第22話 炎のストライカー!
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変な空気になったけど、気を取り直したように土門が、さっきのを見せてやってくれと頼んだ。
凄い強力なシュートだったし、あれを見せたら皆納得しちゃうだろうな……。どうにか阻止出来ないかな。
すると晴矢は一つの提案をした。ただ見せるだけじゃつまらないから、テストをしろと。
「雷門イレブンVS俺!どーよ、あんたらから1点取れば俺の勝ち、テストに合格だ」
完璧にナメられてると思ったけど、守兄がOKを出したから、本当に11対1でやることになった。
……きっと、力の差を見せつけるつもりなんだ。一人であたし達を倒して、差は歴然なんだって。そうはいかないんだから。
「絶対に止めてみせる……!」
「やけに気合入ってるな美波!あたしも燃えてきた!」
「それにしても彼、自分から売り込んできたなんて、相当自分の実力に自信があるようだね」
「シュートは本当に凄かったよ。塔子も一之瀬も気を付けて」
「へえ、そんなに?自分で炎のストライカーを名乗るだけあるなあ」
「……期待はし過ぎないようにね」
「美波?」
難しい事は一旦忘れよう。今はこのテストに集中だ。絶対、雷門に入れてなんかやらない。
「円堂!覚悟しな」
ピーッ!
テスト開始。鬼道、一之瀬、リカがブロックに向かう。それに対して晴矢は、ボールを思いっきり蹴り上げて高く跳躍した。
空中からシュートを放つと一旦着地して、また跳び上がる。もう一度ボールを蹴って加速させると、塔子が呼びだした巨大な塔を打ち砕いた。
しろ君のアイスグランドでも勢いは止めきれなくて、ボールが跳ね上がる。抑える為に跳んだ二人。空中での競り合いに勝ったのは、晴矢だった。
地面に足がついてるより、跳んでる時間の方が長い。跳んでいる間のバランスの取り方も、ボールのコントロールも絶妙だ。
動きは先を読まれて、先回りしてもパワーでねじ伏せられる。晴矢は強い。……それでも、あたしだって負けられない。
「次は美波か。いいぜ、来いよ!」
「行かせないんだから!……水龍ッ!」
「!」
未完成だけど一か八か、これに賭けるしかない!腕を振りかざして水を呼び起こす。大きく、沢山の水を、いつもより大きく!
出来上がったは水の龍だ。思い出したのは染岡のドラゴンクラッシュ。そうだ、あんな感じに!振り下ろした手に従うように龍が勢いよく突進する。すると跳ねたボールがこちらに転がってきた。
「やった!」
「へえ、まあまあやるじゃねーか」
「負けっぱなしじゃいられないからね!でも、まあまあは、余計だ!」
「水龍、な……。いい技じゃねえか!」
「っあ!」
一瞬で距離を詰められて、ショルダータックルをもろに食らった。堪えようとしたものの押し負けて、ボールを奪われてしまった。
「くそ、守兄!」
「ああ!」
「いくぜ……紅蓮の炎で焼き尽くしてやる!アトミックフレア!」
太陽のような灼熱の炎のシュートがゴールへ突き進む。対抗して繰り出した守兄のマジン・ザ・ハンドは、一瞬にして破られた。
似たような光景を、前にも見た。……ヒロト君の流星ブレード。風介のノーザンインパクト、そして晴矢のアトミックフレア。どれもとんでもないシュートだ。
テストは合格。晴矢も守兄を気に入ったようで複雑だ。更にはフォワードは俺一人で十分とまで言い出すんだから、やりたい放題が過ぎる。
「勝手なこと言ってるけど、雷門にはしろ君っていうエースがいるんだからね!」
「ふーん。まあ俺の方が強いけどな」
「晴矢は態度が悪いから総合的にはしろ君の方が上だね」
「基準無茶苦茶だな」
「無茶苦茶な事してる晴矢にだけは言われたくないよ。サッカーで大事なのはチームワーク、そうだよね鬼道」
「確かにそうだが……美波、何を焦っている」
「え、あ、焦ってなんか無いよ」
「ねえ、さっきから美波、ちょっと変じゃない?」
