第21話 南海の大決闘!
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「はー、びっくりしたぜ。急にボールが飛んできやがるもんだからよ」
「ねえ君!サッカーやってるのか?」
「サッカー?そんなもん1回もねえよ」
「1回も!?」
「あんなに蹴るの上手いのに!?」
「……なあ!サッカー、やってみないか?」
「はあ?」
「あんな凄いキック出来るんだ!やったらすっげえ楽しいぜ!」
「お兄さんならすぐ上達するよ!」
と言ってみても、お兄さんは冗談はよせと笑って流すだけ。俺はサーファーだと。サーフィンはよく知らないけどあのバランス感覚は凄かったしな。
粘っても興味無いとサラッと言われてしまえば、本当に興味が無いのが分かる。残念だけど無理強いは良くない。
「でもやっぱりちょっと残念だね」
「いや、やらなくて正解だ。ド素人がいきなり俺達のレベルについて来られる筈がないからな」
「何!?」
「いくら身体能力が優れていようと、やった事の無い者がすぐに出来る程、サッカーは簡単じゃない」
「き、厳しいね鬼道……」
「当然のことを言っただけだ」
「さっきの見ただろ!ちゃんと蹴り返したじゃねえか!」
「一度だけな」
取り付く島もない鬼道に流石にカチンときたのか、肩を震わせたお兄さんは、さっきとは一転してやる気になった。
やるって言ってくれたのは嬉しいけど、鬼道は何であんな言い方……と思ったら意味ありげにニヤリと笑っていた。あれ、作戦だったんだ。
「歓迎するぜ!えーっと、名前は?」
「俺は綱海、綱海条介だ!」
「円堂守。よろしくな!」
「あたしは円堂美波!よろしく綱海!」
お兄さん改め綱海が加わって、練習再開だ!
「よし、行くぜ。あそこに蹴り込みゃいいんだな」
ボールに足をかけた綱海は、思いきり足を振り上げて一気に蹴り抜いた。
いきなりのシュートに呆気に取られたけど、何より塔子が反応出来ないくらいのスピードで、守兄がなんとか弾ける程の威力に驚く。
分野は違うとはいえスポーツをやってる人の身体能力っていうか、ますます面白くなってきた!
「すげえ……凄いじゃないか綱海!」
「だろ?」
「自信ありそうじゃん」
「ま、サーフィンに比べりゃサッカーなんてどうってことねえよ」
「! サッカーだってそんなに甘くないよ!」
「どうだかなあ」
塔子の言う通り、サッカーだって楽しいけど難しい。そう上手くは続かなくて、綱海は鬼道のパスを見事に空振りした。次のパスは受ける前に一之瀬がカット。完全に翻弄されてるな……。
「全然駄目じゃないの……」
「蹴るだけがサッカーじゃないからね」
「今日が初めてな割には出来てる方だよ」
「でもあの身体能力を活かせてないんじゃ……」
「鬼道が買う程だからコツを掴んだらこう、なんとかならないかな?」
「お兄ちゃんには何か考えがあるんだと思うんです」
「考え?」
あ、噂をすればなんとやら。鬼道がアドバイスしてる。タイミングを計れ、ボールは常に動いてる、か。
リカのシュートを綱海が蹴り飛ばすと、転がったボールを拾った塔子が、回転をかけたシュートを放つ。立向居の目の前で曲がったボールを、綱海は今度は顔面で止めた。
塔子が撃って、綱海がカットする攻防が続く。綱海の動きはどんどん良くなってる。皆が唖然とするくらい慣れるのが早い!
「塔子、今度こそ決めるで」
「おう!」
「「バタフライドリーム!!」」
ふわりと舞ったアゲハ蝶が、ブロックに入った綱海を避けるようにゴールへ飛ぶ。
立向居が反応する前に、シュートはゴールに突き刺さった。バタフライドリーム、完成だ!
「やるじゃねえか」
「綱海!今度はお前の番だ」
「おう!」
そう言って鬼道がパスを出すけど、ことごとくカットされてパスを受けられない。にしても何で鬼道はあんなにも綱海にシュートを撃たせようと?
確かにさっき見せた海の上から撃ったシュートは凄かった。あれを地上で撃ったら……でも何の為に?
