第33話 ついに来た!エイリア学園!!
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逃げてるだけじゃどうにもならない。そんなこと分かってる。それでも、逃げずにはいられなかった。
皆が知り得ないことを知ったあの日から、真実を抱え続ける覚悟はしていた。いや、してるつもりだった。
いざ追及されて、焦って、頭の中が真っ白になって……ちっぽけな覚悟なんか投げ出して、皆から逃げた。
……最悪だ。
走って、走って、走った。息が上がって苦しくなっても足は止めない。それでも段々スピードは落ちて、膝に手をついて立ち止まった。
何て言えばいい。彼らは人間で、エイリア学園になる前に会ったことがあって、遊んでた時期があって、それから、それから……。
「(話したところで、どうなんだろう……)」
大事なことをひた隠しにしてた癖に、皆から冷たい目で見られたくない。そんなわがままで臆病な自分に、嫌気がさした。
雷門中を破壊した。サッカーを悪いことに使うエイリア学園が許せなかった。けれど、かつての友達だと知って、助けたいとも思った。
正反対の思いを両立させようとして、どっち付かずなままここまで来て……その結果がこれだ。
エイリア学園を倒したい。また楽しいサッカーをする為に。その中に、ヒロト君達もいればいい。
雷門のサッカーを好きになってくれたヒロト君が、彼らが、あたし達のようにサッカーを出来るようにしたい。
……今のあたしと一緒に戦ってくれる人がいるかは、分からないけれど。
「……何がしたいんだよ」
そう言ってみたって、答えが返ってくるわけでもなくて。
本当、中途半端だな、あたし。雷門とエイリア、一体どっちの味方なんだか。
どっちもでも、いいかなあ。
気づけば河川敷グラウンドの近くに来ていた。決戦は明日。行くと決めた気持ちに変わりはない。少し練習しようと足を向けてみると、そこにはしろ君がいた。
エターナルブリザードを何度も撃つけど、ゴールにたどり着く前に威力は落ちて、地面に転がってしまう。
そこに豪炎寺もやってきて、声をかけた。あたしのいる場所からは会話の内容は聞こえないけど、二人は気づかないだろうから好都合だ。
やがて二人はボールの奪い合いを始めた。奪っては奪い返しの連続。高レベルな駆け引きに、やっぱり凄いな、と改めて思う。
「……雨?」
顔に何かが当たって空を見上げてみると、黒い雲が空を覆っていた。夕立だろうか、暫く降りそうだ。
帰ろうと踵を返した時、稲光が空を駆け抜けた。そう遠くはない場所に落ちたのか、轟音が鳴り響いてハッとする。
あの音、まるで雪崩が起きた時みたいだった……!まさかと思ってグラウンドを見ると、踞るしろ君が見えた。
何を言われるか分からない。でも、怯えるしろ君を放っておく訳にもいかない。無我夢中で駆け寄って、声をかけた。
「しろ君!あれは雪崩じゃない!」
「! ……美波か」
「……とりあえず今は、雨の当たらない所に行こうよ」
「ああ……」
豪炎寺が肩を貸して移動して、橋の下で雨を凌ぐ。かなり強くて当分は止みそうにもないから、暫く雨宿りになりそうだ。
震えているしろ君の背中を擦りながら豪炎寺を見ると、丁度目が合って、咄嗟に逸らしてしまった。
「美波」
「……何?」
「怖いか」
「何が」
「隠していたのは、そんなに言いづらい事か」
「……うん、言いづらい」
エイリア学園は実は普通の人間で、監督は黒幕の娘で、あたしは彼らと遊んでた時期がある。
いつかは言うべきだと思ってはいた。でも、全てを知ってるわけでもないし、ただでさえいっぱいいっぱいな状況で、余計な混乱を招きたくなかった。
瞳子監督を理由にするつもりじゃないけど、黙っていると約束して、共犯になると決めた以上、あたしの気持ちだけで話すのも違うし。
ヒロト君達が責められるのが怖かった。友達と友達が傷つけあっているのが、辛かった。
いや、そうじゃない。それだけじゃない。
何で言わなかったのかと、自分が責められるのが怖かった。結局、自己満足どころか、あたしのことばっかりなんだ。
何で言わなかったんだって、責められるかな。軽蔑されたりするのかも。……なんて。そんな筈ないのに。皆なら、まず理解しようとしてくれるのに。
勝手に罪悪感を感じてるあたしが、そうされたいと思ってるだけ。怒る方だって辛いのに、あたしが、楽になりたいから。
「……あ、のさ。豪炎寺はエイリア学園のこと、恨んでるよね」
「……」
「夕香ちゃんを人質に取られたんだし、恨んで当然だよね」
「……美波」
「けど、出来れば、無茶苦茶で都合のいいこと言ってるんだろうけど、謝られたら許して欲しいなーとか」
「……」
「ほら、あんなに凄いんだしさ!一緒にサッカー出来たら楽しいんだろーなー……とか……」
思い付くままに言葉にしたら、なんかもう滅茶苦茶だ。
豪炎寺の顔が見れない。だって、豪炎寺からしたらどう考えてもエイリア学園を庇おうとしてる訳で。
隣にいるしろ君も、意味が分からなくて何がなんだかだろう。自分でも何が言いたいのか分からなくなってきた。
「ごめん、考えが纏まんないや」
「美波はグランのことを気にしているのか」
「え?……や、ヒロトだけじゃなくて、晴矢も風介も、皆もだよ」
「そうか」
「……あのさ」
エイリア学園があたし達と同じ人間だって言ったら、どうする?
