第18話 もうひとつのマジン・ザ・ハンド!
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守兄はボールを見据えると、足を踏み込んで構えた。
「パッと開かずグッと握って……ダン、ギューン、ドカン!」
それっぽい拳のオーラが飛び出すも、形になりきる前に消えてしまう。じいちゃんが究極奥義とした必殺技、そう簡単にはいかないか。
守兄は吹っ飛んだけど、ボールはなんとか弾いた。また撃たれたシュートもフォローに入った土門が蹴り返す。
「ゴールは俺達がカバーする!お前は新たな技への挑戦を続けろ!」
「おう!」
双方一歩も引かない駆け引きが続く。陽花戸は位置取りが上手いな。それをどう攻略しようか考えるのが楽しい。
……やっぱり、サッカーは楽しくやるのが一番だ。世界の平和とか、命運がどうとか、そういうのがかかってない試合。
荒波でボールを奪って、栗松に回す。グッと足に力を込めた栗松は、新必殺技のダッシュアクセルを披露した。
「新必殺技!凄いじゃん!」
「俺だって負けてられないでやんす!」
栗松が一郎太にパス。その速さに陽花戸は追いつけていない。パスを繋いで攻めていく。リカのシュートは立向居のゴッドハンドでがっちり止められた。……あの気迫、まるで守兄みたい!
「よし!」
「よしじゃないだろ円堂!」
「あ」
思わず立向居を褒めた守兄に塔子がツッコむ。でも守兄の気持ちも分かる。あんなのを見せられたら、応援したくなっちゃうよ。
「ダーリン!こうなったらウチとダーリンのラブラブシュート決めたるで!」
「ラブラブシュート!?」
「え、そんなシュートあったの一之瀬?」
「知らないよ!」
「ええー!ダーリンのいけず!」
「何で!?」
「次チャンスが来たらやったるでえ!美波、パス頼んだで!」
気合を入れるリカに対して一之瀬の顔は青い。一体何があったって言うんだ。
そうこうしてるうちに、陽花戸の反撃が始まった。さっきまでとは動きが違う。こっちの動きに慣れてきた感じ。
「やはり、奴らはこっちのフォーメーションを読んできている……!」
「どういうこと?」
「強いチームを研究して自分達の力に変える!そうやって俺達はレベルアップを図ってきたんだ!」
……凄い。弱点を突いてボールを奪ったりするプレー。陽花戸中と戦う事で、自分達の弱点が浮き彫りになって、改善点が見つかりそうだ。
試合前、瞳子監督は難しそう顔をしてたけど、この試合は絶対にレベルアップに繋がる。
「よーし!」
戸田に渡ったボールを、しろ君がアイスグランドで奪い返した。流石のディフェンスだ。
「しろ君今日も調子いいね!ナイスディフェンス!」
「うん!……よし、これでいい」
回ってきたボールを持ってマリンアクセルで上がる。前線の一之瀬に渡したら、リカが一之瀬と並んだ。もしかしてこれは!
「ラブラブシュート!?」
「美波意味分かって言ってる!?」
「ううん、ごめんよく分かってない」
「ええ!?」
「美波の言う通りやでダーリン!ラブラブシュートや!」
「だからそれなんなの!?」
「決まってるやん!2人の愛の結晶といえばバタフライドリーム!」
確かにバタフライドリームは撃つ時に手を繋ぐ。なるほど、だからラブラブシュートになるのか。
手を繋ぐべくリカは一之瀬に手を差し出す。けれど一之瀬の顔は物凄いひきつっていた。……もしかして余計なこと言っちゃったかな。
「一之瀬!この際やってみろ!」
「やれよ!ダーリン!」
「分かった分かった!やるよ!」
鬼道に促され、土門に囃し立てられて、一之瀬もついにやけくそになったのかやると言い出した。……鬼道はともかく土門は悪ノリが入っていたような。
でも一之瀬が渋っている間に、ブロックサーカスでボールは奪われてしまった。うん、なんというか、ドンマイだ。
「愛が壊れたね~。もともと愛なんて無かったけど。うししっ!」
「仲間としての気持ちはあると思うけど……」
「ふーん。なんだ、美波も全然分かんないって訳じゃないんだ」
「……何が?」
「そう言っちゃってさ、まあ分からないままの方が楽だし簡単かもね」
「だから何が、っと!」
飛んできたボールをクリアする。守兄が弾いたのだったみたいだ。夕弥と話してる場合じゃなかった、危ない危ない。
そこでホイッスルが鳴って、前半が終わった。
「流石究極奥義だ。そう簡単には掴めない」
「まあ円堂大介が出来なかった訳だし、てゆーかアイディア倒れ?」
「あんたは一言余計!」
「そうそう!まだ出来ないとか決まった訳じゃない!」
