第14話 一之瀬!最大の危機!!
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エイリア学園のアジトがある。その情報を頼りにやってきたのは、大阪のナニワランドに来ていた。
要は遊園地だ。こんな人も多い所にアジトなんてあるのかな……。皆を見ると、訝しげな表情をしている人が大半。
あ、夕弥の目がキラキラしてる。なんてったって遊園地だしね。あたしだって、エイリア学園のことが無かったら遊びたい。
とにもかくにも、何か手がかりが無いか分かれて捜索することになった。
早速女の子二人と行ってしまったしろ君は流石というかなんというか。モテるね。
「美波、よかったら一緒に行かないか?」
「でもここ結構広いみたいだし、バラバラに探した方がいいと思う」
「……それもそうだな。じゃあ、後でな」
「うん。後でね!」
「残念だったな、風丸」
「鬼道お前……音無はどうした?」
「……木暮と行ってしまった」
「そ、そっか。……一緒に行くか」
「……そうだな」
***
それにしても人が凄い。休みの日なのもあって、思ってた以上に混んでる。
アテもないのでひとまず端から端まで回るべく地図を眺めて、辺りをぶらつく。あ、売店。色々お土産売ってるな。このブレスレットかわいい。
「あれ?もしかして雷門中?」
「そうだけど……なんですか?」
「試合中継見たんだよ。俺達もサッカーやってるからさ!」
「宇宙人と戦ってんだろ?女の子なのに凄いよなあ」
「ありがとうございます」
「一人?よかったら俺達と回ろうぜ」
「お断りします」
話しかけてきたのはなんというか……チャラい?雰囲気でいかにも不良って感じの人達。関わったら駄目そうな。
嫌な時はハッキリ嫌だって言うんだぞ!という守兄の教え通りに言うと、不良の顔が一瞬歪んだ。
かと思ったらニヤニヤと笑いだした。何が面白いのかさっぱりだけどこのままいたらまずい気がする。
逃げるべくちょっとずつ後退ってたら急に距離を詰めて手を伸ばされた。ヤバい。と思ったら横から伸びてきた手がその腕を掴んだ。
「そういうの、格好悪いからやめなよ」
「な、何だテメェ!」
「この子の連れだよ」
「ひ、ヒロト!?」
割って入ってきたのはまさかのヒロト君だった。何でここに!?何しに来た!?
……エイリア学園のヒロト君がいる。つまり、ナニワランドには、本当にエイリア学園のアジトがあるのかもしれない。
ちなみになおも突っかかってきた不良は不機嫌そうなヒロト君の一睨みで退散した。凄いなヒロト君は。
お礼を言って何でいるかも聞いたら「観光かな」と……。適当な返事過ぎて返す言葉もないんだけど、わかってて言ってる気がする。
「ヒロト君遊園地好きなの?」
「初めて来たからよくわからないや」
「え」
さっきとは違う理由で言葉が出て来なくなる。お日さま園で育ったヒロト君との育ちの違いをまざまざと突き付けられて、気まずくなって視線を斜め上に向けた。あ、あの雲うさぎみたい。
どうしよう。ヒロト君は雷門は大阪に来るって情報を得て様子を見に来たのかな。そもそもエイリア学園のヒロト君と一緒じゃ探そうにも探せないし。
ヒロト君は何も言わない。チラッと視線を戻したらじっとこっちを見ていたので慌てて逸らした。あたしを見てて何が面白いんだろう。何でもいいから言ってほしい。
「……今日は天気がいいね」
「そうだね」
「絶好のサッカー日和だね!」
「美波ちゃんは本当にサッカーが好きだね」
「まあ、小さい頃からやってるし」
「それは自分の為?」
「まあ……今はね」
「ふーん」
「ヒロトともサッカーしたいな」
「そのうちするかもね」
会話は終わった。そのうちって何だ。イプシロンの次ってことか。そういや考えたことなかったけど、エイリア学園は何チームあるんだろう。
ジェミニストーム、イプシロン、ヒロト君のチーム。他には?風君や晴君が同じチームとは考えにくいから、あと……2チーム?
そう思うと途方も無いように思えてきて、頭を振って振り払う。今考えることじゃない。まずはイプシロンへのリベンジ!その後のことは勝ってから考える!
ヒロト君と別れてアジト探しを再開しよう。そう思って向き直ろうとしたら、突然ヒロト君に引き寄せられた。
顔を上げればすぐそこにヒロト君の顔があった。しかめっ面だ。そして甘い匂い。赤い髪が少しべたついていて、ジャケットも湿っている。何か、かけられた?
見回せばさっきの不良が紙コップ片手にいかにも転びそうですな半端な体勢でいた。何が目的か知らないけどあいつらわざとかけたんだ!