口から零れかけた言葉は、轟音に掻き消された。
.
皆が知り得ないことを知ったあの日から、真実を抱え続ける覚悟はしていた。いや、してるつもりだった。
いざ追及されて、焦って、頭の中が真っ白になって……ちっぽけな覚悟なんか投げ出して、皆から逃げた。
……最悪だ。
走って、走って、走った。息が上がって苦しくなっても足は止めない。それでも段々スピードは落ちて、膝に手をついて立ち止まった。
何て言えばいい。彼らは人間で、エイリア学園になる前に会ったことがあって、遊んでた時期があって、それから、それから……。
「(話したところで、どうなんだろう……)」
大事なことをひた隠しにしてた癖に、皆から冷たい目で見られたくない。そんなわがままで臆病な自分に、嫌気がさした。
雷門中を破壊した。サッカーを悪いことに使うエイリア学園が許せなかった。けれど、かつての友達だと知って、助けたいとも思った。
正反対の思いを両立させようとして、どっち付かずなままここまで来て……その結果がこれだ。
エイリア学園を倒したい。また楽しいサッカーをする為に。その中に、ヒロト君達もいればいい。
雷門のサッカーを好きになってくれたヒロト君が、彼らが、あたし達のようにサッカーを出来るようにしたい。
……今のあたしと一緒に戦ってくれる人がいるかは、分からないけれど。
「……何がしたいんだよ」
そう言ってみたって、答えが返ってくるわけでもなくて。
本当、中途半端だな、あたし。雷門とエイリア、一体どっちの味方なんだか。
どっちもでも、いいかなあ。
気づけば河川敷グラウンドの近くに来ていた。決戦は明日。行くと決めた気持ちに変わりはない。少し練習しようと足を向けてみると、そこにはしろ君がいた。
エターナルブリザードを何度も撃つけど、ゴールにたどり着く前に威力は落ちて、地面に転がってしまう。
そこに豪炎寺もやってきて、声をかけた。あたしのいる場所からは会話の内容は聞こえないけど、二人は気づかないだろうから好都合だ。
やがて二人はボールの奪い合いを始めた。奪っては奪い返しの連続。高レベルな駆け引きに、やっぱり凄いな、と改めて思う。
「……雨?」
顔に何かが当たって空を見上げてみると、黒い雲が空を覆っていた。夕立だろうか、暫く降りそうだ。
帰ろうと踵を返した時、稲光が空を駆け抜けた。そう遠くはない場所に落ちたのか、轟音が鳴り響いてハッとする。
あの音、まるで雪崩が起きた時みたいだった……!まさかと思ってグラウンドを見ると、踞るしろ君が見えた。
何を言われるか分からない。でも、怯えるしろ君を放っておく訳にもいかない。無我夢中で駆け寄って、声をかけた。
「しろ君!あれは雪崩じゃない!」
「! ……美波か」
「……とりあえず今は、雨の当たらない所に行こうよ」
「ああ……」
豪炎寺が肩を貸して移動して、橋の下で雨を凌ぐ。かなり強くて当分は止みそうにもないから、暫く雨宿りになりそうだ。
震えているしろ君の背中を擦りながら豪炎寺を見ると、丁度目が合って、咄嗟に逸らしてしまった。
「美波」
「……何?」
「怖いか」
「何が」
「隠していたのは、そんなに言いづらい事か」
「……うん、言いづらい」
エイリア学園は実は普通の人間で、監督は黒幕の娘で、あたしは彼らと遊んでた時期がある。
いつかは言うべきだと思ってはいた。でも、全てを知ってるわけでもないし、ただでさえいっぱいいっぱいな状況で、余計な混乱を招きたくなかった。
瞳子監督を理由にするつもりじゃないけど、黙っていると約束して、共犯になると決めた以上、あたしの気持ちだけで話すのも違うし。
ヒロト君達が責められるのが怖かった。友達と友達が傷つけあっているのが、辛かった。
いや、そうじゃない。それだけじゃない。
何で言わなかったのかと、自分が責められるのが怖かった。結局、自己満足どころか、あたしのことばっかりなんだ。
何で言わなかったんだって、責められるかな。軽蔑されたりするのかも。……なんて。そんな筈ないのに。皆なら、まず理解しようとしてくれるのに。
勝手に罪悪感を感じてるあたしが、そうされたいと思ってるだけ。怒る方だって辛いのに、あたしが、楽になりたいから。
「……あ、のさ。豪炎寺はエイリア学園のこと、恨んでるよね」
「……」
「夕香ちゃんを人質に取られたんだし、恨んで当然だよね」
「……美波」
「けど、出来れば、無茶苦茶で都合のいいこと言ってるんだろうけど、謝られたら許して欲しいなーとか」
「……」
「ほら、あんなに凄いんだしさ!一緒にサッカー出来たら楽しいんだろーなー……とか……」
思い付くままに言葉にしたら、なんかもう滅茶苦茶だ。
豪炎寺の顔が見れない。だって、豪炎寺からしたらどう考えてもエイリア学園を庇おうとしてる訳で。
隣にいるしろ君も、意味が分からなくて何がなんだかだろう。自分でも何が言いたいのか分からなくなってきた。
「ごめん、考えが纏まんないや」
「美波はグランのことを気にしているのか」
「え?……や、ヒロトだけじゃなくて、晴矢も風介も、皆もだよ」
「そうか」
「……あのさ」
エイリア学園があたし達と同じ人間だって言ったら、どうする?
口から零れかけた言葉は、轟音に掻き消された。
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