究極奥義っていう名前がつくくらいの必殺技なんだから、そう簡単には完成しないのは承知の上だ。
ゴッドハンドもマジン・ザ・ハンドもそうだった。沢山特訓して身に付けた。今はまだ掴み切れてないけど、だからこそやり甲斐があるってもんだ。
「やはり彼らはあなた達の練習相手として不足じゃないかしら?」
「いえ、陽花戸中は俺達をよく研究しています。彼らと戦うことで、俺達のこれからの課題が見えてくると思うんです」
「こんな試合も久しぶりですからね。皆!楽しんでやろうぜ!」
確かにエイリア学園との戦いに集中してて息も詰まってたし、いい息抜きにもなりそうだ。
……いつかまた、こんな楽しいサッカーをヒロト君やリュウジ達と出来たらいいな。今はエイリア学園の皆も、そう思ってくれたら……。
「後半、始まるぞ」
「あ、うん!」
「また何か考え事か?」
見透かすようにじっと見つめられて、言葉に詰まってしまった。どうして一郎太は分かっちゃうんだろう。
きっと聞いても、何年幼馴染みやってるんだと思ってるんだって言うだけだろうけど。
「……あたし達もやってみる?バタフライドリーム!」
「は!?いきなり何言ってんだよ!」
「言ってみただけ!それより一郎太こそ何か考えたり悩んだりしてない?」
「いや俺は……大丈夫だ」
一瞬、ほんの一瞬だけ一郎太は表情を曇らせた。すぐになんでもないように笑ったけど、隠されたと思った。一郎太があたしを心配してくれるように、あたしだって一郎太が心配だ。
……けど、不安や悩みを言いたくない気持ちも分かる。だから待つことにする。一郎太もいつもあたしを待ってくれてたから。大阪の時みたいに話し合って、乗り越えていけたらって思う。
とりあえず今は、この試合を楽しもう!
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「パッと開かずグッと握って……ダン、ギューン、ドカン!」
それっぽい拳のオーラが飛び出すも、形になりきる前に消えてしまう。じいちゃんが究極奥義とした必殺技、そう簡単にはいかないか。
守兄は吹っ飛んだけど、ボールはなんとか弾いた。また撃たれたシュートもフォローに入った土門が蹴り返す。
「ゴールは俺達がカバーする!お前は新たな技への挑戦を続けろ!」
「おう!」
双方一歩も引かない駆け引きが続く。陽花戸は位置取りが上手いな。それをどう攻略しようか考えるのが楽しい。
……やっぱり、サッカーは楽しくやるのが一番だ。世界の平和とか、命運がどうとか、そういうのがかかってない試合。
荒波でボールを奪って、栗松に回す。グッと足に力を込めた栗松は、新必殺技のダッシュアクセルを披露した。
「新必殺技!凄いじゃん!」
「俺だって負けてられないでやんす!」
栗松が一郎太にパス。その速さに陽花戸は追いつけていない。パスを繋いで攻めていく。リカのシュートは立向居のゴッドハンドでがっちり止められた。……あの気迫、まるで守兄みたい!
「よし!」
「よしじゃないだろ円堂!」
「あ」
思わず立向居を褒めた守兄に塔子がツッコむ。でも守兄の気持ちも分かる。あんなのを見せられたら、応援したくなっちゃうよ。
「ダーリン!こうなったらウチとダーリンのラブラブシュート決めたるで!」
「ラブラブシュート!?」
「え、そんなシュートあったの一之瀬?」
「知らないよ!」
「ええー!ダーリンのいけず!」
「何で!?」
「次チャンスが来たらやったるでえ!美波、パス頼んだで!」
気合を入れるリカに対して一之瀬の顔は青い。一体何があったって言うんだ。
そうこうしてるうちに、陽花戸の反撃が始まった。さっきまでとは動きが違う。こっちの動きに慣れてきた感じ。
「やはり、奴らはこっちのフォーメーションを読んできている……!」
「どういうこと?」
「強いチームを研究して自分達の力に変える!そうやって俺達はレベルアップを図ってきたんだ!」
……凄い。弱点を突いてボールを奪ったりするプレー。陽花戸中と戦う事で、自分達の弱点が浮き彫りになって、改善点が見つかりそうだ。
試合前、瞳子監督は難しそう顔をしてたけど、この試合は絶対にレベルアップに繋がる。
「よーし!」
戸田に渡ったボールを、しろ君がアイスグランドで奪い返した。流石のディフェンスだ。
「しろ君今日も調子いいね!ナイスディフェンス!」
「うん!……よし、これでいい」
回ってきたボールを持ってマリンアクセルで上がる。前線の一之瀬に渡したら、リカが一之瀬と並んだ。もしかしてこれは!
