第21話 南海の大決闘!
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「潮風気持ちいーいー」
バサバサしている髪を、手櫛で適当に梳かす。あ、ちょっとごわついてる。今日はしっかり洗わないとな。
同じように風に靡くなっちゃんの髪は、ウェーブがかってるけど柔らかい。綺麗だよなあ。一郎太もあんな……。
「……」
今は止めよう、考えるの。
「監督が先に行って探してるんですよね」
「その筈だけど、まだ連絡がないの」
「豪炎寺さんに会ったらファイアトルネード受けてみたいです!」
「そうか!けどアイツのシュートはそう簡単には止められないぜ?」
「なんてったって、あの豪炎寺のシュートなんだからね!」
「でも、俺も負けませんよ!」
「助けてくれーっ!」
「ん?」
逃げるように走ってきた夕弥が、春ちゃんの後ろに隠れた。そして追いかけるように来た塔子の顔には、酷い落書き。
夕弥も毎日毎日飽きないよなあ……。イタズラのネタも尽きないし、よく考え付くよね。自分が標的にならない限りは賑やかだけど。
「あ、島が見えてきた」
「アナウンスで言ってたけど、阿夏遠島だって」
「あがとうじま……。凄い名前だな」
そんなことを考えてたら、目金が海に落ちた。守兄が飛び込もうとしてたけど、誰かが泳いで来て、目金を助けてくれた。
その為、目的の島はまだ先だけど、一旦船を降りることになった。目金はどうやらサンゴに気を取られて落ちたらしい。確かに綺麗だったし、珍しいから気持ちもわかる。
「ありがとう!君は目金は目金の命の恩人だ!」
「よせよ、礼を言われるほどじゃねえって」
「そうですよ。僕だって泳げるんですから……」
「バカ野郎!海を甘く見んな!海は命が生まれる所だ。命を落とされちゃたまんねえよ!」
「はい……」
「ま、とにかくさ、無事でなによりだ。じゃあな」
守兄が助けに行こうとしてたけど、ジャージ着てたし、あのまま飛び込んでたら守兄も危なかったかもしれない。
下手に助けに行くと助けに行った方も危ないって言うし、あの人がいてくれて本当良かった。海は命が生まれる所……良い言葉だな。
気を取り直して目的の島へ、と思ったら、なんと次の船は明日。仕方ないので、一日この阿夏遠島で過ごすことになった。
空いた時間で何をするかといったらもちろん練習!落ちていた木で枠を作って、ネットを張って砂浜に即席のゴールを作る。ラインを引いたら準備完了!
「さあやるぞ!やる気さえあればそこがフィールドだ!」
『おう!』
2チームに分かれてミニゲーム。あたし、しろ君、夕弥は人数の関係上で観戦に回った。
早速守兄が究極奥義正義の鉄拳に挑戦する。パッと開かずギュッと握って、ダン、ギューン、ドカン。でも、成功はしなかった。
「まただ……ギューンってなんなんだろ?」
「焦るな円堂。究極奥義と名付けられた技だ。簡単には覚えられるはずがない」
「そうだな。究極奥義、身に付けたらどんなすげえシュートだって防げるんだろうな。絶対覚えてみせるぜ!」
「苦戦しそうだなあ……あれ?」
ひゃっほーい!という声と、風を切るような音が聞こえた。聞こえた方……海を向けば、さっきのお兄さんが飛んできた。そしてすたっと着地。
「ん?よお、また会ったな」
軽い感じでそう言ったと思ったら、一緒に飛んできたサーフボードがドスッと地面に突き刺る。危ないよ!?
「サッカーって砂浜でもやるもんなのか?まあいいや、頑張れよ」
それだけ言うと、お兄さんは離れた所で寝っ転がった。皆な呆然としてる。もちろんあたしも。にしても海から飛んでくるなんて、凄いジャンプ力だ。
気を取り直して特訓再開。塔子のシュートを立向居がマジン・ザ・ハンドで止める。うん、完璧にモノにしたね!
