第21話 南海の大決闘!
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浜辺にある小屋を借りて一晩を過ごすことになった。暇だからそれぞれが思い思いのやり方で時間を潰す。あたしは守兄達とババ抜きだ。
「しかしけったいな奴やったな、綱海って」
「でも、悪い奴じゃないと思うね」
「気ぃつけや。南国の男は火傷するで」
「は?」
「あいつ、飲み込みが早かったな」
「天性のバランス感覚と、ずば抜けた身体能力の持ち主だね」
「サーファーって言ってたから、あれはボードを乗りこなすうちに身についたんだろうな」
「凄いシュートだったぜ!あのツナミブースト!」
「そういえば円堂さん。あの時の正義の鉄拳は、どうやったんですか?」
「ん?」
「何か感じが違ってました!」
「ん-、咄嗟だったからなあ」
「何かのヒントになったんじゃないか?」
「ババー!」
あ、今度は立向居がババ引いたんだ。通りで鬼道がちょっと固まってた訳だ。……それで立向居に引かせたと。でもそんな風に言ったらバレちゃうって。
そんな風にのんびり過ごしていたら、突然小屋のドアが開いた。そこにいたのは大きな……魚!?
『ええ!?』
「ははっ、邪魔すっぜ。これ、食わせてやろうと思って釣ってきたぜ」
「あ、ありがと……」
魚の正体は綱海だった。にしても釣ってきたって、こんな大きな魚釣れるんだ……。本当に凄いな綱海は。
魚は綱海が捌いてくれて、とても美味しそうな沢山のお刺身がズラリと並ぶ。思いがけず豪華な夕飯だ。壁山なんか涎垂らしてるし、これはまた争奪戦だね!
とりあえず一切れ。うん、釣りたてなだけあって凄く美味しい!なんだか大阪のリカの差し入れを思い出す。……一郎太や栗松はいないけど。
「お前らどこから来た?どこの学校だ?」
「雷門中だよ。フットボールフロンティアで優勝の、って言っても知らないか」
「ああ、知らねえ!」
「あはははは!」
日本一になってちょっとした有名人になった気分だったけど、サッカーを知らない人にとってはそうでもないんだな。当然と言えば当然か。
今まで出会ってきた人達は皆サッカーやってたから、ある意味新鮮な気分。毎日サッカーしてるし、この旅も強い選手集めが目的だから、サッカー以外のことはなかなか無い。
そこに塔子が進み出て、バタフライドリームが出来たのは条兄のおかげだと握手をした。
「なあなあ綱海はこの島の中学なん?」
「いや、サーフィンしに来てるだけだ。住んでるのは沖縄だよ」
「へー、年いくつなん?」
「15」
「15歳ということは……さ、3年生?」
「ん?言わなかったっけ?」
15歳。つまり、中学3年生。衝撃の事実にぽかんと口が開く。どうしよう、年上相手にタメ口で喋ってた……!
「あ、あの、すいません。あの、知らなかったものですから……年上だった、でしたとは……綱海さんが」
「どもり過ぎだよ守兄。ごめんなさい!てっきり同い年と勘違いしてて」
「いいっていいって!そんなこと海の広さに比べりゃちっぽけな話だ!タメ口で頼むぜ!」
「う、うん……」
「おいおいノリが悪ィなあ、堅苦しいのは抜きでよろしく!なっ!」
そう言って差し出された手と顔を交互に見た後、守兄はその手を握った。綱海は気が良いというか、大らかというか。
「改めてよろしくな、綱海!」
「おう!」
「にしても一つ上かあ。通りでなんかお兄さん、って感じした訳だね」
「まあな!近所のチビ達からはにーにって呼ばれてるぜ!」
「にーに?」
「沖縄の方言だ。にーにー、お兄さんって意味だな」
「へー、そうなんだ。にーにー……綱海にーに?」
「そうそう、そんな感じ!」
「……待てよ」
いつもより低い声に驚いて守兄を見ると、拳を握りしめてわなわなと震えていた。何事!?
