第24話 うなれ!正義の鉄拳!!
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早速練習だ!とその前に、大海原の監督さんの提案で、バーベキューをすることになった。試合の疲れもあるし、まずは休憩と腹ごしらえ!
「はいっ、あーん」
「いやその……」
大海原のキャンちゃんに串を差し出されたしろ君は引き気味だった。いつもだったら、さらっと流すのに。
「お肉美味しい」
「ふーん」
「あっちょタバスコかけないでよ!春ちゃーん!」
「こらー!木暮くーん!待ちなさい!」
「うっしっし!待たないよーだっ!」
夕弥と春ちゃんの追いかけっこが始まる。このやり取りもすっかり定番になったなあ。
ふとあたりを見回すと、少し離れた所で鬼道と音村が話していた。楽しそうではあるけど、壁山がいるから早く食べないと無くなっちゃうのに。
いい感じに焼けた肉と野菜を紙皿に乗るだけ乗せて、二人の所へ。あ、飲み物忘れた。まあいいや。
「鬼道ー!音村ー!」
「おや、円堂さん」
「どうした?」
「持ってきた!いい感じに焼けてるよ!」
「わざわざありがとう。いただくよ」
「はい、鬼道もあーん」
「は……むぐっ」
さっき見たみたいに差し出すと、つられて鬼道はぽかんと口を開けた。なかなかお目にかかれないような、らしくない抜けた顔だ。すかさすつまんだ肉を突っ込む。
もぐもぐと口を動かして飲み込むと、鬼道はキラリとゴーグルのレンズを光らせた。
「お前とは一度よく話すべきだと思っていた」
「ごめん怒らないで。でも美味しかったよね?」
「……まあ、そうだが」
「話すのもいいけど食べないと無くなるよ!ほらあーん」
「結構だ。自分で食べられる」
「冗談だってば」
「箸を貸せ」
「しかめっ面しないでよ。はい、お箸」
「ふふっ……面白いな、君たちは」
「面白い?」
「ああ。独特なリズムを持っている。特に、円堂さんは」
「リズムかあ」
二人は何を話してたんだろ。鬼道はもちろん音村も頭良さそうだし、あたしには理解できないことだろうな。
食休みも終えて、大海原のグラウンドを借りて練習することになった。
柔軟をしていると、土門が立向居に浜辺の方には行かないのかと聞いた。同じキーパー同士、守兄と一緒のこと多かったしな。
でも、キーパーの特訓はいいらしい。元々ミッドフィルダーで、雷門の正ゴールキーパーは守兄だから。
「だから今は、ミッドフィルダーとしてチームを支えます!」
「……そうか。よし、じゃあ付き合え!俺と組んで練習しようや」
「あ、ありがとうございます!」
「あたしもあたしも!一緒に頑張ろうね」
「あの新必殺技……水龍だっけか?凄かったな!」
「ありがと土門!でももっと精度を高めたいんだよね。あたしと土門がディフェンスするから、立向居は攻めてきて」
「よっし、美波!立向居!やるぞ!」
「はいっ。よろしくお願いします!」
右、左、フェイント。そして荒波より大きくて豪快な龍を思い浮かべる。かっさらうんじゃなくて、真正面から受け止めるような。
気づけば壁山や夕弥も混ざっての特訓になっていた。……いいよな、こういうの。ディフェンダーの皆で特訓するの。
ここに……一郎太や栗松、影野もいたら良かったのにな。そしたらきっと、もっと楽しかった。
「どした美波」
「えっと、一郎太達もいたら良かったのにって思っちゃった」
「ああ……そうだな、俺もそう思う」
苦笑いの土門。困らせちゃったかな。
「にしてもあれだけのキーパーの才能なんだから、練習しないのはもったいないな」
「だよなー。俺もそう思う。つっても円堂がいるからって立向居の気持ちも分かるし」
「キーパーが守兄だけって結構不安要素だよね。だからあたしもゴッドハンド練習したし」
「え、あれそういうことだったのか」
「うん。使う機会全然無いし、今は立向居もいるけど」
「ふーん……成る程なあ。ゴッドハンド、ねえ」
「土門?何か思いついた?」
「いんや、何でも」
「美波ー!そんなとこでぼやっとしてんなよ!」
「あいたっ!あーもー、わかってるって!」
土門と話してたら後頭部に衝撃。ボールを蹴ってきたのは夕弥だ。隣では止められなくてすみません、と立向居が謝っている。
春ちゃんに言いつけてやろうとしたら、更に虫のおもちゃを投げつけられた。一瞬本物かと思って滅茶苦茶焦るから練習中はやめてほしい……。
それからまた暫く練習してると、秋達がおにぎりを用意してくれたので一旦休憩。やっぱり気になるので、続きを土門に聞くことにする。
「でさ、さっきのゴッドハンドのことなんだけど」
「覚えてたのかあれ」
「そこまで記憶力悪くないよ!?」
「冗談だって」
「それで!何かあるんじゃないの?」
「んー、ゴッドハンドをブロック技に使えないかと思ったんだ」
「……ハンドにならない?」
「だから他の必殺技と組み合わせるとか、連携技にするとかで。まあ具体的に思い付いた訳でもないんだ。悪いな」
「なるほど……」
ゴッドハンドをブロック技に、か。ハンドを避けるなら誰かの必殺技をサポートして更に強化する感じ?