「美波ちゃんのジャージを故意に汚すことで近づこうとしたんだろうね」
「ええ汚れたら脱げばいいじゃん。下普通にシャツ着てるし」
「そういうのが通じる輩じゃない」
「……ごめん。庇ってくれてありがとう」
「これくらい平気だから気にしないで」
「イチャついてんじゃねーよ!」
「さっきっから何だよ!何がしたいの!」
これはあれだ。ナンパってやつだ。そして失敗したから難癖つけてきたんだ。あたしだけでなくヒロト君にもここまでされたら一言文句言ってやりたい。
それで近づいたのが不用意だった。後ろへ引っ張られる感覚に、ぶちぶちと髪が何本か抜けた。そのままあたしの上半身は後方へ投げ出されて、バランスを崩して尻もちをつく。
振り返ると、不良の仲間の手にはハチマキがあった。あいつら……!!
「ハチマキ返せえ!」
「美波ちゃん!」
呼び止める声が聞こえるけど構ってられない。取られた上に逃げられたなら、取り返す為に走って追いかける以外ない。
ここに慣れているのか、人混みの中を不良達はどんどん進んで、逆に慣れてないあたしは少しずつ離されていく。
「(守に貰ったハチマキなのに……!)」
一郎太がここにいたら、一郎太の足ならすぐ追いついてた。やっぱり一緒に回れば良かったかもしれない。
悔しい。あんな奴らに負けたくないのに。
人をかき分けて少し開けた場所に出る。人もまばらだ。からかわれているのか不良は足を緩めていて、その奥に雷門ジャージが見えた。これなら先回りしてもらって……。
「ノーザンインパクト!」
突然現れた一人の男の子が、ハチマキを持っている不良の腹を蹴り飛ばした。
「えっ……?」
辺りに漂う冷気に吹っ飛んだ不良。誰?助けてくれた?というかもしかして今の必殺技?あの蹴り、サッカーやってる?
衝撃的過ぎて脳内をハテナが飛び交う。倒れた不良に近づいていく男の子の横顔にも見覚えがある気がする。そしてここはナニワランド。いや、まさか。
「てめっ……よくも!」
「その汚い手でこれに触れるな」
「ひいっ」
「早く私の前から失せろ」
「おいもう行こうぜ」
「おっ、覚えてろよ!」
男の子が睨み付けると不良達は逃げていった。……ヒロト君の時といい、睨まれただけで逃げる程なら最初からしなければいいのに。
「全く……私があんな奴を覚える訳がない」
「あ、あの」
「ああ。これは君のだろう」
「ありがとうございまあああ!!」
差し出されたハチマキを受け取って男の子と顔を合わせた瞬間、一気に記憶が引っ張り出された。こんな所で会うなんて、思ってもみなかった。
「(風君だ!!)」
.
要は遊園地だ。こんな人も多い所にアジトなんてあるのかな……。皆を見ると、訝しげな表情をしている人が大半。
あ、夕弥の目がキラキラしてる。なんてったって遊園地だしね。あたしだって、エイリア学園のことが無かったら遊びたい。
とにもかくにも、何か手がかりが無いか分かれて捜索することになった。
早速女の子二人と行ってしまったしろ君は流石というかなんというか。モテるね。
「美波、よかったら一緒に行かないか?」
「でもここ結構広いみたいだし、バラバラに探した方がいいと思う」
「……それもそうだな。じゃあ、後でな」
「うん。後でね!」
「残念だったな、風丸」
「鬼道お前……音無はどうした?」
「……木暮と行ってしまった」
「そ、そっか。……一緒に行くか」
「……そうだな」
***
それにしても人が凄い。休みの日なのもあって、思ってた以上に混んでる。
アテもないのでひとまず端から端まで回るべく地図を眺めて、辺りをぶらつく。あ、売店。色々お土産売ってるな。このブレスレットかわいい。
「あれ?もしかして雷門中?」
「そうだけど……なんですか?」
「試合中継見たんだよ。俺達もサッカーやってるからさ!」
「宇宙人と戦ってんだろ?女の子なのに凄いよなあ」
「ありがとうございます」
「一人?よかったら俺達と回ろうぜ」
「お断りします」
話しかけてきたのはなんというか……チャラい?雰囲気でいかにも不良って感じの人達。関わったら駄目そうな。
嫌な時はハッキリ嫌だって言うんだぞ!という守兄の教え通りに言うと、不良の顔が一瞬歪んだ。
かと思ったらニヤニヤと笑いだした。何が面白いのかさっぱりだけどこのままいたらまずい気がする。
逃げるべくちょっとずつ後退ってたら急に距離を詰めて手を伸ばされた。ヤバい。と思ったら横から伸びてきた手がその腕を掴んだ。
「そういうの、格好悪いからやめなよ」
「な、何だテメェ!」
「この子の連れだよ」
「ひ、ヒロト!?」
割って入ってきたのはまさかのヒロト君だった。何でここに!?何しに来た!?