ゴーグルの奥の赤が見えた気がして後退ると、今度は口を挟んできた一之瀬と目が合った。
じっと見つめてくるその瞳は、全部見透かしてしまいそうで、思わず目を逸らす。
鬼道もそうだけど、一之瀬もチームをよく見ている。空気を読んで場を取り持ったりするのが上手い。何より、観察眼がある。
まずい、これ以上はボロを出す訳にはいかない。まだ、今は駄目だ。話を変えないと。
「何でもないってば!それより監督、どうしますか?」
「……彼が大きな戦力になることは認めましょう。ただその前にいくつか質問があるわ」
「いいぜ」
「これから一緒に戦っていく以上、私には貴方の身柄を預かっていく責任があります。まず、どこの学校の生徒なの?」
晴矢にとっては答えられない質問だ。エイリア学園なんて本当の事を言える筈もなく、晴矢は黙って監督を睨みつけた。
……いや、違う。睨みつけてるのは、晴矢が見つけたのは、もっと奥。
「エイリア学園だよ」
後方、街灯の上から見下ろしている、ヒロト君だ。
「ヒロト!」
呼びかければ、ばちっと一瞬視線が合った気がして、それは直ぐに逸らされた。当然だ。当然なのに、少し悲しくなった。
「あーあ。ったく、邪魔すんなよグラン!」
「雷門イレブンに入り込んで、何をするつもりだったんだ」
「俺はグランのお気に入りがどんな奴か、見に来ただけよ」
咎めるようなヒロト君の言葉に、飄々と晴矢は返す。
辺りは緊張に包まれてるのに、二人の周りだけが異様な雰囲気を漂わせていた。
「騙されちゃダメだよ、円堂くん」
守兄を一瞥した晴矢に、ヒロト君は足元にあった黒いサッカーボールを蹴りつける。
トラップした晴矢を中心に竜巻が起きて、収まったそこにはエイリア学園のユニフォームを纏った晴矢の姿があった。
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凄い強力なシュートだったし、あれを見せたら皆納得しちゃうだろうな……。どうにか阻止出来ないかな。
すると晴矢は一つの提案をした。ただ見せるだけじゃつまらないから、テストをしろと。
「雷門イレブンVS俺!どーよ、あんたらから1点取れば俺の勝ち、テストに合格だ」
完璧にナメられてると思ったけど、守兄がOKを出したから、本当に11対1でやることになった。
……きっと、力の差を見せつけるつもりなんだ。一人であたし達を倒して、差は歴然なんだって。そうはいかないんだから。
「絶対に止めてみせる……!」
「やけに気合入ってるな美波!あたしも燃えてきた!」
「それにしても彼、自分から売り込んできたなんて、相当自分の実力に自信があるようだね」
「シュートは本当に凄かったよ。塔子も一之瀬も気を付けて」
「へえ、そんなに?自分で炎のストライカーを名乗るだけあるなあ」
「……期待はし過ぎないようにね」
「美波?」
難しい事は一旦忘れよう。今はこのテストに集中だ。絶対、雷門に入れてなんかやらない。
「円堂!覚悟しな」
ピーッ!
テスト開始。鬼道、一之瀬、リカがブロックに向かう。それに対して晴矢は、ボールを思いっきり蹴り上げて高く跳躍した。
空中からシュートを放つと一旦着地して、また跳び上がる。もう一度ボールを蹴って加速させると、塔子が呼びだした巨大な塔を打ち砕いた。
しろ君のアイスグランドでも勢いは止めきれなくて、ボールが跳ね上がる。抑える為に跳んだ二人。空中での競り合いに勝ったのは、晴矢だった。
地面に足がついてるより、跳んでる時間の方が長い。跳んでいる間のバランスの取り方も、ボールのコントロールも絶妙だ。
動きは先を読まれて、先回りしてもパワーでねじ伏せられる。晴矢は強い。……それでも、あたしだって負けられない。
「次は美波か。いいぜ、来いよ!」
「行かせないんだから!……水龍ッ!」
「!」
未完成だけど一か八か、これに賭けるしかない!腕を振りかざして水を呼び起こす。大きく、沢山の水を、いつもより大きく!
