第14話 一之瀬!最大の危機!!
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噂をすればなんとやらだけど、たったさっき思い出してた彼とこうもすぐに再会することになるとは。
対する風君はというと、いきなり大声をあげたあたしに怪訝そうな顔をしていた。ヒロト君みたく、覚えてないのかもしれない。
風君は何も言わない。ただ見てるだけで……いや見てるのはあたしじゃない。振り向くとそこにはヒロト君がいた。
お互いに険しい顔で視線をぶつけ合うヒロト君と風君。なんか、一触即発な雰囲気。自分が酷く場違いなように感じる。
「……何故ここにいる」
「それはこちらのセリフだね。こんな所で油を売る程暇をしているとは思わなかったよ」
「俺が何をしていようが君には関係無いだろ」
「あるね。最近の勝手な行動の多さは目に余る。少しは立場を弁えたらどうだ。それとも、そんなに彼女が気になるかい?」
完全に蚊帳の外になってしまったと思いきや、突然視線を向けられた。青い瞳は何の感情もない。
ヒロト君の立場。勝手な行動というのは雷門の様子も見に来てることか。あと、あたしと会ってること?特訓にも付き合ってくれた訳で。
「随分と無様な格好になっていることだしもう帰ったらどうかな」
「君はどうする気だ」
「私は私で用があるのさ。貴様如きとは違う。それに、私も彼女に興味がある」
「……そう。じゃあ……またね、美波ちゃん」
「あ、うん。またねヒロト」
頷いたヒロト君が人混みの中に消えていく。……あ、タオル返しそびれた。次に会う時にって約束したのに。どの道今持ってないからキャラバンに取りに戻るしかないんだけど。
ヒロトがいなくなってこの場に残されたあたしと風君の二人。正直気まずい。あたしに興味があるとは言ってたけど、何を話そうっていうんだ。
「……その様子だと私が覚えているかどうか見定めようとしている、といったところか」
「あ……!」
「久しぶりだね、美波」
そう言って風君は微笑んだ。覚えててくれたんだ!皆があたしのことを覚えてるか忘れてるか。どっちの方が良いのか考えもしたけど、やっぱり嬉しいや。
にしても風君まで何でここに?ヒロト君といい風君といい、実はエイリア学園は結構暇してる……んな訳ないか。
用があるってさっき言ってたしね。雷門がナニワランドにアジト探しに来るって情報を聞いて、証拠隠滅しに来たとか。
ん?ヒロト君と違ってってことは、ヒロト君はエイリア学園として雷門に接触してる訳じゃないってこと?……ますますわからなくなる。
とりあえず人目につかない場所で話そう。ということで園の端っこにあるベンチへ移動。
「覚えているということは美波は私達が何をしているかもわかっているね」
「……うん、リュウジに聞いた。皆がエイリア学園なんだよね」
「ああ。美波は雷門中サッカー部で、あの円堂守の妹なんだろう」
風君は苦々しげに口元を歪めると、気を落ち着かせるように髪を梳いた。
「敵同士、か。皮肉なものだな。またサッカーをやろうという約束がこんな形でか」
「でも、また会えたのは嬉しいよ」
これは本心だ。この戦いがなければ、しろ君や明王ちゃんとも再会することは無かったかもしれない。お日さま園にいた皆と戦うのは辛いけど……。
「美波がしたかったサッカーとは違うだろう」
「それはそうだけど。あたし、頑張って強くなるから!風君とも戦えるくらいに!それから」
エイリア学園を倒して、皆を助ける。そう言おうとして、蘇ってきたのは明王ちゃんに言われた言葉。
――エイリア学園はお前に助けられるのを望んでんのか?
