第33話 ついに来た!エイリア学園!!
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行かないと。行かなきゃ。そう言い聞かせてるのに、いざ近くまでくると、どうしても足が重くなる。
昨日の今日だし……と考えたところでハッとした。さっきからなかなか一歩を踏み出せない言い訳ばかり考えていやしないか。
もう逃げないって決めたのに、これから試合なのに、こんな後ろ向きじゃダメだ。
「円堂くん、美波さんはまだ来ないの?」
「っ、もう少しだけ待って下さい!」
………………。
「(全部言うんだ)」
エイリア学園の人達と会ったことがあること。リュウジに頼まれたこと。ヒロト君のこと。風介の、晴矢のこと。
遅すぎる決心に自嘲しながら足を踏み出す。地面を蹴る音に気づいたのか、振り返った皆が目を見開いた。
「美波……」
「おはよう。それから、遅くなってごめんなさい。あたしも、富士山麓に行く!」
焦るな。落ち着け。
「全部、ちゃんと話すよ」
「……大丈夫なのか」
「うん。というか、ずっと黙ってたのはあたしだから」
「そうか」
豪炎寺に心配するような目を向けられて苦笑する。昨日のこともあって心配してくれてるんだろうな。
「……あの」
「全員揃ったわね。出発するわよ」
「えっ、あ、はい」
瞳子監督は今日も冷静だった。
キャラバンから景色は段々と変わっていく。富士山に近づくにつれて、緑が多くなってきた。
壁山はお菓子を食べてて、条兄と夕弥はそれを見て苦笑いだ。塔子は更にお菓子を差し出ていて、リカは一之瀬の腕を掴んで寝てる。
あの後、どことなく気まずい雰囲気になったのを気にせずに、瞳子監督はあたし達を急かしてキャラバンへと行ってしまった。
暫く沈黙したものの、鬼道が「行くぞ」と言ったのを皮切りに、全員がキャラバンに乗り込んだ。
あたしは少し間を空けて、豪炎寺の隣に座った。守兄や鬼道、しろ君が見ていた気がしたけど、見なかったことにした。
窓の外を見ていた豪炎寺が、視線をあたしに向けた。
「大丈夫か」
「それさっきも聞いたよ」
「ああ、さっきも言ったな。……心配なだけだ。酷い顔をしてるぞ」
「酷い顔って」
「他の奴らも気にしている」
「……ごめん」
「それを言う相手は俺だけじゃないだろう」
小さくため息を吐いた豪炎寺の手が、あたしの頭に乗る。……鬼道といい、子供扱いされてる気がする。いや、励ましてくれてるのか。
なんとなく頭を豪炎寺の方に傾けながら考える。確かに集合時間はとっくに過ぎていたけれど、瞳子監督が遮った理由はそれだけだったのかな。
……隠し事をしているのは、監督も同じだ。そして今から行くのはエイリア学園の本拠地。監督だって不信感を抱かせたまま、試合はさせないだろう。
なら話すのは目的地に着いてから、ってことかな。
ふと守兄を見ると、じいちゃんのノートを熱心に読んでいた。
開いたページの究極奥義はジ・アース。じいちゃんの考え出した必殺技で、十一人全員のパワーを集めた必殺シュート。
「十一人全員ですか?凄い!」
「チームみんなの心が一つになった時に、初めて出来る技だって書いてあるんだ」
「まさに究極意義ですね!」
「昨日からずーっと考えてたんだ。このメンバーでやってみたい。皆の気持ちが一つになれば、大きな力が生まれる。俺達の為にあるような技じゃないか!」
「はい!」
豪炎寺がしろ君を見る。この試合でしろ君が、大事なことに気づいてくれるといいんだけど……。
「お前もだ」
「え、豪炎寺どしたの急に」
「吹雪だけじゃないだろう。美波が吹雪に求めていることは、そのままお前に返って来る」
そう言われてドキリとする。豪炎寺の言う通りだ。信じて、頼って。一人で抱え込むんじゃなくて、皆で戦う。それが仲間なんだから。
***
「奴らが来るのか」
「もうゲームは始まっているよ。相手を揺さぶるのも、作戦の内さ」
エイリア学園本拠地、星の使徒研究所にて。
勝手に動いたことを咎めるような口振りのウルビダをのらりくらりとかわし、飄々とした態度を保ったまま、グランはそう返した。
苦々しげに顔を歪めたウルビダは、苛立ちを隠すように「お前にとって円堂守とはなんだ?」と問い質す。
それでもグランは表情も変えずにと濁し背を向けると、肩を竦めながら「俺にも分からない」と真意の読めない回答をした。
相変わらず食えない男だ。勝手な行動をしておきながらと睨み付け、「なら」とウルビダは再び口を開く。
「円堂美波のことはどう思っている」
「! ……」
「何度も会いに行って、随分とご執着のようだな」
「……ウルビダには関係無い」
皮肉めいた口調での追及を、グランは冷たく切り捨てると、その場を去った。
「関係無いだと?……笑わせてくれる。私にとっても、美波は……」
***
「皆!富士山だ!」
進んでいくうちに、緑もあっという間になくなっていた。岩肌が剥き出しの険しい山道を登っていくと、まるでUFOみたいな建造物が見えた。
皆が息を呑むのを感じながら、所々でチカチカと明かりが点滅するそれを見つめる。富士山にこんなものがあったなんて。