瞳子監督にもアドバイスして貰おうかな。そう呟くと、土門は少しだけ顔をしかめた。……土門、監督のことあんまり良く思ってないからなあ。
「瞳子監督ー!」
「何かしら、円堂さん」
「ゴッドハンドをブロック技に応用出来ないかって考えてるんです!」
「ゴッドハンドを?」
ハンドになるんじゃないかしら。と言いたげな表情の監督に、土門に言われた事を話す。なるほど、と頷くと、監督はグラウンドへ目を向けた。
「……壁を切り開く、というのはどうかしら」
「壁?」
「ええ。正面だけではなく、左右からも囲んでコースを塞ぐの」
監督はホワイトボード片手に図解してくれた。行く手を阻む壁を広げて、逃げ道を無くす。そうか、これなら!
そうと決まれば壁山だ。休憩が終わったら、早速やってみよう。遠くないうちにあるだろうイプシロンとの再戦に間に合わせたい。
「美波ちゃん、連携必殺技を作るの?」
「あ、しろ君。土門がいい案出してくれたらさ、もう一つブロック技をね」
「ふうん。そうなんだ」
ボトル片手に声をかけてきたのはしろ君。ちゃんと休憩取ってるんだと思ってたら、読んだように「美波ちゃんに自分のことも気遣ってって言われたからね」と返ってきた。
そんな事も言ったっけな。良かった。しろ君、自分のことも大事にしてくれてる。
「そうだ。しろ君もこっち混ざらない?オフェンスもいいけど、ディフェンスの練習もやろうよ」
「いや、僕はいいよ。……僕は、点を取らなくちゃいけないから」
……前言撤回。思い詰めてるのは変わってない。それどころか、もっと良くない方へ行ってる気がする。
「混ざりたくなったらいつでも言ってね」
「……うん」
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「はいっ、あーん」
「いやその……」
大海原のキャンちゃんに串を差し出されたしろ君は引き気味だった。いつもだったら、さらっと流すのに。
「お肉美味しい」
「ふーん」
「あっちょタバスコかけないでよ!春ちゃーん!」
「こらー!木暮くーん!待ちなさい!」
「うっしっし!待たないよーだっ!」
夕弥と春ちゃんの追いかけっこが始まる。このやり取りもすっかり定番になったなあ。
ふとあたりを見回すと、少し離れた所で鬼道と音村が話していた。楽しそうではあるけど、壁山がいるから早く食べないと無くなっちゃうのに。
いい感じに焼けた肉と野菜を紙皿に乗るだけ乗せて、二人の所へ。あ、飲み物忘れた。まあいいや。
「鬼道ー!音村ー!」
「おや、円堂さん」
「どうした?」
「持ってきた!いい感じに焼けてるよ!」
「わざわざありがとう。いただくよ」
「はい、鬼道もあーん」
「は……むぐっ」
さっき見たみたいに差し出すと、つられて鬼道はぽかんと口を開けた。なかなかお目にかかれないような、らしくない抜けた顔だ。すかさすつまんだ肉を突っ込む。
もぐもぐと口を動かして飲み込むと、鬼道はキラリとゴーグルのレンズを光らせた。
「お前とは一度よく話すべきだと思っていた」
「ごめん怒らないで。でも美味しかったよね?」
「……まあ、そうだが」
「話すのもいいけど食べないと無くなるよ!ほらあーん」
「結構だ。自分で食べられる」
「冗談だってば」
「箸を貸せ」
「しかめっ面しないでよ。はい、お箸」
「ふふっ……面白いな、君たちは」
「面白い?」
「ああ。独特なリズムを持っている。特に、円堂さんは」
「リズムかあ」
二人は何を話してたんだろ。鬼道はもちろん音村も頭良さそうだし、あたしには理解できないことだろうな。
食休みも終えて、大海原のグラウンドを借りて練習することになった。
柔軟をしていると、土門が立向居に浜辺の方には行かないのかと聞いた。同じキーパー同士、守兄と一緒のこと多かったしな。
でも、キーパーの特訓はいいらしい。元々ミッドフィルダーで、雷門の正ゴールキーパーは守兄だから。
「だから今は、ミッドフィルダーとしてチームを支えます!」
「……そうか。よし、じゃあ付き合え!俺と組んで練習しようや」
「あ、ありがとうございます!」
「あたしもあたしも!一緒に頑張ろうね」
「あの新必殺技……水龍だっけか?凄かったな!」
