第18話 もうひとつのマジン・ザ・ハンド!
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後半が始まった。気負わなくていい試合に皆楽しんでるからか動きが良い。
早々に一之瀬がボールを奪った。そこからパスを受けた鬼道が、ブロックサーカスを見越したバックパスをあたしに出して、あたしはそのまましろ君にダイレクト。
けれどしろ君の動きはぎこちない。シュートを撃つように言う周りの声も聞こえてないみたいで、その隙を突いた戸田にボールを奪われてしまった。
撃たれたシュートは守兄がマジン・ザ・ハンドでセーブしたものの、しろ君は何かに耐えるかのように拳を握りしめていた。
「しろ君、大丈夫?」
「う、うん。ちょっと失敗しちゃった」
無理矢理作ったような笑顔を向けられた。ここまで攻撃への意欲が低いのは初めてだ。……本当に大丈夫なのかな。
陽花戸の方を見ると、立向居が守兄を観察するようにじっと見ていた。これはもしかすると、もしかするかもしれない。
守兄が投げたボールを鬼道が受けとる。雷門の反撃だ。よし、今度はあたしが!
「こっち!」
手を上げて催促すれば、パスが飛んできた。タイミングばっちり!流石鬼道!
「行くよ、立向居!アクアストリームッ!」
「円堂さんの動きは……こうだった!」
「嘘、いきなり!?」
立向居の周りを気が渦巻いて、青い魔神が姿を現した。肌で感じるビリビリとした感覚。これは、間違いない!
まだ未完成だからあたしのシュートはけど決まったけど、立向居はマジン・ザ・ハンドを出した。1回直接見ただけであの完成度。とんでもない才能だ。
「見たか、あいつの気迫……」
「凄かった。まるで守兄を相手にしてるみたいだったよ!」
「ああ。面白いぞ!立向居!」
それからの雷門の勢いは止まらなかった。ローズスプラッシュ、ツインブーストを立て続けに得点を決めていく。
立向居はマジン・ザ・ハンドに挑戦するけど、流石にすぐには完成しない。でも着実に物にしていて、これは近いうちに成果が出そうだ。
守兄も立向居も挑戦してる。だからって訳じゃないけど、あたしも新しいことに挑みたい。もっと上へ、強くなりたいから。
陽花戸の攻撃だ。守兄に合図を送れば、頷いてくれた。心配そうな視線を向けてくる一郎太に軽く手を振って、迫る必殺シュート、レインボーループに備える。
「たあああっ!!」
腕を振りかざして呼び起こした水の塊をぶつける。シュートの勢いが少し落ちた。やったか。と思ったのも束の間で、波を突き破ったシュートが顔面に直撃した。
「ぶふっ」
「美波ーーー!!!」
守兄の絶叫。跳ね返ってあらぬ方向へ飛んでいくボールを追う塔子を横目に、背中に衝撃。地面の感触。……すぐ成功するなんて思ってなかったけど、ここまで盛大に失敗するとも思ってなかった。
「美波!大丈夫……ではないか」
「うん……」
二日連続で顔面ブロックか……。当たり所が良かったのか悪かったのか、鼻血は出てないけど普通に痛い。苦笑いの一郎太が差し出してくれた手を取る。
「いきなり実践なんて無茶苦茶だ」
「無茶はあたしの」
「必殺技、だろ。ったく、兄妹揃ってこれなんだからな」
「まあ、ほら。やってみなくちゃ分からないから!考え過ぎないでまず行動!」
「というか”やる”の部分すらまだ曖昧なままに見えたんだが……」
「それはそうだけど、とりあえず思い付いたことをやってみれば何かしら見えてくるかなって」
「やっぱり無茶苦茶だ。でも、美波らしいよ。……だからこそ、いつだって体当たりだから、人を動かすんだろうな」
