニワランドを探索してたら突然声をかけられて、お好み焼き屋さんに連れてかれて、出されたのがラブラブ焼きだったと。
何で一目惚れから結婚まで飛んだのかわからないけど、一之瀬は雷門サッカー部の仲間なんだ。こんなところでお別れになんてさせない。絶対に勝つ!
後半からはあたしも試合に出ることになった。開始早々、ボールを持ったしろ君が猛然とゴールへ駆け上がる。早速エターナルブリザードで同点に追いついた。
前半は見慣れない動きで翻弄されたけど、気にしさえしなければどうってことない。普段を調子を取り戻した皆の動きには余裕が出てきていた。
浦部さんのローズスプラッシュを守兄がマジン・ザ・ハンドで止めて、ボールを受けた一之瀬はどんどん上がって抜かしていく。流石はフィールドの魔術師!あたしも負けてられない!
「マリンアクセル!一之瀬決めろ!」
「おう!スパイラルショット!」
一之瀬のシュートが決まって2ー1!逆転だ!
それからもしろ君と一之瀬が次々にシュートを決めて、点差は開いていく。……あたしだって、やってやる!
「貰うよ!荒波!」
「なんやて!?」
「でもって……アクアストリームッ!」
あたし渾身のシュートは見事にゴールネットを揺らした。よかった、入った!
丁度これで試合は終わった。5-1で雷門の勝利!これで一之瀬も結婚しなくて済む……と思いきや、浦部さんは一生離さない宣言をして一之瀬の腕にしがみついていた。
は、話が違う……。確かに一之瀬のプレーは凄いしテンション上がるのもわかるけど、一之瀬本人は凄く困った顔してるし。
「あの、浦部さん」
「あんた、名前何?」
「え?円堂美波だけど」
「ふーん。ま、ウチ程やあらへんけど美波もまあまあやったで!」
「あ、ありがとう。浦部さんも凄かったよ」
「堅苦しいかわリカでええわ。せやけどダーリンは渡さへん!」
「渡すも何も、うん……そっか。じゃあ一之瀬、お幸せに……」
「助けてよ!?」
助けるったってどうすればいいんだろう。どうにも話を聞いてくれ無い雰囲気で。この勢いだとチームに入れてくれって言ってきそう……それは大歓迎だけど。
にしてもだ。エイリア学園と戦ってる雷門と互角に戦える実力は凄い。何か秘密があるのではと目金の質問に口を開きかけたリカを、ギャルズのメンバーが取り押さえた。
何か隠してる。そう踏んだ一之瀬の頼みもあって、その秘密を教えてもらえることになった。そんな訳でナニワランドにとんぼ返り。
「そうだ、美波ちゃん」
「どしたのしろ君」
「はい。さっき買ったんだ」
「おお……!」
道中、しろ君から渡された包みを開けると、出てきたのは雪の結晶がついているブレスレット。これさっき見かけたやつだ!
「僕から美波ちゃんにプレゼント」
「いいの?ありがとう!これあたしもかわいいなって思ってたんだ。見た時にしろ君連想したんだよね」
「僕?」
「雪の結晶ついてるからしろ君っぽいなって」
「そうかなあ」
「うん。あ、でもそれならこのオレンジの部分は守兄かも」
「じゃあ黄色は美波ちゃんだね」
「だね!皆一緒で一人じゃないって感じだ」
「! 一人じゃない……」
早速手首に通してみる。うん、いい感じだ!