それを見た塔子が、リカにバタフライドリームをやるのを提案した。攻撃のバリエーションが増えれば、作戦の幅も広がると。
「アカンアカン!あれはダーリンとウチのラブラブ技や!」
「まだ一度も出来てないけどね。うしし」
「せやせや!ダーリンが許さへんわ!なあ、ダーリン!」
「いいんじゃないか?やってみなよ。ね?」
「やるやる!ええ考えやん!流石ダーリン、目の付け所が違うわあ!ほらほら、何グズグズしてんねん塔子!さっさと練習やるでえ!」
……なんて変わり身の早さ。陽花戸ではあんなに一之瀬とやりたがってたのに。胸を撫で下ろしてたの、あたしは見逃さなかったよ一之瀬。
なら早速と試すけど、当然ながら簡単にはタイミングが合わなかった。塔子が蹴ったボールは逸れて、見当違いな方へと飛んでいく。
そのまま砂浜に刺さっているボードにボールが当たって、倒れたボードが脇で寝ていたお兄さんに直撃した。マズい!慌てて駆け寄って謝ると、ボード片手にお兄さんは問いかけてきた。
「これ、蹴ったの誰だ?」
「あたしだけど」
「サンキュ!」
「は?」
「丁度いい波の立つ時間だったんだ!危うく寝過ごすところだったぜ!」
「大丈夫なのか?」
「ああ!いいっていいって!んなこたあ、海の広さに比べりゃあちっぽけな話だ!じゃあな」
そう言って笑うと、海の方へ行ってしまった。これまたあっさりと許してくれたな……。心が広いというか、大らかというか。
戻ってバタフライドリームの練習を続ける。けれど、今度は海の方へ逸れてしまった。逸れた先にはやっぱりお兄さんがいて、シュートをボードの上から蹴り返した。す、凄いバランス感覚……!
しかも蹴り返されたシュートは、立向居が止められないくらいのパワーだった。あの距離から立向居を破るなんて!
守兄と顔を見合わせる。あんな凄いの見せられたら考えることは一つだ。決まってるよね!砂浜に戻ってきたお兄さんの元へ駆け出した。
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バサバサしている髪を、手櫛で適当に梳かす。あ、ちょっとごわついてる。今日はしっかり洗わないとな。
同じように風に靡くなっちゃんの髪は、ウェーブがかってるけど柔らかい。綺麗だよなあ。一郎太もあんな……。
「……」
今は止めよう、考えるの。
「監督が先に行って探してるんですよね」
「その筈だけど、まだ連絡がないの」
「豪炎寺さんに会ったらファイアトルネード受けてみたいです!」
「そうか!けどアイツのシュートはそう簡単には止められないぜ?」
「なんてったって、あの豪炎寺のシュートなんだからね!」
「でも、俺も負けませんよ!」
「助けてくれーっ!」
「ん?」
逃げるように走ってきた夕弥が、春ちゃんの後ろに隠れた。そして追いかけるように来た塔子の顔には、酷い落書き。
夕弥も毎日毎日飽きないよなあ……。イタズラのネタも尽きないし、よく考え付くよね。自分が標的にならない限りは賑やかだけど。
「あ、島が見えてきた」
「アナウンスで言ってたけど、阿夏遠島だって」
「あがとうじま……。凄い名前だな」
そんなことを考えてたら、目金が海に落ちた。守兄が飛び込もうとしてたけど、誰かが泳いで来て、目金を助けてくれた。
その為、目的の島はまだ先だけど、一旦船を降りることになった。目金はどうやらサンゴに気を取られて落ちたらしい。確かに綺麗だったし、珍しいから気持ちもわかる。
「ありがとう!君は目金は目金の命の恩人だ!」
「よせよ、礼を言われるほどじゃねえって」
「そうですよ。僕だって泳げるんですから……」
「バカ野郎!海を甘く見んな!海は命が生まれる所だ。命を落とされちゃたまんねえよ!」
「はい……」
「ま、とにかくさ、無事でなによりだ。じゃあな」
守兄が助けに行こうとしてたけど、ジャージ着てたし、あのまま飛び込んでたら守兄も危なかったかもしれない。
下手に助けに行くと助けに行った方も危ないって言うし、あの人がいてくれて本当良かった。海は命が生まれる所……良い言葉だな。
気を取り直して目的の島へ、と思ったら、なんと次の船は明日。仕方ないので、一日この阿夏遠島で過ごすことになった。
空いた時間で何をするかといったらもちろん練習!落ちていた木で枠を作って、ネットを張って砂浜に即席のゴールを作る。ラインを引いたら準備完了!
