第22話 炎のストライカー!
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先を歩き始めた二人に並ぼうと速足で歩こうとしたら、晴矢に勢いよく首に腕を回された。身動きが取れない。
「よお、美波。久しぶりだな。俺のこと、覚えてんだろ?」
「……うん、久しぶりだね晴矢。でも何しに来たの?」
「別に?俺はグランのお気に入りだっていう円堂守を見に来ただけだぜ」
「守兄がヒロトのお気に入り?」
「は?守兄?」
「円堂守はあたしの双子の兄だよ」
「マジかよ……」
「マジだよ」
知らなかった……と頭を抱える晴矢。そりゃ言ってないしね。でも名字は同じなんだから、気づいたっていいのに。そんなに雷門に興味ないのか。
風介は気づいてたのを教えてあげると、晴矢は心底嫌そうな顔をした。相変わらず喧嘩するほど仲が良いだ。言ったら怒るから言わないけど。
「二人共何してるの?」
「さっきっから気になってたけどよ、仲良さそうだよな」
「ああ……。実は俺と美波、知り合いだったんだよ」
「ちょっ、晴矢!」
「昔会ったことがあってさあ」
「黙って!」
慌てて口を塞いでも晴矢は楽しそうに笑うだけだった。やられた。何てこと言ってくれたんだ、晴矢。間違いなくわざとやったんだ。
晴矢がエイリア学園だってバレたら、その上あたしの知り合いときたら……全部、話さなきゃならないのかな。
「何だよ。俺達トモダチだろ?違うのかよ」
「違わない、けど……何てことしてくれたんだよチューリップ晴矢」
「待て、誰だその呼び方教えたのは」
「風介」
「やっぱりな」
まあいいんじゃね?とあっけらかんとした様子で晴矢は言った。全然よくないよ!
「守兄がお気に入りってどういう事?それに、雷門に入り込んで何するつもり?」
「グランの考えてる事は知らねえ。試合のデータは見たけど何が面白いのかさっぱりだったからな」
「あの試合見たんだ……」
「まーな、つまんなかったけど。だから俺直々に出向いて円堂守の評価をしてやろうってワケ」
「じゃあ、炎のストライカーを名乗ったのは何?」
「あ?ガゼルの奴が言ってたんだよ。雷門が炎のストライカーを探してるって。丁度いいと思っただけだ」
「こうして雷門に入り込もうとしてるのは」
「だから遊びだよ、遊び。ただの暇潰しだ。グランだけちょっかいかけてんのはずるいだろ。ったく、暇さえあれば抜け出しやがって。」
「遊びって、雷門は強いよ」
「ハッ、強いったってイプシロンに引き分けた程度だろ?俺らの練習相手にもならねえのに、遊びじゃなきゃ何なんだよ」
「何それ……」
口元は笑ってるけど、目は笑ってない。冷めた表情に返す言葉も出てこない。晴矢は雷門を気にも留めていない。本当に、暇潰しで、遊びなんだ。
今の雷門はマスターランクチームには勝てない。それは、ジェネシスと戦って身に染みて分かってる。それでも……。
ぎゅっと手を握りしめると、持ってたひんやりとした缶の冷たさが広がった。冷静になれ。ここで熱くなったら、駄目だ。いつか絶対に勝つんだから。
「ところで晴矢、ジュース飲む?」
「は?いやさっき飲んだんだけど……まあ貰えるもんは貰っとくわ」
「せっかくの沖縄なんだしゴーヤジュースなんてどうかな」
「……いらねえ」
「遠慮しないで買ってくるから何事も挑戦してみなきゃ分からない!」
「わざとだろお前!」
「食べ物の恨みは怖いんだよ!知ってた?」
「あー……知ってる」
笑みを消した晴矢はそっぽを向いた。嫌な事を、懐かしい事を思い出したような、そんな横顔。
そういえば、風介とおかずの取り合いした事あったっけ。あの頃は……いや、今は考えるのはやめよう。
「つーかグランの奴は何でお前のこと覚えてないんだ」
「あたしに聞かれても……。というかやっぱり忘れてるでいいんだ」
「じゃなきゃ何だよ」
「あれから何年も経ってるし覚えてない人がいても当然と思ってたけど、なんかヒロト君だけみたいだからさ」
「ふーん。まあ、確かに不自然かもな。あいつが一番美波にべったりだったろ」