出来上がったは水の龍だ。思い出したのは染岡のドラゴンクラッシュ。そうだ、あんな感じに!振り下ろした手に従うように龍が勢いよく突進する。すると跳ねたボールがこちらに転がってきた。
「やった!」
「へえ、まあまあやるじゃねーか」
「負けっぱなしじゃいられないからね!でも、まあまあは、余計だ!」
「水龍、な……。いい技じゃねえか!」
「っあ!」
一瞬で距離を詰められて、ショルダータックルをもろに食らった。堪えようとしたものの押し負けて、ボールを奪われてしまった。
「くそ、守兄!」
「ああ!」
「いくぜ……紅蓮の炎で焼き尽くしてやる!アトミックフレア!」
太陽のような灼熱の炎のシュートがゴールへ突き進む。対抗して繰り出した守兄のマジン・ザ・ハンドは、一瞬にして破られた。
似たような光景を、前にも見た。……ヒロト君の流星ブレード。風介のノーザンインパクト、そして晴矢のアトミックフレア。どれもとんでもないシュートだ。
テストは合格。晴矢も守兄を気に入ったようで複雑だ。更にはフォワードは俺一人で十分とまで言い出すんだから、やりたい放題が過ぎる。
「勝手なこと言ってるけど、雷門にはしろ君っていうエースがいるんだからね!」
「ふーん。まあ俺の方が強いけどな」
「晴矢は態度が悪いから総合的にはしろ君の方が上だね」
「基準無茶苦茶だな」
「無茶苦茶な事してる晴矢にだけは言われたくないよ。サッカーで大事なのはチームワーク、そうだよね鬼道」
「確かにそうだが……美波、何を焦っている」
「え、あ、焦ってなんか無いよ」
「ねえ、さっきから美波、ちょっと変じゃない?」
ゴーグルの奥の赤が見えた気がして後退ると、今度は口を挟んできた一之瀬と目が合った。
じっと見つめてくるその瞳は、全部見透かしてしまいそうで、思わず目を逸らす。
鬼道もそうだけど、一之瀬もチームをよく見ている。空気を読んで場を取り持ったりするのが上手い。何より、観察眼がある。
まずい、これ以上はボロを出す訳にはいかない。まだ、今は駄目だ。話を変えないと。
「何でもないってば!それより監督、どうしますか?」
「……彼が大きな戦力になることは認めましょう。ただその前にいくつか質問があるわ」
「いいぜ」
「これから一緒に戦っていく以上、私には貴方の身柄を預かっていく責任があります。まず、どこの学校の生徒なの?」
晴矢にとっては答えられない質問だ。エイリア学園なんて本当の事を言える筈もなく、晴矢は黙って監督を睨みつけた。
……いや、違う。睨みつけてるのは、晴矢が見つけたのは、もっと奥。
「エイリア学園だよ」
後方、街灯の上から見下ろしている、ヒロト君だ。
「ヒロト!」
呼びかければ、ばちっと一瞬視線が合った気がして、それは直ぐに逸らされた。当然だ。当然なのに、少し悲しくなった。
「あーあ。ったく、邪魔すんなよグラン!」
「雷門イレブンに入り込んで、何をするつもりだったんだ」
「俺はグランのお気に入りがどんな奴か、見に来ただけよ」
咎めるようなヒロト君の言葉に、飄々と晴矢は返す。
辺りは緊張に包まれてるのに、二人の周りだけが異様な雰囲気を漂わせていた。
「騙されちゃダメだよ、円堂くん」
守兄を一瞥した晴矢に、ヒロト君は足元にあった黒いサッカーボールを蹴りつける。
トラップした晴矢を中心に竜巻が起きて、収まったそこにはエイリア学園のユニフォームを纏った晴矢の姿があった。
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