第18話 もうひとつのマジン・ザ・ハンド!
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夕飯を食べて銭湯で一汗流してきた後、あたしはキャラバンの上で夜空を見ていた。
あんな試合久しぶりだったな。大阪でリカのチームと試合した時も思ったけど、またああいう試合をしたい。帝国に漫遊寺、それから白恋。
フットボールフロンティアで戦った学校と練習試合もいいな。野生に御影専農、戦国伊賀島、木戸川とか。でもその為には、エイリア学園を倒さないといけない。やるとしても、まだまだ先のことになるだ。
そういえば今日の試合、しろ君はエターナルブリザードを撃たなかった。たまにはディフェンスに専念しようってことかな。
一人で抱え込まないで、頼って欲しい。巻き込んで欲しい。けど実際にそうなった時、あたしはどうすればいいだろう。……人のこと、全然言えないしな。
「……よし、寝よう!」
立ち上がって、思い切ってキャラバンの上からジャンプしてみる。よし、着地成功!100点!なんてやってみても、誰かが見ている訳でもなく。
「はあ……」
「どうかしたの?」
「うわあ!?」
振り返ると、そこにはヒロト君が立っていた。さっきの見られてた……。というかどうして福岡に?いつものことながら神出鬼没過ぎるよ。
「やあ、美波ちゃん。また驚かせちゃったかな?」
「ヒロトにはいつも驚かされてる気がする……。それよりどうしてここに?」
「美波ちゃんがいるみたいだったから話に」
「そうなんだ。……ヒロトって実は暇してる?」
「かもね」
「嘘だあ……」
「さあ、どうだろう。ああ、そうだ。さっき円堂くんと明日俺のチームと試合をしようって約束したんだ」
「え」
さらりと言われた言葉に頭の中が真っ白になる。ヒロト君のチームってことは、エイリア学園で一番強いチームと明日戦うってこと?
対する雷門はイプシロンと引き分けたばかり。諦めなければ勝てる、そう思いたい。けど正直、今回ばかりはちゃんとした試合になるかも怪しい。
「美波ちゃん?」
「あ、いや、ヒロトのチームと試合かあ!楽しみだなって!」
「そうだね。俺も楽しみなんだ、雷門との試合」
にっこりと微笑んだヒロト君は本当に楽しみそうで、どうして明日とか、何で急に試合の約束なんてとかの疑問が吹っ飛んで、別の疑問が湧いてくる。
ヒロト君は試合が楽しみだと言う。……サッカーは必要だからやってるだけと言っていた、ヒロト君が。あたし達の、雷門のサッカーから、ヒロト君は何か感じたのだろうか。
雷門とサッカーをすることで、ヒロト君がサッカーが楽しいと思ってくれたら……。
今のヒロト君はサッカーをどう思ってるのだろう。知りたい。どう聞けばいい。考えていると、不意にヒロト君は目を伏せた。
「多分、もう会いには来れないと思うから」
「ヒロト……?」
「本当は、こんなに会いに来る筈じゃなかったんだ。仲良くなるつもりも無かった。けど、君と過ごす時間は想像以上に楽しくて、気づいたら会いに来てた」
「……」
「不思議なんだ、美波ちゃんは。どうしてか惹きつけられる。……君と話していると、何か大切な物を思い出せそうな気がする」
「大切な、もの?」
「さあね。ただ、何かを忘れてしまっているような気がする。それだけ」
「ヒロト……」
「けど、きっと今の俺には必要の無いことだから思い出せないんだろうね」
「……あ、あたしも!ヒロトと話したりするの楽しかった!だから」
「じゃあね、楽しかったよ」
あたしの言葉を遮るようにそう言うと、ヒロト君は少しだけ笑って、行ってしまった。
呼び止めるとか追いかけるとか、そんなこと出来る訳がなかった。
……またねって、言ってくれなかったな。
***
次の日、陽花戸中グラウンドで軽くアップをする。皆は守兄が持ってきた試合の話で盛り上がってるけど、あたしの心の中は憂鬱だった。
ヒロト君が、エイリア学園のチームを率いて、来る。
「はあ……」
「ため息なんてどうかしたのか?」
「何でもないよ」
「嘘だろ」
「な、何で」
「いつも言ってるだろ。何年幼馴染みやってると思ってるんだ」
……やっぱり一郎太には、隠そうとしてもバレちゃうのか。
「何かあったら言えよ。相談に乗るから」
「だから大丈夫だよ!相変わらずの心配性だな一郎太は」
「俺は別に、心配性って訳じゃ」
「そう言う一郎太は何かあったりしない?」
「それ昨日も聞いたぞ……。だから俺は大丈夫だって」
にしてもはぐらかすのが下手だな、と言いたそうな一郎太の視線が痛い。そんなの一郎太だって同じじゃん。大丈夫の一点張りで。……案外似た者同士なのかも、とか。
その時だった、黒い霧が流れてきたのは。いつもエイリア学園が現れる時に出てくる霧だ。時間は、12時丁度。
皆が警戒する中、陽花戸グラウンドの一角が光に包まれた。11人分の人影。その姿は段々とはっきりしてきて、中心にいたのは、見慣れた赤い髪。違うのは、その赤が逆立っていること。
「やあ……円堂くん」
「! まさか、ヒロト!?」
ヒロト君と目が合った。目を細めて笑うヒロト君。得体の知れない誰かに感じたのは、多分、宇宙人としてで姿が違うからだけじゃない。
「これが俺のチーム、エイリア学園ザ・ジェネシスっていうんだ。よろしく」
「ジェネシス……。お前、宇宙人だったのか……?」
「どういうことだ、円堂」
「ヒロト……」