未だにエイリア学園の目的はわからない。わからないけど、サッカーで破壊活動なんて許せないから、雷門は戦ってる。あたしにとっては、友達を助ける為の戦いでもある。
……けど、あたしがやろうとしてることは、ヒロト君や風君にとってはどうなんだろう。助ける、だなんて。望んでもないことを勝手にされて迷惑、とか。
挨拶も出来ずに別れたあの日から、彼らがどう過ごしてきたのかをあたしは知らない。何の為に、誰の為に、何を思ってどんな思いでこんなことをしているのかも。
でも……やっぱり駄目だ。半田達は大怪我をした。雷門中が壊された。傘美野だって、木戸川だって。理由が何であれ人を傷つけていい理由なんて無い。
雷門の皆にも、お日さま園の皆にも、嫌われたくない。だから、だから……。
「美波」
「っ!何かな風君!」
「君は私達と戦うのを恐れているかい?」
「こ、怖くない……って言ったら嘘になるけど、逃げる訳にはいかない」
「そうだね、その通りだ。そしてそれは私達も同じ」
「風君……」
「お互いが信じるもの……守りたいものの為に戦おう」
風君の言葉は胸にストンと落ちてきた。……守りたいものの為に、か。うん、そうだね。あたしにも風君にも、今こうして在りたい理由がある。
それは相容れないものかもしれない。だから、戦う。信じるものを信じていたいから。守りたいものがあるから。
「もう、大丈夫かな」
「うん。ありがとう、風君!」
「……時に美波。あいつを呼び捨てにしていたね」
「え、あ?ああ、ヒロトのこと?」
「私も同じがいい」
「そう?じゃあ風介ね!風介!」
風君改め風介はあたしがヒロト君のことをヒロトと呼ぶようになったのを気にしてたらしい。いつか会うこともあるだろうけど、晴君のことも晴矢って呼んだ方がいいのかな。
「そういえば名前といえばあれ、風介にもあるの?宇宙人名。リュウジがレーゼで治がデザームなんでしょ」
「ああ……。……ガゼルだ」
「ガゼル、ガゼルかあ……。うーん、やっぱ風介の方がらしくていいな」
風介、ガゼル、風介。うん、絶対こっちの方がいい。何度も呼んでたらやめてくれと言われた。真顔だった。けどちょっとだけ顔が赤かったから照れてたと思う。
ちなみに晴君はバーンというらしい。相変わらずうるさいだのやかましいだの、チューリップが立派に咲いてるとかどうのこうの。
口ぶりからして風介、晴君、そしてヒロト君はやはり同じチームでは無いらしい。皆強くなるべく毎日訓練していて、切磋琢磨……というにはギスギスした感じがする。
前も風介と晴君はヒロト君に対して微妙な態度な時はあったけど、今はあの頃の比じゃない。それが寂しかったりもして。
風介はというと物珍しそうに辺りを見回していた。そうか、風介も……。
「風介、遊園地初めて?」
「……ここへ来たの自体は初めてではない」
「エイリア学園のアジトがあるからそれ関係?」
「……」
「よっし、じゃああたしとちょっと回ろうよ!」
「遊びに来た訳ではないだろう」
「それは風介も一緒じゃん。でも今こうして話してる。だから今だけ忘れることにした!」
今だけ。今だけでいいから、雷門とかエイリアとか関係なく、円堂美波と涼野風介として過ごしたい。
差し出した手は、握り返してもらえた。それが無性に嬉しかった。
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対する風君はというと、いきなり大声をあげたあたしに怪訝そうな顔をしていた。ヒロト君みたく、覚えてないのかもしれない。
風君は何も言わない。ただ見てるだけで……いや見てるのはあたしじゃない。振り向くとそこにはヒロト君がいた。
お互いに険しい顔で視線をぶつけ合うヒロト君と風君。なんか、一触即発な雰囲気。自分が酷く場違いなように感じる。
「……何故ここにいる」
「それはこちらのセリフだね。こんな所で油を売る程暇をしているとは思わなかったよ」
「俺が何をしていようが君には関係無いだろ」
「あるね。最近の勝手な行動の多さは目に余る。少しは立場を弁えたらどうだ。それとも、そんなに彼女が気になるかい?」
完全に蚊帳の外になってしまったと思いきや、突然視線を向けられた。青い瞳は何の感情もない。
ヒロト君の立場。勝手な行動というのは雷門の様子も見に来てることか。あと、あたしと会ってること?特訓にも付き合ってくれた訳で。
「随分と無様な格好になっていることだしもう帰ったらどうかな」
「君はどうする気だ」
「私は私で用があるのさ。貴様如きとは違う。それに、私も彼女に興味がある」
「……そう。じゃあ……またね、美波ちゃん」
「あ、うん。またねヒロト」
頷いたヒロト君が人混みの中に消えていく。……あ、タオル返しそびれた。次に会う時にって約束したのに。どの道今持ってないからキャラバンに取りに戻るしかないんだけど。
ヒロトがいなくなってこの場に残されたあたしと風君の二人。正直気まずい。あたしに興味があるとは言ってたけど、何を話そうっていうんだ。
「……その様子だと私が覚えているかどうか見定めようとしている、といったところか」
「あ……!」
「久しぶりだね、美波」
そう言って風君は微笑んだ。覚えててくれたんだ!皆があたしのことを覚えてるか忘れてるか。どっちの方が良いのか考えもしたけど、やっぱり嬉しいや。
にしても風君まで何でここに?ヒロト君といい風君といい、実はエイリア学園は結構暇してる……んな訳ないか。
用があるってさっき言ってたしね。雷門がナニワランドにアジト探しに来るって情報を聞いて、証拠隠滅しに来たとか。
ん?ヒロト君と違ってってことは、ヒロト君はエイリア学園として雷門に接触してる訳じゃないってこと?……ますますわからなくなる。
とりあえず人目につかない場所で話そう。ということで園の端っこにあるベンチへ移動。
「覚えているということは美波は私達が何をしているかもわかっているね」
「……うん、リュウジに聞いた。皆がエイリア学園なんだよね」
「ああ。美波は雷門中サッカー部で、あの円堂守の妹なんだろう」
風君は苦々しげに口元を歪めると、気を落ち着かせるように髪を梳いた。
「敵同士、か。皮肉なものだな。またサッカーをやろうという約束がこんな形でか」
「でも、また会えたのは嬉しいよ」
これは本心だ。この戦いがなければ、しろ君や明王ちゃんとも再会することは無かったかもしれない。お日さま園にいた皆と戦うのは辛いけど……。
「美波がしたかったサッカーとは違うだろう」
「それはそうだけど。あたし、頑張って強くなるから!風君とも戦えるくらいに!それから」
エイリア学園を倒して、皆を助ける。そう言おうとして、蘇ってきたのは明王ちゃんに言われた言葉。
――エイリア学園はお前に助けられるのを望んでんのか?
