第13話 最後のワイバーンブリザード!
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それから練習を続けていると、再びワイバーンブリザードを撃とうとした染岡が呻き声を上げて倒れた。
肩を貸しながらベンチまで行って具合を見る。染岡は平気だって言い張るけど、真・帝国戦での怪我は想像以上に酷かった。
「なんだよ、皆大げさなんだよ」
「無理すんなって!」
「無理なんかしてねえよ!」
「でも、こんなに腫れてるのに!」
尚も誤魔化そうとする染岡に、古株さんが怒鳴り付けた。強がったところで何の得もない。正論だ。染岡もわかっているのか、反論せずに黙り込む。
イプシロン戦は1週間後。……この怪我は、それまでに治るような状態じゃない。
「治す!こんな怪我、1週間で治してみせる!治んなくても、次のイプシロン戦、前半だけでもやらせてくれよ!」
「今以上に悪化するかもしれないのに、無茶だよそんなの!」
「美波だって分かるだろ!折角完璧になったワイバーンブリザードはどうすんだよ!なあ!吹雪!」
「……ごめんね、気付けなかった僕のせいだ」
「しろ君……」
聞く耳を持たない染岡に、瞳子監督がチームを外れてもらうと言い渡す。
豪炎寺の時と違って、それに噛みついたのは一郎太だった。
「本人がやると言ってるんです!やらせてやってもいいじゃありませんか!
「今の俺達の必要なのは、自分の体がどうなろうが勝つという気迫です!」
「風丸……」
「円堂、お前だって分かるだろ?染岡は最初から雷門サッカー部の支えてきた、仲間なんだ!」
去年の、サッカー部が出来たばかりの頃を思い出す。染岡と半田が入ってくれて、4人で練習して、守兄は強力なフォワードが入ってくれたって、喜んでたっけ。
一郎太の言うことも分かる。……けど、プレイし続けることで悪化したら、もとも子もない。
それこそ、佐久間や源田のように、サッカーが出来なくなってしまうような怪我に繋がったら……そんなの、絶対嫌だ。
「仲間だから、染岡に無理をさせたくない」
「美波まで……!」
「円堂さんの言う通りね。彼はきっと、チームの為に無理をする。そうなれば皆が彼を気遣って、満足に戦うことができなくなるわ」
「でも!」
ダンッと、それでも言い返そうとする一郎太を遮るように、染岡がベンチに拳を叩き付けた。
「もういい、風丸。悔しいけど、監督の言う通りだ。仕方ねえ。吹雪!雷門のストライカー、任せたぜ!」
それに対してしろ君は小さく頷いたけど、表情は暗い。しろ君だけじゃなくて、皆がだ。
励ますようにすぐに戻ってくると言ってくれた染岡に、無理矢理笑顔を作る。一番辛いのは染岡なのに、気を使わせちゃったな……。
落ち込んだ空気を変えるように、パンッと春ちゃんが手を叩いた。なんでも、夕弥が出来ちゃったらしい。
出来たというのはイプシロン戦でデザームのシュートを止めたディフェンスだ。あれを必殺技にまで出来たなんて凄い!
早速見せてもらうことになって、グラウンドに夕弥を中心に囲むように立つ。塔子が蹴ったボールを、夕弥は逆立ちしたまま回転して跳ね返した。
跳ね返ったボールをトラップして、あたし達が次々にシュートを放てば、その全部を夕弥は止める。あんな風に勢いを殺すテクニックは、間違いなく夕弥の武器だ!