「だっ、駄目だ駄目だ!美波のお兄ちゃんは俺だ!俺が美波のにーに!」
「円堂、お前……」
「まあまあ」
「あれ本当に止めなくていいの?」
「まあせっかく面白くなりそうなんだからさ、いいんじゃない?」
「でもこんなの雷門の恥じゃ」
「しっ、いいから黙って見とき」
守兄的にはにーに呼びはダメだったらしい。ダメだと言い続ける守兄に、綱海が困ったように頭をかいた。
「つってもこれ、別に家族同士じゃなくても普通に使う呼び方だぜ?」
「俺が!美波の!双子の!兄だから!」
「へー、お前ら双子だったのか。確かに似てんな。よく分かんねえけど、まあ別に俺は何でもいいや」
「何でも良くない!」
「んー……じゃあ、綱海条介だから、条兄?」
「えっ」
「おう!いいぜそれで!」
「えっ!?」
「決まりっ!よろしくね、条兄!」
「よろしくな、美波!」
「うん!よーし、この際皆で自己紹介しようよ!」
「え…………」
そしてそこからは自己紹介。鬼道や土門は元帝国学園とか、一之瀬は帰国子女とか、秋達は幼馴染みとか。しろ君達は出身校も。
……雷門だけど雷門じゃない奴も結構いるんだなと言われて、深い意味はないんだろうけどちょっとグサッときた。
そうだ。雷門は怪我で選手を欠いてしまったチームで、この旅はエイリア学園を倒す為に全国の有力選手を仲間にする旅。今このチームに元のメンバーは半分もいない。
そういえば、鬼道は元々世宇子との試合が終わったら帝国学園に戻る予定だった筈だ。それは今も、変わらないのかな。
「どうした」
「ううん。何でもないよ。それより条兄にサッカーをもっと好きになってもらおうよ」
「それもそうだな。ならまず……」
ポジションとか、今まで戦ったチームの話とか。サッカーの話も沢山した。
興味深そうに聞いていた条兄は「うちの学校はどうだったかな」と言ってたから……もしかすると、もしかするかもしれない!
***
次の日。あたし達は条兄に見送られながら船に乗って、再び目的の島へ向かう。
条兄は近くの島に住んでる訳だし、またサッカー出来るといいな。
「いよいよ沖縄だな」
「炎のストライカー……きっと豪炎寺のことだよね!」
「ああ。待ってろよ、豪炎寺!」
→あとがき
「しかしけったいな奴やったな、綱海って」
「でも、悪い奴じゃないと思うね」
「気ぃつけや。南国の男は火傷するで」
「は?」
「あいつ、飲み込みが早かったな」
「天性のバランス感覚と、ずば抜けた身体能力の持ち主だね」
「サーファーって言ってたから、あれはボードを乗りこなすうちに身についたんだろうな」
「凄いシュートだったぜ!あのツナミブースト!」
「そういえば円堂さん。あの時の正義の鉄拳は、どうやったんですか?」
「ん?」
「何か感じが違ってました!」
「ん-、咄嗟だったからなあ」
「何かのヒントになったんじゃないか?」
「ババー!」
あ、今度は立向居がババ引いたんだ。通りで鬼道がちょっと固まってた訳だ。……それで立向居に引かせたと。でもそんな風に言ったらバレちゃうって。
そんな風にのんびり過ごしていたら、突然小屋のドアが開いた。そこにいたのは大きな……魚!?
『ええ!?』
「ははっ、邪魔すっぜ。これ、食わせてやろうと思って釣ってきたぜ」
「あ、ありがと……」
魚の正体は綱海だった。にしても釣ってきたって、こんな大きな魚釣れるんだ……。本当に凄いな綱海は。
魚は綱海が捌いてくれて、とても美味しそうな沢山のお刺身がズラリと並ぶ。思いがけず豪華な夕飯だ。壁山なんか涎垂らしてるし、これはまた争奪戦だね!