「そうだったっけ?」
「そうだろ」
何でも、ヒロト君はあたしがお日さま園に来る度に美波ちゃん美波ちゃんと後ろをついて回ってたとか。思い返せば、色んな子と遊んだけど、ヒロト君と過ごした時間が一番長かったな。
そもそもあたしがお日さま園に行くようになったのはヒロト君と出会ったのが始まりだ。公園で一人でボールを蹴っていたヒロト君。上手なのにどこか寂しそうで、放っておけなかった。
「つーかこんな無茶苦茶女を忘れるとかありえねー」
「無茶苦茶って何さ」
「毎週末自転車で隣町から時間かけて来るのはバカのやることだ」
「そのバカと毎週末遊んでたのは誰だよ」
「そういや木にボール引っかけて、取りに登って落ちかけたこともあったな」
「ヒロト巻き込んじゃったあれか」
「炎のストライカー、見つけたぜ!」
そうこうしている内に集合場所に着いていた。皆集まってるし……あ、知らない人いる。誰だろう。
晴矢が前に進み出ると、守兄達はどこかがっかりした表情になった。皆、豪炎寺だって期待してたしね。あたしだって晴矢を連れてきたくなんかなかった。
知らない人は土方といって、ここの近くに住んでるから色々聞こうと思って守兄が連れてきたらしい。
「でも、もうその必要はなくなったよ。炎のストライカーは、この南雲だ」
「つー訳だ、俺は南雲晴矢。キャプテンの円堂だろ?よろしくな」
「……ああ、よろしく!」
ああ、もう、別に無理してまでよろしくしなくてもいいよ守兄!……どうせ雷門に入る気なんて更々ないんだから。しかも滅茶苦茶ナメてる。
その晴矢はというと、地元民の土方に怪しまれていた。晴矢は沖縄に住んでる訳じゃないから、見たことないのも当然だ。
態度が堂々としてるから流されそうになるけど、土方は警戒してるようだった。そうだ、もっと言ってやれ土方!まだ自己紹介すらしてない仲だけど!
べしっ
「ったあ!何も叩かなくたって!」
「美波お前今変なこと考えてただろ」
「考えてないよチューリップ」
「止めろ、最早原型とどめてねえし」
「……やけに仲がいいな」
「ああ、どうも南雲は美波の知り合いらしいぜ」
……しまった、墓穴を掘った。
「……へー、どこで会ったんだ?」
「どこっていうか、なんか前に、ちょっとだけ一緒にサッカーした」
「なんだよ。ちょっとどころか沢山しただろ?俺達、結構気が合うんだぜ?」
「肩に腕回さないでよ暑いから……」
「ふーん。まあいいけど美波を離せよ南雲」
「おい、お前の兄貴がめっちゃ睨んでくるんだけどどうにかしろよ」
「知らないよ……」
.
「よお、美波。久しぶりだな。俺のこと、覚えてんだろ?」
「……うん、久しぶりだね晴矢。でも何しに来たの?」
「別に?俺はグランのお気に入りだっていう円堂守を見に来ただけだぜ」
「守兄がヒロトのお気に入り?」
「は?守兄?」
「円堂守はあたしの双子の兄だよ」
「マジかよ……」
「マジだよ」
知らなかった……と頭を抱える晴矢。そりゃ言ってないしね。でも名字は同じなんだから、気づいたっていいのに。そんなに雷門に興味ないのか。
風介は気づいてたのを教えてあげると、晴矢は心底嫌そうな顔をした。相変わらず喧嘩するほど仲が良いだ。言ったら怒るから言わないけど。
「二人共何してるの?」
「さっきっから気になってたけどよ、仲良さそうだよな」
「ああ……。実は俺と美波、知り合いだったんだよ」
「ちょっ、晴矢!」
「昔会ったことがあってさあ」
「黙って!」
慌てて口を塞いでも晴矢は楽しそうに笑うだけだった。やられた。何てこと言ってくれたんだ、晴矢。間違いなくわざとやったんだ。
晴矢がエイリア学園だってバレたら、その上あたしの知り合いときたら……全部、話さなきゃならないのかな。
「何だよ。俺達トモダチだろ?違うのかよ」
「違わない、けど……何てことしてくれたんだよチューリップ晴矢」
「待て、誰だその呼び方教えたのは」
「風介」
「やっぱりな」
まあいいんじゃね?とあっけらかんとした様子で晴矢は言った。全然よくないよ!