「ええい!ドリブルなんてめんどくせえ!ゴールに入れるならどっから蹴ったって同じだ!」
「え!?」
「まさか!」
ボールに向かって跳んだ綱海がその上に乗る。サーフボードのように操ると、勢いよく波を呼び起こした。
「ツナミブースト!」
「必殺技!?」
強い波を纏ったシュートが、水飛沫をあげながら守兄へ飛ぶ。それを見た鬼道がニヤリと笑った。
「これだ!止めろ!円堂!」
「そうか!鬼道さんはこの為に!」
「パッと開かずグッと握って、ダン……ギューン!」
「あれは!」
突き出した守兄の拳から、拳の形をした何かが出た。シュートと拳がぶつかり合って、爆発する。砂煙が収まったそこには、大破したゴールがあった。即席だけど頑丈に作った自信作だったのに……。
……そうか、鬼道の狙いはこれだったんだ。初心者とは思えないパワーの綱海のシュートで守兄の新たな力を引き出す!聞いてみても「さあな」って流されちゃったけど、きっとそうなんだろうな。
「なんだ簡単に出来ちまったなー。やっぱ俺って天才だわ」
「ひ、否定出来ない」
「だろ?」
「凄いぜ綱海!」
「へへっ、見たか。これが俺のツナミブーストだ!」
初めてのサッカーで必殺技を編み出しちゃうなんて、本当に凄い才能だ。もし、綱海がチームに入ってくれたら……ないか。
「ん?美波、何変な顔してんだ?」
「あ、いや、綱海の必殺技凄いなって。あたしも今新しい必殺技作りたくて色々試してるんだけど、どうもしっくりこなくて」
「ふーん。どんな?お前、何が出来るんだ?」
「えっと、水でシュートを止める感じでやりたい。あと今あるのは荒波ってブロック技」
「じゃあもっとデカい波にすればいいだろ」
「デカい波……」
荒波をもっと大きくして壁にする?うーん、いまいちピンと来ない。大きな波、水の塊……。
「他に何かない?」
「そうだなあ、デカくて強い感じのヤツ……そうだ、龍だ!龍!」
「龍?」
「おう!美波の新必殺技は"水龍"だ!」
「水龍……うん、いいかも!大きな龍がシュートを止めちゃう感じ!」
「おうおう!いっそ食っちまえ!」
イメージが次々に湧いてくる。水で出来た龍が、選手に襲いかかる。それこそシュートに食らい付いて呑み込んでしまうような。
これならエイリア学園だって止められる。俄然やる気出てきた!早速やってみよう!
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「ねえ君!サッカーやってるのか?」
「サッカー?そんなもん1回もねえよ」
「1回も!?」
「あんなに蹴るの上手いのに!?」
「……なあ!サッカー、やってみないか?」
「はあ?」
「あんな凄いキック出来るんだ!やったらすっげえ楽しいぜ!」
「お兄さんならすぐ上達するよ!」
と言ってみても、お兄さんは冗談はよせと笑って流すだけ。俺はサーファーだと。サーフィンはよく知らないけどあのバランス感覚は凄かったしな。
粘っても興味無いとサラッと言われてしまえば、本当に興味が無いのが分かる。残念だけど無理強いは良くない。
「でもやっぱりちょっと残念だね」
「いや、やらなくて正解だ。ド素人がいきなり俺達のレベルについて来られる筈がないからな」
「何!?」
「いくら身体能力が優れていようと、やった事の無い者がすぐに出来る程、サッカーは簡単じゃない」
「き、厳しいね鬼道……」
「当然のことを言っただけだ」
「さっきの見ただろ!ちゃんと蹴り返したじゃねえか!」
「一度だけな」
取り付く島もない鬼道に流石にカチンときたのか、肩を震わせたお兄さんは、さっきとは一転してやる気になった。
やるって言ってくれたのは嬉しいけど、鬼道は何であんな言い方……と思ったら意味ありげにニヤリと笑っていた。あれ、作戦だったんだ。
「歓迎するぜ!えーっと、名前は?」
「俺は綱海、綱海条介だ!」
「円堂守。よろしくな!」
「あたしは円堂美波!よろしく綱海!」
お兄さん改め綱海が加わって、練習再開だ!
「よし、行くぜ。あそこに蹴り込みゃいいんだな」
ボールに足をかけた綱海は、思いきり足を振り上げて一気に蹴り抜いた。
いきなりのシュートに呆気に取られたけど、何より塔子が反応出来ないくらいのスピードで、守兄がなんとか弾ける程の威力に驚く。
分野は違うとはいえスポーツをやってる人の身体能力っていうか、ますます面白くなってきた!