とりあえず一切れ。うん、釣りたてなだけあって凄く美味しい!なんだか大阪のリカの差し入れを思い出す。……一郎太や栗松はいないけど。
「お前らどこから来た?どこの学校だ?」
「雷門中だよ。フットボールフロンティアで優勝の、って言っても知らないか」
「ああ、知らねえ!」
「あはははは!」
日本一になってちょっとした有名人になった気分だったけど、サッカーを知らない人にとってはそうでもないんだな。当然と言えば当然か。
今まで出会ってきた人達は皆サッカーやってたから、ある意味新鮮な気分。毎日サッカーしてるし、この旅も強い選手集めが目的だから、サッカー以外のことはなかなか無い。
そこに塔子が進み出て、バタフライドリームが出来たのは条兄のおかげだと握手をした。
「なあなあ綱海はこの島の中学なん?」
「いや、サーフィンしに来てるだけだ。住んでるのは沖縄だよ」
「へー、年いくつなん?」
「15」
「15歳ということは……さ、3年生?」
「ん?言わなかったっけ?」
15歳。つまり、中学3年生。衝撃の事実にぽかんと口が開く。どうしよう、年上相手にタメ口で喋ってた……!
「あ、あの、すいません。あの、知らなかったものですから……年上だった、でしたとは……綱海さんが」
「どもり過ぎだよ守兄。ごめんなさい!てっきり同い年と勘違いしてて」
「いいっていいって!そんなこと海の広さに比べりゃちっぽけな話だ!タメ口で頼むぜ!」
「う、うん……」
「おいおいノリが悪ィなあ、堅苦しいのは抜きでよろしく!なっ!」
そう言って差し出された手と顔を交互に見た後、守兄はその手を握った。綱海は気が良いというか、大らかというか。
「改めてよろしくな、綱海!」
「おう!」
「にしても一つ上かあ。通りでなんかお兄さん、って感じした訳だね」
「まあな!近所のチビ達からはにーにって呼ばれてるぜ!」
「にーに?」
「沖縄の方言だ。にーにー、お兄さんって意味だな」
「へー、そうなんだ。にーにー……綱海にーに?」
「そうそう、そんな感じ!」
「……待てよ」
いつもより低い声に驚いて守兄を見ると、拳を握りしめてわなわなと震えていた。何事!?
「だっ、駄目だ駄目だ!美波のお兄ちゃんは俺だ!俺が美波のにーに!」
「円堂、お前……」
「まあまあ」
「あれ本当に止めなくていいの?」
「まあせっかく面白くなりそうなんだからさ、いいんじゃない?」
「でもこんなの雷門の恥じゃ」
「しっ、いいから黙って見とき」
守兄的にはにーに呼びはダメだったらしい。ダメだと言い続ける守兄に、綱海が困ったように頭をかいた。
「つってもこれ、別に家族同士じゃなくても普通に使う呼び方だぜ?」
「俺が!美波の!双子の!兄だから!」
「へー、お前ら双子だったのか。確かに似てんな。よく分かんねえけど、まあ別に俺は何でもいいや」
「何でも良くない!」
「んー……じゃあ、綱海条介だから、条兄?」
「えっ」
「おう!いいぜそれで!」
「えっ!?」
「決まりっ!よろしくね、条兄!」
「よろしくな、美波!」
「うん!よーし、この際皆で自己紹介しようよ!」
「え…………」
そしてそこからは自己紹介。鬼道や土門は元帝国学園とか、一之瀬は帰国子女とか、秋達は幼馴染みとか。しろ君達は出身校も。
……雷門だけど雷門じゃない奴も結構いるんだなと言われて、深い意味はないんだろうけどちょっとグサッときた。
そうだ。雷門は怪我で選手を欠いてしまったチームで、この旅はエイリア学園を倒す為に全国の有力選手を仲間にする旅。今このチームに元のメンバーは半分もいない。
そういえば、鬼道は元々世宇子との試合が終わったら帝国学園に戻る予定だった筈だ。それは今も、変わらないのかな。
「どうした」
「ううん。何でもないよ。それより条兄にサッカーをもっと好きになってもらおうよ」
「それもそうだな。ならまず……」
ポジションとか、今まで戦ったチームの話とか。サッカーの話も沢山した。
興味深そうに聞いていた条兄は「うちの学校はどうだったかな」と言ってたから……もしかすると、もしかするかもしれない!
***
次の日。あたし達は条兄に見送られながら船に乗って、再び目的の島へ向かう。
条兄は近くの島に住んでる訳だし、またサッカー出来るといいな。
「いよいよ沖縄だな」
「炎のストライカー……きっと豪炎寺のことだよね!」
「ああ。待ってろよ、豪炎寺!」
→あとがき