「さあやるぞ!やる気さえあればそこがフィールドだ!」
『おう!』
2チームに分かれてミニゲーム。あたし、しろ君、夕弥は人数の関係上で観戦に回った。
早速守兄が究極奥義正義の鉄拳に挑戦する。パッと開かずギュッと握って、ダン、ギューン、ドカン。でも、成功はしなかった。
「まただ……ギューンってなんなんだろ?」
「焦るな円堂。究極奥義と名付けられた技だ。簡単には覚えられるはずがない」
「そうだな。究極奥義、身に付けたらどんなすげえシュートだって防げるんだろうな。絶対覚えてみせるぜ!」
「苦戦しそうだなあ……あれ?」
ひゃっほーい!という声と、風を切るような音が聞こえた。聞こえた方……海を向けば、さっきのお兄さんが飛んできた。そしてすたっと着地。
「ん?よお、また会ったな」
軽い感じでそう言ったと思ったら、一緒に飛んできたサーフボードがドスッと地面に突き刺る。危ないよ!?
「サッカーって砂浜でもやるもんなのか?まあいいや、頑張れよ」
それだけ言うと、お兄さんは離れた所で寝っ転がった。皆な呆然としてる。もちろんあたしも。にしても海から飛んでくるなんて、凄いジャンプ力だ。
気を取り直して特訓再開。塔子のシュートを立向居がマジン・ザ・ハンドで止める。うん、完璧にモノにしたね!
それを見た塔子が、リカにバタフライドリームをやるのを提案した。攻撃のバリエーションが増えれば、作戦の幅も広がると。
「アカンアカン!あれはダーリンとウチのラブラブ技や!」
「まだ一度も出来てないけどね。うしし」
「せやせや!ダーリンが許さへんわ!なあ、ダーリン!」
「いいんじゃないか?やってみなよ。ね?」
「やるやる!ええ考えやん!流石ダーリン、目の付け所が違うわあ!ほらほら、何グズグズしてんねん塔子!さっさと練習やるでえ!」
……なんて変わり身の早さ。陽花戸ではあんなに一之瀬とやりたがってたのに。胸を撫で下ろしてたの、あたしは見逃さなかったよ一之瀬。
なら早速と試すけど、当然ながら簡単にはタイミングが合わなかった。塔子が蹴ったボールは逸れて、見当違いな方へと飛んでいく。
そのまま砂浜に刺さっているボードにボールが当たって、倒れたボードが脇で寝ていたお兄さんに直撃した。マズい!慌てて駆け寄って謝ると、ボード片手にお兄さんは問いかけてきた。
「これ、蹴ったの誰だ?」
「あたしだけど」
「サンキュ!」
「は?」
「丁度いい波の立つ時間だったんだ!危うく寝過ごすところだったぜ!」
「大丈夫なのか?」
「ああ!いいっていいって!んなこたあ、海の広さに比べりゃあちっぽけな話だ!じゃあな」
そう言って笑うと、海の方へ行ってしまった。これまたあっさりと許してくれたな……。心が広いというか、大らかというか。
戻ってバタフライドリームの練習を続ける。けれど、今度は海の方へ逸れてしまった。逸れた先にはやっぱりお兄さんがいて、シュートをボードの上から蹴り返した。す、凄いバランス感覚……!
しかも蹴り返されたシュートは、立向居が止められないくらいのパワーだった。あの距離から立向居を破るなんて!
守兄と顔を見合わせる。あんな凄いの見せられたら考えることは一つだ。決まってるよね!砂浜に戻ってきたお兄さんの元へ駆け出した。
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