「すげえ……凄いじゃないか綱海!」
「だろ?」
「自信ありそうじゃん」
「ま、サーフィンに比べりゃサッカーなんてどうってことねえよ」
「! サッカーだってそんなに甘くないよ!」
「どうだかなあ」
塔子の言う通り、サッカーだって楽しいけど難しい。そう上手くは続かなくて、綱海は鬼道のパスを見事に空振りした。次のパスは受ける前に一之瀬がカット。完全に翻弄されてるな……。
「全然駄目じゃないの……」
「蹴るだけがサッカーじゃないからね」
「今日が初めてな割には出来てる方だよ」
「でもあの身体能力を活かせてないんじゃ……」
「鬼道が買う程だからコツを掴んだらこう、なんとかならないかな?」
「お兄ちゃんには何か考えがあるんだと思うんです」
「考え?」
あ、噂をすればなんとやら。鬼道がアドバイスしてる。タイミングを計れ、ボールは常に動いてる、か。
リカのシュートを綱海が蹴り飛ばすと、転がったボールを拾った塔子が、回転をかけたシュートを放つ。立向居の目の前で曲がったボールを、綱海は今度は顔面で止めた。
塔子が撃って、綱海がカットする攻防が続く。綱海の動きはどんどん良くなってる。皆が唖然とするくらい慣れるのが早い!
「塔子、今度こそ決めるで」
「おう!」
「「バタフライドリーム!!」」
ふわりと舞ったアゲハ蝶が、ブロックに入った綱海を避けるようにゴールへ飛ぶ。
立向居が反応する前に、シュートはゴールに突き刺さった。バタフライドリーム、完成だ!
「やるじゃねえか」
「綱海!今度はお前の番だ」
「おう!」
そう言って鬼道がパスを出すけど、ことごとくカットされてパスを受けられない。にしても何で鬼道はあんなにも綱海にシュートを撃たせようと?
確かにさっき見せた海の上から撃ったシュートは凄かった。あれを地上で撃ったら……でも何の為に?
「ええい!ドリブルなんてめんどくせえ!ゴールに入れるならどっから蹴ったって同じだ!」
「え!?」
「まさか!」
ボールに向かって跳んだ綱海がその上に乗る。サーフボードのように操ると、勢いよく波を呼び起こした。
「ツナミブースト!」
「必殺技!?」
強い波を纏ったシュートが、水飛沫をあげながら守兄へ飛ぶ。それを見た鬼道がニヤリと笑った。
「これだ!止めろ!円堂!」
「そうか!鬼道さんはこの為に!」
「パッと開かずグッと握って、ダン……ギューン!」
「あれは!」
突き出した守兄の拳から、拳の形をした何かが出た。シュートと拳がぶつかり合って、爆発する。砂煙が収まったそこには、大破したゴールがあった。即席だけど頑丈に作った自信作だったのに……。
……そうか、鬼道の狙いはこれだったんだ。初心者とは思えないパワーの綱海のシュートで守兄の新たな力を引き出す!聞いてみても「さあな」って流されちゃったけど、きっとそうなんだろうな。
「なんだ簡単に出来ちまったなー。やっぱ俺って天才だわ」
「ひ、否定出来ない」
「だろ?」
「凄いぜ綱海!」
「へへっ、見たか。これが俺のツナミブーストだ!」
初めてのサッカーで必殺技を編み出しちゃうなんて、本当に凄い才能だ。もし、綱海がチームに入ってくれたら……ないか。
「ん?美波、何変な顔してんだ?」
「あ、いや、綱海の必殺技凄いなって。あたしも今新しい必殺技作りたくて色々試してるんだけど、どうもしっくりこなくて」
「ふーん。どんな?お前、何が出来るんだ?」
「えっと、水でシュートを止める感じでやりたい。あと今あるのは荒波ってブロック技」
「じゃあもっとデカい波にすればいいだろ」
「デカい波……」
荒波をもっと大きくして壁にする?うーん、いまいちピンと来ない。大きな波、水の塊……。
「他に何かない?」
「そうだなあ、デカくて強い感じのヤツ……そうだ、龍だ!龍!」
「龍?」
「おう!美波の新必殺技は"水龍"だ!」
「水龍……うん、いいかも!大きな龍がシュートを止めちゃう感じ!」
「おうおう!いっそ食っちまえ!」
イメージが次々に湧いてくる。水で出来た龍が、選手に襲いかかる。それこそシュートに食らい付いて呑み込んでしまうような。
これならエイリア学園だって止められる。俄然やる気出てきた!早速やってみよう!
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