第33話 ついに来た!エイリア学園!!
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「………あー」
結局あまり寝れなかったな。
カーテンを開けて空を見る。生憎の曇天で、太陽は見えない。なんだか不安だ。
あの後家に帰って、守兄やお母さん、お父さんが声をかけてくる前に、自分の部屋に閉じ籠った。
置いていってしまったしろ君や、豪炎寺の言葉で、頭の中がいっぱいだった。
夕飯やお風呂の時間をずらして、守兄とは会わないようにした。正直、顔を合わせて冷静でいられる気がしない。ボロを出しまくって終わる気がした。
自分が言わなきゃいけないこととか、ちゃんと自分なりに纏めて、答えを出したかった。
ジャージに腕を通していると、足音が聞こえて息を殺した。多分、守兄だ。同じくらいに起きたんだろう。
暫くして、「行ってきます」という声と、ドアが閉まる音が聞こえた。昨日のうちに詰めたバッグを肩にかけて部屋を出る。
リビングのテーブルに用意してあったおにぎりを食べる。台所にいるお母さんは、話しかけてはこなかった。
食べ終えてお皿を下げる。それから玄関でバッグの中身の最終確認。ユニフォーム、シューズ、替えの靴ひも、スプレー、着替え……。
「………」
ずっと返しそびれてるヒロト君のタオル。……大丈夫。勝つのは雷門だ。この戦いが終わって、また友達になれたなら。
まだ結んでいなかったハチマキをいつも通り結んだ時、「美波」とお母さんがあたしを呼んだ。
「守、落ち込んでたわよ」
「……うん」
「大丈夫?」
「……うん」
「……行くのね?」
「サッカーが好き、だから」
「母さんには美波が何を抱えてるのか分からないけど、答えは出せそう?」
「最後まで戦うって、もう逃げないって決めた」
ううん。エイリア学園を倒したいって気持ちは、最初から変わらない。ただ、旅をする中で、その理由が増えたってだけ。
始まりはリュウジに頼まれたこと。助けるなんて、救うなんて、皆が皆が望んでる訳でもないのにって……迷った時もあった。
でもそれでいい。
信じるものの為に戦う。あたしは信じる。この戦いの先で、また皆が笑ってサッカーを出来るようになれるって。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
後ろ手にドアを閉めて、大きく息を吐いた。軽く屈伸をして、また空を見る。
朝早いからなのか、何故なのかは分からないけど、辺りに霧が立ち込めてきた。嫌な感じだ。
深呼吸をして、雷門中へと走り出した。
校門の前まで行くと、目立つ赤い髪が見えて足を止めた。ヒロト君だ。なんでここに。
「ヒロト、どうして」
「やあ、美波ちゃん。おはよう」
「……おはよう」
「遅かったね。皆もう来てるみたいだよ」
「そっか。そこ通して」
「少しくらい話をしてもいいじゃないか」
「……嫌だ」
「つれないなあ」
円堂くんとは話したよ、と言って読めない笑みを浮かべたヒロト君にイライラが募った。
別に横を通ってしまえばいいことなんだけど、どうしてか足が動いてくれない。早くどいてくれればいいのに。
「そういえば昨日の……アフロディくん、だっけ?彼、大丈夫?」
「怪我はそこまで酷くないって」
「そう。吹雪くんは?あの時は威勢よく向かってきてたけど、ベンチにいたよね」
「ヒロトには関係ない」
「それもそうだね」
調子、狂うな。ヒロト君ってこんなだったっけ。
「さっき円堂くんと話した時、美波ちゃんことを出したら動揺してたよ」
何それ。
「集合時間、もう過ぎてるんじゃないかな。行かないの?」
「じゃあどいてよ」
「え?」
「だから、どいてってば!」
何でそんなに余裕そうなの。何でこれから戦う敵に平然と会いにこれるの。何考えてるのか分かんない。意味分かんない。
……ダメだ。動揺なんかしたら、それこそ思う壺だ。汗でベタついた手を、ジャージのズボンで拭う。