「守兄がお気に入りってどういう事?それに、雷門に入り込んで何するつもり?」
「グランの考えてる事は知らねえ。試合のデータは見たけど何が面白いのかさっぱりだったからな」
「あの試合見たんだ……」
「まーな、つまんなかったけど。だから俺直々に出向いて円堂守の評価をしてやろうってワケ」
「じゃあ、炎のストライカーを名乗ったのは何?」
「あ?ガゼルの奴が言ってたんだよ。雷門が炎のストライカーを探してるって。丁度いいと思っただけだ」
「こうして雷門に入り込もうとしてるのは」
「だから遊びだよ、遊び。ただの暇潰しだ。グランだけちょっかいかけてんのはずるいだろ。ったく、暇さえあれば抜け出しやがって。」
「遊びって、雷門は強いよ」
「ハッ、強いったってイプシロンに引き分けた程度だろ?俺らの練習相手にもならねえのに、遊びじゃなきゃ何なんだよ」
「何それ……」
口元は笑ってるけど、目は笑ってない。冷めた表情に返す言葉も出てこない。晴矢は雷門を気にも留めていない。本当に、暇潰しで、遊びなんだ。
今の雷門はマスターランクチームには勝てない。それは、ジェネシスと戦って身に染みて分かってる。それでも……。
ぎゅっと手を握りしめると、持ってたひんやりとした缶の冷たさが広がった。冷静になれ。ここで熱くなったら、駄目だ。いつか絶対に勝つんだから。
「ところで晴矢、ジュース飲む?」
「は?いやさっき飲んだんだけど……まあ貰えるもんは貰っとくわ」
「せっかくの沖縄なんだしゴーヤジュースなんてどうかな」
「……いらねえ」
「遠慮しないで買ってくるから何事も挑戦してみなきゃ分からない!」
「わざとだろお前!」
「食べ物の恨みは怖いんだよ!知ってた?」
「あー……知ってる」
笑みを消した晴矢はそっぽを向いた。嫌な事を、懐かしい事を思い出したような、そんな横顔。
そういえば、風介とおかずの取り合いした事あったっけ。あの頃は……いや、今は考えるのはやめよう。
「つーかグランの奴は何でお前のこと覚えてないんだ」
「あたしに聞かれても……。というかやっぱり忘れてるでいいんだ」
「じゃなきゃ何だよ」
「あれから何年も経ってるし覚えてない人がいても当然と思ってたけど、なんかヒロト君だけみたいだからさ」
「ふーん。まあ、確かに不自然かもな。あいつが一番美波にべったりだったろ」
「そうだったっけ?」
「そうだろ」
何でも、ヒロト君はあたしがお日さま園に来る度に美波ちゃん美波ちゃんと後ろをついて回ってたとか。思い返せば、色んな子と遊んだけど、ヒロト君と過ごした時間が一番長かったな。
そもそもあたしがお日さま園に行くようになったのはヒロト君と出会ったのが始まりだ。公園で一人でボールを蹴っていたヒロト君。上手なのにどこか寂しそうで、放っておけなかった。
「つーかこんな無茶苦茶女を忘れるとかありえねー」
「無茶苦茶って何さ」
「毎週末自転車で隣町から時間かけて来るのはバカのやることだ」
「そのバカと毎週末遊んでたのは誰だよ」
「そういや木にボール引っかけて、取りに登って落ちかけたこともあったな」
「ヒロト巻き込んじゃったあれか」
「炎のストライカー、見つけたぜ!」
そうこうしている内に集合場所に着いていた。皆集まってるし……あ、知らない人いる。誰だろう。
晴矢が前に進み出ると、守兄達はどこかがっかりした表情になった。皆、豪炎寺だって期待してたしね。あたしだって晴矢を連れてきたくなんかなかった。
知らない人は土方といって、ここの近くに住んでるから色々聞こうと思って守兄が連れてきたらしい。
「でも、もうその必要はなくなったよ。炎のストライカーは、この南雲だ」
「つー訳だ、俺は南雲晴矢。キャプテンの円堂だろ?よろしくな」
「……ああ、よろしく!」
ああ、もう、別に無理してまでよろしくしなくてもいいよ守兄!……どうせ雷門に入る気なんて更々ないんだから。しかも滅茶苦茶ナメてる。
その晴矢はというと、地元民の土方に怪しまれていた。晴矢は沖縄に住んでる訳じゃないから、見たことないのも当然だ。
態度が堂々としてるから流されそうになるけど、土方は警戒してるようだった。そうだ、もっと言ってやれ土方!まだ自己紹介すらしてない仲だけど!
べしっ
「ったあ!何も叩かなくたって!」
「美波お前今変なこと考えてただろ」
「考えてないよチューリップ」
「止めろ、最早原型とどめてねえし」
「……やけに仲がいいな」
「ああ、どうも南雲は美波の知り合いらしいぜ」
……しまった、墓穴を掘った。
「……へー、どこで会ったんだ?」
「どこっていうか、なんか前に、ちょっとだけ一緒にサッカーした」
「なんだよ。ちょっとどころか沢山しただろ?俺達、結構気が合うんだぜ?」
「肩に腕回さないでよ暑いから……」
「ふーん。まあいいけど美波を離せよ南雲」
「おい、お前の兄貴がめっちゃ睨んでくるんだけどどうにかしろよ」
「知らないよ……」
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