「さあ円堂くん。サッカー、やろうよ」
不敵な笑みを浮かべたヒロト君に、不吉な予感を感じずにはいられなかった。
→あとがき
あんな試合久しぶりだったな。大阪でリカのチームと試合した時も思ったけど、またああいう試合をしたい。帝国に漫遊寺、それから白恋。
フットボールフロンティアで戦った学校と練習試合もいいな。野生に御影専農、戦国伊賀島、木戸川とか。でもその為には、エイリア学園を倒さないといけない。やるとしても、まだまだ先のことになるだ。
そういえば今日の試合、しろ君はエターナルブリザードを撃たなかった。たまにはディフェンスに専念しようってことかな。
一人で抱え込まないで、頼って欲しい。巻き込んで欲しい。けど実際にそうなった時、あたしはどうすればいいだろう。……人のこと、全然言えないしな。
「……よし、寝よう!」
立ち上がって、思い切ってキャラバンの上からジャンプしてみる。よし、着地成功!100点!なんてやってみても、誰かが見ている訳でもなく。
「はあ……」
「どうかしたの?」
「うわあ!?」
振り返ると、そこにはヒロト君が立っていた。さっきの見られてた……。というかどうして福岡に?いつものことながら神出鬼没過ぎるよ。
「やあ、美波ちゃん。また驚かせちゃったかな?」
「ヒロトにはいつも驚かされてる気がする……。それよりどうしてここに?」
「美波ちゃんがいるみたいだったから話に」
「そうなんだ。……ヒロトって実は暇してる?」
「かもね」
「嘘だあ……」
「さあ、どうだろう。ああ、そうだ。さっき円堂くんと明日俺のチームと試合をしようって約束したんだ」
「え」
さらりと言われた言葉に頭の中が真っ白になる。ヒロト君のチームってことは、エイリア学園で一番強いチームと明日戦うってこと?
対する雷門はイプシロンと引き分けたばかり。諦めなければ勝てる、そう思いたい。けど正直、今回ばかりはちゃんとした試合になるかも怪しい。
「美波ちゃん?」
「あ、いや、ヒロトのチームと試合かあ!楽しみだなって!」
「そうだね。俺も楽しみなんだ、雷門との試合」
にっこりと微笑んだヒロト君は本当に楽しみそうで、どうして明日とか、何で急に試合の約束なんてとかの疑問が吹っ飛んで、別の疑問が湧いてくる。
ヒロト君は試合が楽しみだと言う。……サッカーは必要だからやってるだけと言っていた、ヒロト君が。あたし達の、雷門のサッカーから、ヒロト君は何か感じたのだろうか。
雷門とサッカーをすることで、ヒロト君がサッカーが楽しいと思ってくれたら……。
今のヒロト君はサッカーをどう思ってるのだろう。知りたい。どう聞けばいい。考えていると、不意にヒロト君は目を伏せた。
「多分、もう会いには来れないと思うから」
「ヒロト……?」
「本当は、こんなに会いに来る筈じゃなかったんだ。仲良くなるつもりも無かった。けど、君と過ごす時間は想像以上に楽しくて、気づいたら会いに来てた」
「……」
「不思議なんだ、美波ちゃんは。どうしてか惹きつけられる。……君と話していると、何か大切な物を思い出せそうな気がする」
「大切な、もの?」
「さあね。ただ、何かを忘れてしまっているような気がする。それだけ」
「ヒロト……」
「けど、きっと今の俺には必要の無いことだから思い出せないんだろうね」
「……あ、あたしも!ヒロトと話したりするの楽しかった!だから」
「じゃあね、楽しかったよ」
あたしの言葉を遮るようにそう言うと、ヒロト君は少しだけ笑って、行ってしまった。
呼び止めるとか追いかけるとか、そんなこと出来る訳がなかった。
……またねって、言ってくれなかったな。
***
次の日、陽花戸中グラウンドで軽くアップをする。皆は守兄が持ってきた試合の話で盛り上がってるけど、あたしの心の中は憂鬱だった。
ヒロト君が、エイリア学園のチームを率いて、来る。
「はあ……」
「ため息なんてどうかしたのか?」
「何でもないよ」
「嘘だろ」
「な、何で」
「いつも言ってるだろ。何年幼馴染みやってると思ってるんだ」
……やっぱり一郎太には、隠そうとしてもバレちゃうのか。
「何かあったら言えよ。相談に乗るから」
「だから大丈夫だよ!相変わらずの心配性だな一郎太は」
「俺は別に、心配性って訳じゃ」
「そう言う一郎太は何かあったりしない?」
「それ昨日も聞いたぞ……。だから俺は大丈夫だって」
にしてもはぐらかすのが下手だな、と言いたそうな一郎太の視線が痛い。そんなの一郎太だって同じじゃん。大丈夫の一点張りで。……案外似た者同士なのかも、とか。
その時だった、黒い霧が流れてきたのは。いつもエイリア学園が現れる時に出てくる霧だ。時間は、12時丁度。
皆が警戒する中、陽花戸グラウンドの一角が光に包まれた。11人分の人影。その姿は段々とはっきりしてきて、中心にいたのは、見慣れた赤い髪。違うのは、その赤が逆立っていること。
「やあ……円堂くん」
「! まさか、ヒロト!?」
ヒロト君と目が合った。目を細めて笑うヒロト君。得体の知れない誰かに感じたのは、多分、宇宙人としてで姿が違うからだけじゃない。
「これが俺のチーム、エイリア学園ザ・ジェネシスっていうんだ。よろしく」
「ジェネシス……。お前、宇宙人だったのか……?」
「どういうことだ、円堂」
「ヒロト……」
「さあ円堂くん。サッカー、やろうよ」
不敵な笑みを浮かべたヒロト君に、不吉な予感を感じずにはいられなかった。
→あとがき