ヒロト君が一歩、こっちに近づいた。あたしは半歩下がった。固まって動けないでいたら、ヒロト君は一気に距離を詰めてきた。
まるで翡翠のような瞳と視線がかち合って、目が逸らせない。
「……怖い?」
「な、にが」
……怖い、のかな。皆に会うのが。戦うのが。でも、このままいても、ヒロト君に感情をぐちゃぐちゃに掻き乱されるだけだ。
動揺してなんかいられない。行かなきゃ、皆の所に。行かないと。なのに。
「怖い、よ……」
自分でも信じられないくらい、情けない言葉が飛び出した。
「美波ちゃん」
「っ……」
また一歩、近づいたヒロト君。対するあたしの体は、完全に硬直してしまった。
ヒロト君は倒すべき敵だ。でも、今でも一方的かもしれないけど友達で、でも敵で、玲名も皆、敵で。
あたし、今、どんな顔してるのかな。
「わかん、ない」
「……美波ちゃん」
「ヒロトは何であたしに優しくするの?」
「そうだったかな」
「北海道でアドバイスしてくれたし、ちょくちょく会いに来るし、タオルとか貸してくれた」
「気紛れだよ。雷門が負けたならそれまで。強くなって立ち向かってくるというのなら、それはそれで好都合だ」
「でも福岡での試合の時とか、気絶したしろ君のこと心配してたじゃん」
「それは……」
「ヒロトも本当は、こんなことしたくないんじゃ」
「っ俺は!」
言ってしまえばらしくないような、怒鳴るかのようにヒロトは声を荒げた。
「俺は……君が言うような優しい人間じゃない」
「でもヒロトは」
「ヒロトじゃない、グランだ。基山ヒロトの名前でサッカーはしない」
「あたしは、基山ヒロトとサッカーがしたいよ……」
「俺は雷門イレブン最後の相手。エイリア学園ザ・ジェネシスのキャプテン、グラン」
「……」
「基山ヒロトじゃ、ないんだ」
「それでもあたしは、君のことヒロトって呼ぶ」
「……好きにすればいいさ。じゃあね、富士山で待ってるよ」
そう言うと、ヒロト君は霧の中へ姿を消した。それと同時に硬直も解ける。
……行かないと。皆が、待ってる。
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結局あまり寝れなかったな。
カーテンを開けて空を見る。生憎の曇天で、太陽は見えない。なんだか不安だ。
あの後家に帰って、守兄やお母さん、お父さんが声をかけてくる前に、自分の部屋に閉じ籠った。
置いていってしまったしろ君や、豪炎寺の言葉で、頭の中がいっぱいだった。
夕飯やお風呂の時間をずらして、守兄とは会わないようにした。正直、顔を合わせて冷静でいられる気がしない。ボロを出しまくって終わる気がした。
自分が言わなきゃいけないこととか、ちゃんと自分なりに纏めて、答えを出したかった。
ジャージに腕を通していると、足音が聞こえて息を殺した。多分、守兄だ。同じくらいに起きたんだろう。
暫くして、「行ってきます」という声と、ドアが閉まる音が聞こえた。昨日のうちに詰めたバッグを肩にかけて部屋を出る。
リビングのテーブルに用意してあったおにぎりを食べる。台所にいるお母さんは、話しかけてはこなかった。
食べ終えてお皿を下げる。それから玄関でバッグの中身の最終確認。ユニフォーム、シューズ、替えの靴ひも、スプレー、着替え……。
「………」
ずっと返しそびれてるヒロト君のタオル。……大丈夫。勝つのは雷門だ。この戦いが終わって、また友達になれたなら。
まだ結んでいなかったハチマキをいつも通り結んだ時、「美波」とお母さんがあたしを呼んだ。
「守、落ち込んでたわよ」
「……うん」
「大丈夫?」
「……うん」
「……行くのね?」
「サッカーが好き、だから」
「母さんには美波が何を抱えてるのか分からないけど、答えは出せそう?」
「最後まで戦うって、もう逃げないって決めた」
ううん。エイリア学園を倒したいって気持ちは、最初から変わらない。ただ、旅をする中で、その理由が増えたってだけ。
始まりはリュウジに頼まれたこと。助けるなんて、救うなんて、皆が皆が望んでる訳でもないのにって……迷った時もあった。
でもそれでいい。