「ありがと土門!でももっと精度を高めたいんだよね。あたしと土門がディフェンスするから、立向居は攻めてきて」
「よっし、美波!立向居!やるぞ!」
「はいっ。よろしくお願いします!」
右、左、フェイント。そして荒波より大きくて豪快な龍を思い浮かべる。かっさらうんじゃなくて、真正面から受け止めるような。
気づけば壁山や夕弥も混ざっての特訓になっていた。……いいよな、こういうの。ディフェンダーの皆で特訓するの。
ここに……一郎太や栗松、影野もいたら良かったのにな。そしたらきっと、もっと楽しかった。
「どした美波」
「えっと、一郎太達もいたら良かったのにって思っちゃった」
「ああ……そうだな、俺もそう思う」
苦笑いの土門。困らせちゃったかな。
「にしてもあれだけのキーパーの才能なんだから、練習しないのはもったいないな」
「だよなー。俺もそう思う。つっても円堂がいるからって立向居の気持ちも分かるし」
「キーパーが守兄だけって結構不安要素だよね。だからあたしもゴッドハンド練習したし」
「え、あれそういうことだったのか」
「うん。使う機会全然無いし、今は立向居もいるけど」
「ふーん……成る程なあ。ゴッドハンド、ねえ」
「土門?何か思いついた?」
「いんや、何でも」
「美波ー!そんなとこでぼやっとしてんなよ!」
「あいたっ!あーもー、わかってるって!」
土門と話してたら後頭部に衝撃。ボールを蹴ってきたのは夕弥だ。隣では止められなくてすみません、と立向居が謝っている。
春ちゃんに言いつけてやろうとしたら、更に虫のおもちゃを投げつけられた。一瞬本物かと思って滅茶苦茶焦るから練習中はやめてほしい……。
それからまた暫く練習してると、秋達がおにぎりを用意してくれたので一旦休憩。やっぱり気になるので、続きを土門に聞くことにする。
「でさ、さっきのゴッドハンドのことなんだけど」
「覚えてたのかあれ」
「そこまで記憶力悪くないよ!?」
「冗談だって」
「それで!何かあるんじゃないの?」
「んー、ゴッドハンドをブロック技に使えないかと思ったんだ」
「……ハンドにならない?」
「だから他の必殺技と組み合わせるとか、連携技にするとかで。まあ具体的に思い付いた訳でもないんだ。悪いな」
「なるほど……」
ゴッドハンドをブロック技に、か。ハンドを避けるなら誰かの必殺技をサポートして更に強化する感じ?
瞳子監督にもアドバイスして貰おうかな。そう呟くと、土門は少しだけ顔をしかめた。……土門、監督のことあんまり良く思ってないからなあ。
「瞳子監督ー!」
「何かしら、円堂さん」
「ゴッドハンドをブロック技に応用出来ないかって考えてるんです!」
「ゴッドハンドを?」
ハンドになるんじゃないかしら。と言いたげな表情の監督に、土門に言われた事を話す。なるほど、と頷くと、監督はグラウンドへ目を向けた。
「……壁を切り開く、というのはどうかしら」
「壁?」
「ええ。正面だけではなく、左右からも囲んでコースを塞ぐの」
監督はホワイトボード片手に図解してくれた。行く手を阻む壁を広げて、逃げ道を無くす。そうか、これなら!
そうと決まれば壁山だ。休憩が終わったら、早速やってみよう。遠くないうちにあるだろうイプシロンとの再戦に間に合わせたい。
「美波ちゃん、連携必殺技を作るの?」
「あ、しろ君。土門がいい案出してくれたらさ、もう一つブロック技をね」
「ふうん。そうなんだ」
ボトル片手に声をかけてきたのはしろ君。ちゃんと休憩取ってるんだと思ってたら、読んだように「美波ちゃんに自分のことも気遣ってって言われたからね」と返ってきた。
そんな事も言ったっけな。良かった。しろ君、自分のことも大事にしてくれてる。
「そうだ。しろ君もこっち混ざらない?オフェンスもいいけど、ディフェンスの練習もやろうよ」
「いや、僕はいいよ。……僕は、点を取らなくちゃいけないから」
……前言撤回。思い詰めてるのは変わってない。それどころか、もっと良くない方へ行ってる気がする。
「混ざりたくなったらいつでも言ってね」
「……うん」
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