「まあいいけど危ないから試合中は外しとけよ」
「守兄わかってるって」
「練習中も駄目だからな」
「わかってるわかってる」
「というかつけなくてもいいと思う」
「あたしミサンガはいつもつけてるよ」
「もう何もつけなくていいんじゃないか?」
「使わなきゃもったいないよ。だよね一郎太」
「……俺は使ってくれたら嬉しいけど」
守兄はどうしてこうも外したがるんだ。言われなくたってサッカーをする時は外すよ。せっかくのプレゼントをうっかりで壊したくないし。
「でもちょっと意外だよなー。美波がそういうのつけてるの」
「そう?」
「あんま興味なさそう」
「かわいいものは好きだよ?使う機会全然ないだけで」
部屋の机の引き出しにはかわいくて使えないままの動物消しゴムが仕舞いっぱなしだし、サッカーを始める前は飾り付きのヘアゴムをよく使ってた。今は危ないから普通のヘアゴムだけど。
そんなことを話してるうちにナニワランドについて、案内されたのはビックリハウス。でも土門達が調べた時は何もなかったらしい。確かにぱっと見は普通のアトラクションに見える。
促されるままに部屋の隅の柵の中に入る。リカが手すりの一部を押すと、ガコン!と音を立てて手すりが沈んだ。するとエレベーターのように下がり始めて、少しすると辺りが明るくなった。
地下には空間が広がっていた。くすんだ色とりどりの壁はどこか気味の悪さも感じる。ここがリカ達の練習場……いや。
……エイリア学園の、アジトだ。
→あとがき
「も、もしもし」
「ああもう、やっと出たわね!説明は後よ。美波、今から言う場所へ直ぐに来なさい!」
早口に場所を言われて電話は切れた。焦った口ぶりだったけど何かあったのかな?とにかく言われた場所に行く為に、ここら辺に住んでそうな人に聞いてみる。よし、わかった!
急ぎ足でついた先にはグラウンドがあって、そこでは試合が行われていた。相手チームは女の子だけのチームみたいだ。
パッと見ただけでも劣勢なのがわかる。なんか皆の動きがぎこちない。そして前半が終わって0ー1。……負けてる。とりあえず皆の所へ。
「遅くなってごめんなさい!」
「美波ちゃん!どこに行ってたの?」
「……ナニワランドを回ってました」
「随分と遅かったな」
「ごめん鬼道いたたたたた」
「よく伸びるな」
「やめろ鬼道」
「遅れたのは美波だ」
鬼道にみょんと頬を引っ張られた。地味に痛い。奈良に続いて遅れてきたのはこれで2回目だから、返す言葉も無くて甘んじて受けるしかない。
でもちょっとやり返したくて、そーっと後ろからゴーグルのゴムを引っ張ろうとしたら普通にバレた。ですよね。
「前半最後だけ見たけど、皆いつもより動けてなかったよね」
「なんか調子狂うっていうか……」
「彼女達、独特な動きをするんだよ。それに惑わされたっていうか」
「風丸なんて踊ったもんな」
「え?」
「やめてくれ……」
一郎太はプリマドンナという技で華麗に抜かれたそうだ。不覚だったとかなんとか。そう説明してくれた土門の隣で、一之瀬はどこか遠くを見ていた。
なんでもこの試合は一之瀬の今後がかかっていて、もし負けたら
一之瀬は雷門を抜けて対戦相手である大阪ギャルズCCCのキャプテン――浦部リカと結婚することになってるらしい。
いや何で結婚……?食べたお好み焼きが、ら、ラブラブ焼き?だった?何それ……あたしがいない間に何が……。
「まだ結婚出来る歳じゃないよね」
「そういう問題じゃないんだよ!俺は結婚する気なんて無いんだ!」
「何であの子は結婚とか言い出したのさ」
「一之瀬くんに一目惚れしたんだって」
「一応言っておくけど俺は本当に何もしてないからな!?お好み焼きを食べはしたけど!」
一之瀬が言うにはナニワランドを探索してたら突然声をかけられて、お好み焼き屋さんに連れてかれて、出されたのがラブラブ焼きだったと。
何で一目惚れから結婚まで飛んだのかわからないけど、一之瀬は雷門サッカー部の仲間なんだ。こんなところでお別れになんてさせない。絶対に勝つ!
後半からはあたしも試合に出ることになった。開始早々、ボールを持ったしろ君が猛然とゴールへ駆け上がる。早速エターナルブリザードで同点に追いついた。
前半は見慣れない動きで翻弄されたけど、気にしさえしなければどうってことない。普段を調子を取り戻した皆の動きには余裕が出てきていた。
浦部さんのローズスプラッシュを守兄がマジン・ザ・ハンドで止めて、ボールを受けた一之瀬はどんどん上がって抜かしていく。流石はフィールドの魔術師!あたしも負けてられない!