「一郎太?」
「なんでもない。新必殺技、頑張れよ」
そう言ってポジションに戻っていく。一郎太から見て感じたものはなかったかアドバイスが聞きたかったんだけど、なんだか聞けない雰囲気だ。
こういうの、前は影野に聞いてたんだけどな。でも今はいないし。なら土門か壁山か夕弥か……。
「美波」
「あ、守兄」
「交代するか?」
「大丈夫。後半も半分切ってるし、せっかくだからもっと試したい」
「わかった。でも無理はするなよ。試合が終わったら冷やすこと!」
「はーい!」
ちなみにシュートを撃った松林には平謝りされた。自分から突っ込んでったんだから気にしなくていいのに。
試合の流れを見つつ、時間の許す限りシュートブロック技を試す。とはいえ技といっても完成からは程遠くて全然だ。ちょっと威力を弱めるので精一杯。
何が足りないんだろう。波でさらうんじゃなくて、押し留めるイメージで。何度やっても波はシュートに押されて散ってしまう。
壁山や塔子みたく踏ん張れないし、夕弥のように受け流せない。なかなか掴めなくて出来ないばっかりだ。うーん、もっと前に踏み込んで……。
「美波!来てるぞ!」
「! 荒波!」
鬼道の声。気づけば戸田が目前にいた。シュートブロックのことを考えすぎてた。戸田を止めて前方の空いたスペースにパスを出せば、ゴールから飛び出した守兄が走り込む。
ザ・フェニックスを決めて最終スコアは4ー0。雷門の勝利に終わった。守兄がシュートを撃つの、久しぶりに見た。……イナズマ1号もイナズマブレイクも、豪炎寺がいないと出来ないからな。
「立向居のマジン・ザ・ハンド、どう思う」
「俺達のシュートを受ければ受ける程、完成に近づいてる気がするよ」
「試合の中で進化していく。まるで誰かさんみたいだな」
「え?」
「ゴッドハンドを物にした程だ。ひょっとするとマジン・ザ・ハンドも使えるようになるかもしれないぞ」
「かもしれない、じゃなくて使えるようになるよ!だって守兄にそっくりだったしね!」
「違いないな。円堂2号だ」
「これからが楽しみな選手だよ」
守兄が立向居に激励して、握手を交わす。守兄のキーパーの後輩かあ。いつか全国で戦えたらいいな!
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早々に一之瀬がボールを奪った。そこからパスを受けた鬼道が、ブロックサーカスを見越したバックパスをあたしに出して、あたしはそのまましろ君にダイレクト。
けれどしろ君の動きはぎこちない。シュートを撃つように言う周りの声も聞こえてないみたいで、その隙を突いた戸田にボールを奪われてしまった。
撃たれたシュートは守兄がマジン・ザ・ハンドでセーブしたものの、しろ君は何かに耐えるかのように拳を握りしめていた。
「しろ君、大丈夫?」
「う、うん。ちょっと失敗しちゃった」
無理矢理作ったような笑顔を向けられた。ここまで攻撃への意欲が低いのは初めてだ。……本当に大丈夫なのかな。
陽花戸の方を見ると、立向居が守兄を観察するようにじっと見ていた。これはもしかすると、もしかするかもしれない。
守兄が投げたボールを鬼道が受けとる。雷門の反撃だ。よし、今度はあたしが!
「こっち!」
手を上げて催促すれば、パスが飛んできた。タイミングばっちり!流石鬼道!
「行くよ、立向居!アクアストリームッ!」
「円堂さんの動きは……こうだった!」
「嘘、いきなり!?」
立向居の周りを気が渦巻いて、青い魔神が姿を現した。肌で感じるビリビリとした感覚。これは、間違いない!