「中々の技ですね。スパイラルレッグスとでも名付けますか」
「だっさい」
目金が提案したのを夕弥はあっさりと切り捨てた。まあ、あたしもちょっとダサいと思っちゃったけど。
「俺の技は、旋風陣だ!」
「旋風陣……うん、いい名前!」
「へへっ、だろ?」
「これからの戦略にも幅ができそうだ」
「いい技を編み出したな、木暮。そいつでイプシロンのボールをカットしまくれ!」
「……俺、このチームにきてよかったよ」
夕弥が染岡と握手をした。と思ったら、染岡が悲鳴をあげた。またイタズラかあ……どうしてこうなっちゃうんだ。
「毛虫を渡してやったんだ!うししっ」
「む、虫!?うわあああ染岡こっち来ないで!手洗ってきて!」
「汚くはねえよ!」
「美波の奴、虫駄目なのかよ。へー、いいこと知っちゃった!」
……これまで以上に夕弥のイタズラには気をつけないと。
「よーし、皆!木暮に続け!この調子でもっともっと強くなろうぜ!」
『おう!』
「俺さ、サッカーやってて良かった。染岡とも会えたし、こんなに仲間と出会えた。サッカーってやっぱおもしれえって思った!」
「大変なこともあったけど、だからこそめぐり会えた人達が沢山いるんだよね!」
「ああ!だから、宇宙人にもサッカーは面白いんだって教えてやろうぜ!そうすれば、皆平和にサッカー出来るじゃないか!」
「守兄……」
……皆平和にサッカーを出来たら。あの強さを破壊に使うんじゃなくて、純粋に、サッカーを楽しめたら。
「あたしも、エイリア学園に、サッカーは楽しいんだって伝えたい!」
もう一度、ヒロト君達と、笑ってサッカーが出来たら……。
***
エイリア学園の新しい情報が入った。場所は大阪。そこにエイリア学園のアジトがあるかもしれない。
見送りには杉森やシャドウも来てくれてた。……見送る側に染岡がいるのが、寂しいな。
「また、楽しいサッカーができる日を」
「おう!待ってろよ。美波も頑張れよ。吹雪のこと頼んだぜ」
「任せといて!染岡も早く治して帰って来てね!」
「ああ!」
ハイタッチを交わしてキャラバンに乗り込む。杉森とシャドウに向かって手を振ったら、振り返してくれた。
いつもみたく守兄と一郎太の間に行こうとして、ちょっと考えてからしろ君の隣に座る。
「ここいい?って座ってから聞くのはおかしいか」
「美波ちゃん」
「あたし今日からしろ君の隣に座るね!」
しろ君を一人にはしたくないから。そう思って笑ったら、しろ君も「ありがとう」と笑ってくれた。
染岡達に見送られながら、キャラバンは大阪へ針路を取る。
→あとがき
肩を貸しながらベンチまで行って具合を見る。染岡は平気だって言い張るけど、真・帝国戦での怪我は想像以上に酷かった。
「なんだよ、皆大げさなんだよ」
「無理すんなって!」
「無理なんかしてねえよ!」
「でも、こんなに腫れてるのに!」
尚も誤魔化そうとする染岡に、古株さんが怒鳴り付けた。強がったところで何の得もない。正論だ。染岡もわかっているのか、反論せずに黙り込む。
イプシロン戦は1週間後。……この怪我は、それまでに治るような状態じゃない。
「治す!こんな怪我、1週間で治してみせる!治んなくても、次のイプシロン戦、前半だけでもやらせてくれよ!」
「今以上に悪化するかもしれないのに、無茶だよそんなの!」
「美波だって分かるだろ!折角完璧になったワイバーンブリザードはどうすんだよ!なあ!吹雪!」
「……ごめんね、気付けなかった僕のせいだ」
「しろ君……」
聞く耳を持たない染岡に、瞳子監督がチームを外れてもらうと言い渡す。
豪炎寺の時と違って、それに噛みついたのは一郎太だった。
「本人がやると言ってるんです!やらせてやってもいいじゃありませんか!