「マリンアクセル!一之瀬決めろ!」
「おう!スパイラルショット!」
一之瀬のシュートが決まって2ー1!逆転だ!
それからもしろ君と一之瀬が次々にシュートを決めて、点差は開いていく。……あたしだって、やってやる!
「貰うよ!荒波!」
「なんやて!?」
「でもって……アクアストリームッ!」
あたし渾身のシュートは見事にゴールネットを揺らした。よかった、入った!
丁度これで試合は終わった。5-1で雷門の勝利!これで一之瀬も結婚しなくて済む……と思いきや、浦部さんは一生離さない宣言をして一之瀬の腕にしがみついていた。
は、話が違う……。確かに一之瀬のプレーは凄いしテンション上がるのもわかるけど、一之瀬本人は凄く困った顔してるし。
「あの、浦部さん」
「あんた、名前何?」
「え?円堂美波だけど」
「ふーん。ま、ウチ程やあらへんけど美波もまあまあやったで!」
「あ、ありがとう。浦部さんも凄かったよ」
「堅苦しいかわリカでええわ。せやけどダーリンは渡さへん!」
「渡すも何も、うん……そっか。じゃあ一之瀬、お幸せに……」
「助けてよ!?」
助けるったってどうすればいいんだろう。どうにも話を聞いてくれ無い雰囲気で。この勢いだとチームに入れてくれって言ってきそう……それは大歓迎だけど。
にしてもだ。エイリア学園と戦ってる雷門と互角に戦える実力は凄い。何か秘密があるのではと目金の質問に口を開きかけたリカを、ギャルズのメンバーが取り押さえた。
何か隠してる。そう踏んだ一之瀬の頼みもあって、その秘密を教えてもらえることになった。そんな訳でナニワランドにとんぼ返り。
「そうだ、美波ちゃん」
「どしたのしろ君」
「はい。さっき買ったんだ」
「おお……!」
道中、しろ君から渡された包みを開けると、出てきたのは雪の結晶がついているブレスレット。これさっき見かけたやつだ!
「僕から美波ちゃんにプレゼント」
「いいの?ありがとう!これあたしもかわいいなって思ってたんだ。見た時にしろ君連想したんだよね」
「僕?」
「雪の結晶ついてるからしろ君っぽいなって」
「そうかなあ」
「うん。あ、でもそれならこのオレンジの部分は守兄かも」
「じゃあ黄色は美波ちゃんだね」
「だね!皆一緒で一人じゃないって感じだ」
「! 一人じゃない……」
早速手首に通してみる。うん、いい感じだ!
「まあいいけど危ないから試合中は外しとけよ」
「守兄わかってるって」
「練習中も駄目だからな」
「わかってるわかってる」
「というかつけなくてもいいと思う」
「あたしミサンガはいつもつけてるよ」
「もう何もつけなくていいんじゃないか?」
「使わなきゃもったいないよ。だよね一郎太」
「……俺は使ってくれたら嬉しいけど」
守兄はどうしてこうも外したがるんだ。言われなくたってサッカーをする時は外すよ。せっかくのプレゼントをうっかりで壊したくないし。
「でもちょっと意外だよなー。美波がそういうのつけてるの」
「そう?」
「あんま興味なさそう」
「かわいいものは好きだよ?使う機会全然ないだけで」
部屋の机の引き出しにはかわいくて使えないままの動物消しゴムが仕舞いっぱなしだし、サッカーを始める前は飾り付きのヘアゴムをよく使ってた。今は危ないから普通のヘアゴムだけど。
そんなことを話してるうちにナニワランドについて、案内されたのはビックリハウス。でも土門達が調べた時は何もなかったらしい。確かにぱっと見は普通のアトラクションに見える。
促されるままに部屋の隅の柵の中に入る。リカが手すりの一部を押すと、ガコン!と音を立てて手すりが沈んだ。するとエレベーターのように下がり始めて、少しすると辺りが明るくなった。
地下には空間が広がっていた。くすんだ色とりどりの壁はどこか気味の悪さも感じる。ここがリカ達の練習場……いや。
……エイリア学園の、アジトだ。
→あとがき