……エイリア学園のヒロト君がいる。つまり、ナニワランドには、本当にエイリア学園のアジトがあるのかもしれない。
ちなみになおも突っかかってきた不良は不機嫌そうなヒロト君の一睨みで退散した。凄いなヒロト君は。
お礼を言って何でいるかも聞いたら「観光かな」と……。適当な返事過ぎて返す言葉もないんだけど、わかってて言ってる気がする。
「ヒロト君遊園地好きなの?」
「初めて来たからよくわからないや」
「え」
さっきとは違う理由で言葉が出て来なくなる。お日さま園で育ったヒロト君との育ちの違いをまざまざと突き付けられて、気まずくなって視線を斜め上に向けた。あ、あの雲うさぎみたい。
どうしよう。ヒロト君は雷門は大阪に来るって情報を得て様子を見に来たのかな。そもそもエイリア学園のヒロト君と一緒じゃ探そうにも探せないし。
ヒロト君は何も言わない。チラッと視線を戻したらじっとこっちを見ていたので慌てて逸らした。あたしを見てて何が面白いんだろう。何でもいいから言ってほしい。
「……今日は天気がいいね」
「そうだね」
「絶好のサッカー日和だね!」
「美波ちゃんは本当にサッカーが好きだね」
「まあ、小さい頃からやってるし」
「それは自分の為?」
「まあ……今はね」
「ふーん」
「ヒロトともサッカーしたいな」
「そのうちするかもね」
会話は終わった。そのうちって何だ。イプシロンの次ってことか。そういや考えたことなかったけど、エイリア学園は何チームあるんだろう。
ジェミニストーム、イプシロン、ヒロト君のチーム。他には?風君や晴君が同じチームとは考えにくいから、あと……2チーム?
そう思うと途方も無いように思えてきて、頭を振って振り払う。今考えることじゃない。まずはイプシロンへのリベンジ!その後のことは勝ってから考える!
ヒロト君と別れてアジト探しを再開しよう。そう思って向き直ろうとしたら、突然ヒロト君に引き寄せられた。
顔を上げればすぐそこにヒロト君の顔があった。しかめっ面だ。そして甘い匂い。赤い髪が少しべたついていて、ジャケットも湿っている。何か、かけられた?
見回せばさっきの不良が紙コップ片手にいかにも転びそうですな半端な体勢でいた。何が目的か知らないけどあいつらわざとかけたんだ!
「美波ちゃんのジャージを故意に汚すことで近づこうとしたんだろうね」
「ええ汚れたら脱げばいいじゃん。下普通にシャツ着てるし」
「そういうのが通じる輩じゃない」
「……ごめん。庇ってくれてありがとう」
「これくらい平気だから気にしないで」
「イチャついてんじゃねーよ!」
「さっきっから何だよ!何がしたいの!」
これはあれだ。ナンパってやつだ。そして失敗したから難癖つけてきたんだ。あたしだけでなくヒロト君にもここまでされたら一言文句言ってやりたい。
それで近づいたのが不用意だった。後ろへ引っ張られる感覚に、ぶちぶちと髪が何本か抜けた。そのままあたしの上半身は後方へ投げ出されて、バランスを崩して尻もちをつく。
振り返ると、不良の仲間の手にはハチマキがあった。あいつら……!!
「ハチマキ返せえ!」
「美波ちゃん!」
呼び止める声が聞こえるけど構ってられない。取られた上に逃げられたなら、取り返す為に走って追いかける以外ない。
ここに慣れているのか、人混みの中を不良達はどんどん進んで、逆に慣れてないあたしは少しずつ離されていく。
「(守に貰ったハチマキなのに……!)」
一郎太がここにいたら、一郎太の足ならすぐ追いついてた。やっぱり一緒に回れば良かったかもしれない。
悔しい。あんな奴らに負けたくないのに。
人をかき分けて少し開けた場所に出る。人もまばらだ。からかわれているのか不良は足を緩めていて、その奥に雷門ジャージが見えた。これなら先回りしてもらって……。
「ノーザンインパクト!」
突然現れた一人の男の子が、ハチマキを持っている不良の腹を蹴り飛ばした。
「えっ……?」
辺りに漂う冷気に吹っ飛んだ不良。誰?助けてくれた?というかもしかして今の必殺技?あの蹴り、サッカーやってる?
衝撃的過ぎて脳内をハテナが飛び交う。倒れた不良に近づいていく男の子の横顔にも見覚えがある気がする。そしてここはナニワランド。いや、まさか。
「てめっ……よくも!」
「その汚い手でこれに触れるな」
「ひいっ」
「早く私の前から失せろ」
「おいもう行こうぜ」
「おっ、覚えてろよ!」
男の子が睨み付けると不良達は逃げていった。……ヒロト君の時といい、睨まれただけで逃げる程なら最初からしなければいいのに。
「全く……私があんな奴を覚える訳がない」
「あ、あの」
「ああ。これは君のだろう」
「ありがとうございまあああ!!」
差し出されたハチマキを受け取って男の子と顔を合わせた瞬間、一気に記憶が引っ張り出された。こんな所で会うなんて、思ってもみなかった。
「(風君だ!!)」
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