信じるものの為に戦う。あたしは信じる。この戦いの先で、また皆が笑ってサッカーを出来るようになれるって。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
後ろ手にドアを閉めて、大きく息を吐いた。軽く屈伸をして、また空を見る。
朝早いからなのか、何故なのかは分からないけど、辺りに霧が立ち込めてきた。嫌な感じだ。
深呼吸をして、雷門中へと走り出した。
校門の前まで行くと、目立つ赤い髪が見えて足を止めた。ヒロト君だ。なんでここに。
「ヒロト、どうして」
「やあ、美波ちゃん。おはよう」
「……おはよう」
「遅かったね。皆もう来てるみたいだよ」
「そっか。そこ通して」
「少しくらい話をしてもいいじゃないか」
「……嫌だ」
「つれないなあ」
円堂くんとは話したよ、と言って読めない笑みを浮かべたヒロト君にイライラが募った。
別に横を通ってしまえばいいことなんだけど、どうしてか足が動いてくれない。早くどいてくれればいいのに。
「そういえば昨日の……アフロディくん、だっけ?彼、大丈夫?」
「怪我はそこまで酷くないって」
「そう。吹雪くんは?あの時は威勢よく向かってきてたけど、ベンチにいたよね」
「ヒロトには関係ない」
「それもそうだね」
調子、狂うな。ヒロト君ってこんなだったっけ。
「さっき円堂くんと話した時、美波ちゃんことを出したら動揺してたよ」
何それ。
「集合時間、もう過ぎてるんじゃないかな。行かないの?」
「じゃあどいてよ」
「え?」
「だから、どいてってば!」
何でそんなに余裕そうなの。何でこれから戦う敵に平然と会いにこれるの。何考えてるのか分かんない。意味分かんない。
……ダメだ。動揺なんかしたら、それこそ思う壺だ。汗でベタついた手を、ジャージのズボンで拭う。
ヒロト君が一歩、こっちに近づいた。あたしは半歩下がった。固まって動けないでいたら、ヒロト君は一気に距離を詰めてきた。
まるで翡翠のような瞳と視線がかち合って、目が逸らせない。
「……怖い?」
「な、にが」
……怖い、のかな。皆に会うのが。戦うのが。でも、このままいても、ヒロト君に感情をぐちゃぐちゃに掻き乱されるだけだ。
動揺してなんかいられない。行かなきゃ、皆の所に。行かないと。なのに。
「怖い、よ……」
自分でも信じられないくらい、情けない言葉が飛び出した。
「美波ちゃん」
「っ……」
また一歩、近づいたヒロト君。対するあたしの体は、完全に硬直してしまった。
ヒロト君は倒すべき敵だ。でも、今でも一方的かもしれないけど友達で、でも敵で、玲名も皆、敵で。
あたし、今、どんな顔してるのかな。
「わかん、ない」
「……美波ちゃん」
「ヒロトは何であたしに優しくするの?」
「そうだったかな」
「北海道でアドバイスしてくれたし、ちょくちょく会いに来るし、タオルとか貸してくれた」
「気紛れだよ。雷門が負けたならそれまで。強くなって立ち向かってくるというのなら、それはそれで好都合だ」
「でも福岡での試合の時とか、気絶したしろ君のこと心配してたじゃん」
「それは……」
「ヒロトも本当は、こんなことしたくないんじゃ」
「っ俺は!」
言ってしまえばらしくないような、怒鳴るかのようにヒロトは声を荒げた。
「俺は……君が言うような優しい人間じゃない」
「でもヒロトは」
「ヒロトじゃない、グランだ。基山ヒロトの名前でサッカーはしない」
「あたしは、基山ヒロトとサッカーがしたいよ……」
「俺は雷門イレブン最後の相手。エイリア学園ザ・ジェネシスのキャプテン、グラン」
「……」
「基山ヒロトじゃ、ないんだ」
「それでもあたしは、君のことヒロトって呼ぶ」
「……好きにすればいいさ。じゃあね、富士山で待ってるよ」
そう言うと、ヒロト君は霧の中へ姿を消した。それと同時に硬直も解ける。
……行かないと。皆が、待ってる。
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