未だにエイリア学園の目的はわからない。わからないけど、サッカーで破壊活動なんて許せないから、雷門は戦ってる。あたしにとっては、友達を助ける為の戦いでもある。
……けど、あたしがやろうとしてることは、ヒロト君や風君にとってはどうなんだろう。助ける、だなんて。望んでもないことを勝手にされて迷惑、とか。
挨拶も出来ずに別れたあの日から、彼らがどう過ごしてきたのかをあたしは知らない。何の為に、誰の為に、何を思ってどんな思いでこんなことをしているのかも。
でも……やっぱり駄目だ。半田達は大怪我をした。雷門中が壊された。傘美野だって、木戸川だって。理由が何であれ人を傷つけていい理由なんて無い。
雷門の皆にも、お日さま園の皆にも、嫌われたくない。だから、だから……。
「美波」
「っ!何かな風君!」
「君は私達と戦うのを恐れているかい?」
「こ、怖くない……って言ったら嘘になるけど、逃げる訳にはいかない」
「そうだね、その通りだ。そしてそれは私達も同じ」
「風君……」
「お互いが信じるもの……守りたいものの為に戦おう」
風君の言葉は胸にストンと落ちてきた。……守りたいものの為に、か。うん、そうだね。あたしにも風君にも、今こうして在りたい理由がある。
それは相容れないものかもしれない。だから、戦う。信じるものを信じていたいから。守りたいものがあるから。
「もう、大丈夫かな」
「うん。ありがとう、風君!」
「……時に美波。あいつを呼び捨てにしていたね」
「え、あ?ああ、ヒロトのこと?」
「私も同じがいい」
「そう?じゃあ風介ね!風介!」
風君改め風介はあたしがヒロト君のことをヒロトと呼ぶようになったのを気にしてたらしい。いつか会うこともあるだろうけど、晴君のことも晴矢って呼んだ方がいいのかな。
「そういえば名前といえばあれ、風介にもあるの?宇宙人名。リュウジがレーゼで治がデザームなんでしょ」
「ああ……。……ガゼルだ」
「ガゼル、ガゼルかあ……。うーん、やっぱ風介の方がらしくていいな」
風介、ガゼル、風介。うん、絶対こっちの方がいい。何度も呼んでたらやめてくれと言われた。真顔だった。けどちょっとだけ顔が赤かったから照れてたと思う。
ちなみに晴君はバーンというらしい。相変わらずうるさいだのやかましいだの、チューリップが立派に咲いてるとかどうのこうの。
口ぶりからして風介、晴君、そしてヒロト君はやはり同じチームでは無いらしい。皆強くなるべく毎日訓練していて、切磋琢磨……というにはギスギスした感じがする。
前も風介と晴君はヒロト君に対して微妙な態度な時はあったけど、今はあの頃の比じゃない。それが寂しかったりもして。
風介はというと物珍しそうに辺りを見回していた。そうか、風介も……。
「風介、遊園地初めて?」
「……ここへ来たの自体は初めてではない」
「エイリア学園のアジトがあるからそれ関係?」
「……」
「よっし、じゃああたしとちょっと回ろうよ!」
「遊びに来た訳ではないだろう」
「それは風介も一緒じゃん。でも今こうして話してる。だから今だけ忘れることにした!」
今だけ。今だけでいいから、雷門とかエイリアとか関係なく、円堂美波と涼野風介として過ごしたい。
差し出した手は、握り返してもらえた。それが無性に嬉しかった。
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