「ラブラブシュート!?」
「美波意味分かって言ってる!?」
「ううん、ごめんよく分かってない」
「ええ!?」
「美波の言う通りやでダーリン!ラブラブシュートや!」
「だからそれなんなの!?」
「決まってるやん!2人の愛の結晶といえばバタフライドリーム!」
確かにバタフライドリームは撃つ時に手を繋ぐ。なるほど、だからラブラブシュートになるのか。
手を繋ぐべくリカは一之瀬に手を差し出す。けれど一之瀬の顔は物凄いひきつっていた。……もしかして余計なこと言っちゃったかな。
「一之瀬!この際やってみろ!」
「やれよ!ダーリン!」
「分かった分かった!やるよ!」
鬼道に促され、土門に囃し立てられて、一之瀬もついにやけくそになったのかやると言い出した。……鬼道はともかく土門は悪ノリが入っていたような。
でも一之瀬が渋っている間に、ブロックサーカスでボールは奪われてしまった。うん、なんというか、ドンマイだ。
「愛が壊れたね~。もともと愛なんて無かったけど。うししっ!」
「仲間としての気持ちはあると思うけど……」
「ふーん。なんだ、美波も全然分かんないって訳じゃないんだ」
「……何が?」
「そう言っちゃってさ、まあ分からないままの方が楽だし簡単かもね」
「だから何が、っと!」
飛んできたボールをクリアする。守兄が弾いたのだったみたいだ。夕弥と話してる場合じゃなかった、危ない危ない。
そこでホイッスルが鳴って、前半が終わった。
「流石究極奥義だ。そう簡単には掴めない」
「まあ円堂大介が出来なかった訳だし、てゆーかアイディア倒れ?」
「あんたは一言余計!」
「そうそう!まだ出来ないとか決まった訳じゃない!」
究極奥義っていう名前がつくくらいの必殺技なんだから、そう簡単には完成しないのは承知の上だ。
ゴッドハンドもマジン・ザ・ハンドもそうだった。沢山特訓して身に付けた。今はまだ掴み切れてないけど、だからこそやり甲斐があるってもんだ。
「やはり彼らはあなた達の練習相手として不足じゃないかしら?」
「いえ、陽花戸中は俺達をよく研究しています。彼らと戦うことで、俺達のこれからの課題が見えてくると思うんです」
「こんな試合も久しぶりですからね。皆!楽しんでやろうぜ!」
確かにエイリア学園との戦いに集中してて息も詰まってたし、いい息抜きにもなりそうだ。
……いつかまた、こんな楽しいサッカーをヒロト君やリュウジ達と出来たらいいな。今はエイリア学園の皆も、そう思ってくれたら……。
「後半、始まるぞ」
「あ、うん!」
「また何か考え事か?」
見透かすようにじっと見つめられて、言葉に詰まってしまった。どうして一郎太は分かっちゃうんだろう。
きっと聞いても、何年幼馴染みやってるんだと思ってるんだって言うだけだろうけど。
「……あたし達もやってみる?バタフライドリーム!」
「は!?いきなり何言ってんだよ!」
「言ってみただけ!それより一郎太こそ何か考えたり悩んだりしてない?」
「いや俺は……大丈夫だ」
一瞬、ほんの一瞬だけ一郎太は表情を曇らせた。すぐになんでもないように笑ったけど、隠されたと思った。一郎太があたしを心配してくれるように、あたしだって一郎太が心配だ。
……けど、不安や悩みを言いたくない気持ちも分かる。だから待つことにする。一郎太もいつもあたしを待ってくれてたから。大阪の時みたいに話し合って、乗り越えていけたらって思う。
とりあえず今は、この試合を楽しもう!
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