「今の俺達の必要なのは、自分の体がどうなろうが勝つという気迫です!」
「風丸……」
「円堂、お前だって分かるだろ?染岡は最初から雷門サッカー部の支えてきた、仲間なんだ!」
去年の、サッカー部が出来たばかりの頃を思い出す。染岡と半田が入ってくれて、4人で練習して、守兄は強力なフォワードが入ってくれたって、喜んでたっけ。
一郎太の言うことも分かる。……けど、プレイし続けることで悪化したら、もとも子もない。
それこそ、佐久間や源田のように、サッカーが出来なくなってしまうような怪我に繋がったら……そんなの、絶対嫌だ。
「仲間だから、染岡に無理をさせたくない」
「美波まで……!」
「円堂さんの言う通りね。彼はきっと、チームの為に無理をする。そうなれば皆が彼を気遣って、満足に戦うことができなくなるわ」
「でも!」
ダンッと、それでも言い返そうとする一郎太を遮るように、染岡がベンチに拳を叩き付けた。
「もういい、風丸。悔しいけど、監督の言う通りだ。仕方ねえ。吹雪!雷門のストライカー、任せたぜ!」
それに対してしろ君は小さく頷いたけど、表情は暗い。しろ君だけじゃなくて、皆がだ。
励ますようにすぐに戻ってくると言ってくれた染岡に、無理矢理笑顔を作る。一番辛いのは染岡なのに、気を使わせちゃったな……。
落ち込んだ空気を変えるように、パンッと春ちゃんが手を叩いた。なんでも、夕弥が出来ちゃったらしい。
出来たというのはイプシロン戦でデザームのシュートを止めたディフェンスだ。あれを必殺技にまで出来たなんて凄い!
早速見せてもらうことになって、グラウンドに夕弥を中心に囲むように立つ。塔子が蹴ったボールを、夕弥は逆立ちしたまま回転して跳ね返した。
跳ね返ったボールをトラップして、あたし達が次々にシュートを放てば、その全部を夕弥は止める。あんな風に勢いを殺すテクニックは、間違いなく夕弥の武器だ!
「中々の技ですね。スパイラルレッグスとでも名付けますか」
「だっさい」
目金が提案したのを夕弥はあっさりと切り捨てた。まあ、あたしもちょっとダサいと思っちゃったけど。
「俺の技は、旋風陣だ!」
「旋風陣……うん、いい名前!」
「へへっ、だろ?」
「これからの戦略にも幅ができそうだ」
「いい技を編み出したな、木暮。そいつでイプシロンのボールをカットしまくれ!」
「……俺、このチームにきてよかったよ」
夕弥が染岡と握手をした。と思ったら、染岡が悲鳴をあげた。またイタズラかあ……どうしてこうなっちゃうんだ。
「毛虫を渡してやったんだ!うししっ」
「む、虫!?うわあああ染岡こっち来ないで!手洗ってきて!」
「汚くはねえよ!」
「美波の奴、虫駄目なのかよ。へー、いいこと知っちゃった!」
……これまで以上に夕弥のイタズラには気をつけないと。
「よーし、皆!木暮に続け!この調子でもっともっと強くなろうぜ!」
『おう!』
「俺さ、サッカーやってて良かった。染岡とも会えたし、こんなに仲間と出会えた。サッカーってやっぱおもしれえって思った!」
「大変なこともあったけど、だからこそめぐり会えた人達が沢山いるんだよね!」
「ああ!だから、宇宙人にもサッカーは面白いんだって教えてやろうぜ!そうすれば、皆平和にサッカー出来るじゃないか!」
「守兄……」
……皆平和にサッカーを出来たら。あの強さを破壊に使うんじゃなくて、純粋に、サッカーを楽しめたら。
「あたしも、エイリア学園に、サッカーは楽しいんだって伝えたい!」
もう一度、ヒロト君達と、笑ってサッカーが出来たら……。
***
エイリア学園の新しい情報が入った。場所は大阪。そこにエイリア学園のアジトがあるかもしれない。
見送りには杉森やシャドウも来てくれてた。……見送る側に染岡がいるのが、寂しいな。
「また、楽しいサッカーができる日を」
「おう!待ってろよ。美波も頑張れよ。吹雪のこと頼んだぜ」
「任せといて!染岡も早く治して帰って来てね!」
「ああ!」
ハイタッチを交わしてキャラバンに乗り込む。杉森とシャドウに向かって手を振ったら、振り返してくれた。
いつもみたく守兄と一郎太の間に行こうとして、ちょっと考えてからしろ君の隣に座る。
「ここいい?って座ってから聞くのはおかしいか」
「美波ちゃん」
「あたし今日からしろ君の隣に座るね!」
しろ君を一人にはしたくないから。そう思って笑ったら、しろ君も「ありがとう」と笑ってくれた。
染岡達に見送られながら、キャラバンは大阪へ針路を取る。
→あとがき