まだ未完成だからあたしのシュートはけど決まったけど、立向居はマジン・ザ・ハンドを出した。1回直接見ただけであの完成度。とんでもない才能だ。
「見たか、あいつの気迫……」
「凄かった。まるで守兄を相手にしてるみたいだったよ!」
「ああ。面白いぞ!立向居!」
それからの雷門の勢いは止まらなかった。ローズスプラッシュ、ツインブーストを立て続けに得点を決めていく。
立向居はマジン・ザ・ハンドに挑戦するけど、流石にすぐには完成しない。でも着実に物にしていて、これは近いうちに成果が出そうだ。
守兄も立向居も挑戦してる。だからって訳じゃないけど、あたしも新しいことに挑みたい。もっと上へ、強くなりたいから。
陽花戸の攻撃だ。守兄に合図を送れば、頷いてくれた。心配そうな視線を向けてくる一郎太に軽く手を振って、迫る必殺シュート、レインボーループに備える。
「たあああっ!!」
腕を振りかざして呼び起こした水の塊をぶつける。シュートの勢いが少し落ちた。やったか。と思ったのも束の間で、波を突き破ったシュートが顔面に直撃した。
「ぶふっ」
「美波ーーー!!!」
守兄の絶叫。跳ね返ってあらぬ方向へ飛んでいくボールを追う塔子を横目に、背中に衝撃。地面の感触。……すぐ成功するなんて思ってなかったけど、ここまで盛大に失敗するとも思ってなかった。
「美波!大丈夫……ではないか」
「うん……」
二日連続で顔面ブロックか……。当たり所が良かったのか悪かったのか、鼻血は出てないけど普通に痛い。苦笑いの一郎太が差し出してくれた手を取る。
「いきなり実践なんて無茶苦茶だ」
「無茶はあたしの」
「必殺技、だろ。ったく、兄妹揃ってこれなんだからな」
「まあ、ほら。やってみなくちゃ分からないから!考え過ぎないでまず行動!」
「というか”やる”の部分すらまだ曖昧なままに見えたんだが……」
「それはそうだけど、とりあえず思い付いたことをやってみれば何かしら見えてくるかなって」
「やっぱり無茶苦茶だ。でも、美波らしいよ。……だからこそ、いつだって体当たりだから、人を動かすんだろうな」
「一郎太?」
「なんでもない。新必殺技、頑張れよ」
そう言ってポジションに戻っていく。一郎太から見て感じたものはなかったかアドバイスが聞きたかったんだけど、なんだか聞けない雰囲気だ。
こういうの、前は影野に聞いてたんだけどな。でも今はいないし。なら土門か壁山か夕弥か……。
「美波」
「あ、守兄」
「交代するか?」
「大丈夫。後半も半分切ってるし、せっかくだからもっと試したい」
「わかった。でも無理はするなよ。試合が終わったら冷やすこと!」
「はーい!」
ちなみにシュートを撃った松林には平謝りされた。自分から突っ込んでったんだから気にしなくていいのに。
試合の流れを見つつ、時間の許す限りシュートブロック技を試す。とはいえ技といっても完成からは程遠くて全然だ。ちょっと威力を弱めるので精一杯。
何が足りないんだろう。波でさらうんじゃなくて、押し留めるイメージで。何度やっても波はシュートに押されて散ってしまう。
壁山や塔子みたく踏ん張れないし、夕弥のように受け流せない。なかなか掴めなくて出来ないばっかりだ。うーん、もっと前に踏み込んで……。
「美波!来てるぞ!」
「! 荒波!」
鬼道の声。気づけば戸田が目前にいた。シュートブロックのことを考えすぎてた。戸田を止めて前方の空いたスペースにパスを出せば、ゴールから飛び出した守兄が走り込む。
ザ・フェニックスを決めて最終スコアは4ー0。雷門の勝利に終わった。守兄がシュートを撃つの、久しぶりに見た。……イナズマ1号もイナズマブレイクも、豪炎寺がいないと出来ないからな。
「立向居のマジン・ザ・ハンド、どう思う」
「俺達のシュートを受ければ受ける程、完成に近づいてる気がするよ」
「試合の中で進化していく。まるで誰かさんみたいだな」
「え?」
「ゴッドハンドを物にした程だ。ひょっとするとマジン・ザ・ハンドも使えるようになるかもしれないぞ」
「かもしれない、じゃなくて使えるようになるよ!だって守兄にそっくりだったしね!」
「違いないな。円堂2号だ」
「これからが楽しみな選手だよ」
守兄が立向居に激励して、握手を交わす。守兄のキーパーの後輩かあ。いつか全国で戦えたらいいな!
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