「監督……ここが目的地なんですか?」
「ええ」
短い肯定。つまりはそういうことだ。
「皆、行くぞ!」
――いざ、決戦。
→あとがき
昨日の今日だし……と考えたところでハッとした。さっきからなかなか一歩を踏み出せない言い訳ばかり考えていやしないか。
もう逃げないって決めたのに、これから試合なのに、こんな後ろ向きじゃダメだ。
「円堂くん、美波さんはまだ来ないの?」
「っ、もう少しだけ待って下さい!」
………………。
「(全部言うんだ)」
エイリア学園の人達と会ったことがあること。リュウジに頼まれたこと。ヒロト君のこと。風介の、晴矢のこと。
遅すぎる決心に自嘲しながら足を踏み出す。地面を蹴る音に気づいたのか、振り返った皆が目を見開いた。
「美波……」
「おはよう。それから、遅くなってごめんなさい。あたしも、富士山麓に行く!」
焦るな。落ち着け。
「全部、ちゃんと話すよ」
「……大丈夫なのか」
「うん。というか、ずっと黙ってたのはあたしだから」
「そうか」
豪炎寺に心配するような目を向けられて苦笑する。昨日のこともあって心配してくれてるんだろうな。
「……あの」
「全員揃ったわね。出発するわよ」
「えっ、あ、はい」
瞳子監督は今日も冷静だった。
キャラバンから景色は段々と変わっていく。富士山に近づくにつれて、緑が多くなってきた。
壁山はお菓子を食べてて、条兄と夕弥はそれを見て苦笑いだ。塔子は更にお菓子を差し出ていて、リカは一之瀬の腕を掴んで寝てる。
あの後、どことなく気まずい雰囲気になったのを気にせずに、瞳子監督はあたし達を急かしてキャラバンへと行ってしまった。
暫く沈黙したものの、鬼道が「行くぞ」と言ったのを皮切りに、全員がキャラバンに乗り込んだ。
あたしは少し間を空けて、豪炎寺の隣に座った。守兄や鬼道、しろ君が見ていた気がしたけど、見なかったことにした。
窓の外を見ていた豪炎寺が、視線をあたしに向けた。
「大丈夫か」
「それさっきも聞いたよ」
「ああ、さっきも言ったな。……心配なだけだ。酷い顔をしてるぞ」
「酷い顔って」
「他の奴らも気にしている」
「……ごめん」
「それを言う相手は俺だけじゃないだろう」
小さくため息を吐いた豪炎寺の手が、あたしの頭に乗る。……鬼道といい、子供扱いされてる気がする。いや、励ましてくれてるのか。
なんとなく頭を豪炎寺の方に傾けながら考える。確かに集合時間はとっくに過ぎていたけれど、瞳子監督が遮った理由はそれだけだったのかな。
……隠し事をしているのは、監督も同じだ。そして今から行くのはエイリア学園の本拠地。監督だって不信感を抱かせたまま、試合はさせないだろう。
なら話すのは目的地に着いてから、ってことかな。
ふと守兄を見ると、じいちゃんのノートを熱心に読んでいた。
開いたページの究極奥義はジ・アース。じいちゃんの考え出した必殺技で、十一人全員のパワーを集めた必殺シュート。
「十一人全員ですか?凄い!」
「チームみんなの心が一つになった時に、初めて出来る技だって書いてあるんだ」
「まさに究極意義ですね!」
「昨日からずーっと考えてたんだ。このメンバーでやってみたい。皆の気持ちが一つになれば、大きな力が生まれる。俺達の為にあるような技じゃないか!」
「はい!」
豪炎寺がしろ君を見る。この試合でしろ君が、大事なことに気づいてくれるといいんだけど……。
「お前もだ」
「え、豪炎寺どしたの急に」
「吹雪だけじゃないだろう。美波が吹雪に求めていることは、そのままお前に返って来る」
そう言われてドキリとする。豪炎寺の言う通りだ。信じて、頼って。一人で抱え込むんじゃなくて、皆で戦う。それが仲間なんだから。
***
「奴らが来るのか」
「もうゲームは始まっているよ。相手を揺さぶるのも、作戦の内さ」
エイリア学園本拠地、星の使徒研究所にて。
勝手に動いたことを咎めるような口振りのウルビダをのらりくらりとかわし、飄々とした態度を保ったまま、グランはそう返した。
苦々しげに顔を歪めたウルビダは、苛立ちを隠すように「お前にとって円堂守とはなんだ?」と問い質す。
それでもグランは表情も変えずにと濁し背を向けると、肩を竦めながら「俺にも分からない」と真意の読めない回答をした。
相変わらず食えない男だ。勝手な行動をしておきながらと睨み付け、「なら」とウルビダは再び口を開く。
「円堂美波のことはどう思っている」
「! ……」
「何度も会いに行って、随分とご執着のようだな」
「……ウルビダには関係無い」
皮肉めいた口調での追及を、グランは冷たく切り捨てると、その場を去った。
「関係無いだと?……笑わせてくれる。私にとっても、美波は……」
***
「皆!富士山だ!」
進んでいくうちに、緑もあっという間になくなっていた。岩肌が剥き出しの険しい山道を登っていくと、まるでUFOみたいな建造物が見えた。
皆が息を呑むのを感じながら、所々でチカチカと明かりが点滅するそれを見つめる。富士山にこんなものがあったなんて。
「監督……ここが目的地なんですか?」
「ええ」
短い肯定。つまりはそういうことだ。
「皆、行くぞ!」
――いざ、決戦。
→あとがき