第13話 最後のワイバーンブリザード!
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スナック菓子をいくつか買って、稲妻総合病院へ。栄養バランスとかは、ちょっとくらいならいいよね!
受付で半田達の病室を聞く。5人とも同室って凄い。……埋まってる部屋、多いな。
「失礼しまーすっ!」
「美波じゃないか!久し」
「さっきまで円堂いたよ」
「何で遮るんだよ!」
「相変わらずだなあマックスは」
てか守兄とはやっぱりすれ違っちゃったな。まあしょうがないか。
「Gマートでお菓子買ってきたよ!お見舞いだからね!」
「しょっぱいのが多いね」
「流石は美波、なんかのど渇きそう」
「う……飲み物くらい我慢してよ!」
守兄みたいにそこまで無駄遣いをしてないとはいえ、財布がキツイ。
備え付けのお茶を少林が淹れてくれた。一口飲んでホッと一息。
「先輩!漫遊寺中に行ったんですよね?僕、憧れてるんです!どんな感じでしたか?」
「校舎とかが古風だったかな。あと心と体を鍛えてるとかどうとか」
「そうなんですか!僕も行きたかったなあ……」
「じゃあいつか行こうよ!イナズマキャラバンでさ!」
「はい!」
少林は拳法好きだし、漫遊寺のサッカーを気に入りそうだ。同じくらいの体格だから、案外夕弥と気が合ったりもして。
「にしてもエイリア学園倒しながら全国を旅行出来るなんていいよね」
「凄いポジティブな考え方……。でも観光する時間無いよ?大体練習だし」
「こんな時だからこそ前向きに考えるんでしょ」
「それもそうかも」
前向きに、か。リュウジ、ヒロト君、明王ちゃん。友達と再会出来たのは、この旅の中でも良かったことと言っていいかもしれない。
……雷門の敵として、だけれど。
「俺達も早くサッカーしたいな」
「円堂といい美波といい賑やかだよね。だから退屈しない」
「入院生活退屈してる?」
「まあね。でもたまにはこういうのもね、のんびり本読んだりしてるよ」
ほら、とマックスが指差した先のテーブルには、お見舞いの品らしい小説がいくつか積んであった。
「最近良かったのはこれかな。言ってることが微妙にズレるのは二つの人格があったからなんてね」
「それネタバレだろ!また俺読んでないのに!」
「実は双子かと思いきや……っていうのはなかなかの叙述トリックでしたよね!」
「共犯者絶対いると思ってました!」
「待て待て待てお前ら待て!」
「え、何々?そんなに面白い本?」
話題に挙がったのはなんでもミステリー系の本だとかで。
主人公のモノローグや言動が変わるのは二つの人格の持ち主だったとかなんとか。
「でも他の登場人物は気づかないんだ?」
「それが気づかないんだよ。正常性バイアスが働いてるのかもしれないね」
「ほら、優しい人は怒ると怖いとか、ハンドルの握ると人格が変わるとか聞くじゃん。二面性ってやつ」
そういうものなんだって納得しちゃうとか、せ、正常性バイアス?影野は物知りだ。
二面性。あることをきっかけに普段と違う面が顔を出す、オンオフが激しい。みたいな。
何かが、何かが引っ掛かる、ような?
「ここにあるパンフレット読むと設定がよく練られてるのが分かるんだよね」
「……パンフレットって?」
「病院だから色々置いてあるんだよね。ほらこれ、だから時間潰すにはまあまあで」
「それ貸して!」
「それはいいけど。そういえばそれ借りた時さー、豪炎寺の……ちょっと聞いてる?」
マックスが何か言ってるけどそれどころじゃない。
そう考えるには情報が足りない。想像するにしたって荒唐無稽だ。けど、もしかしたら、本当にそうだとしたら。
「なあ美波、顔色が悪いぞ?」
「うわ何その顔。……ねえ本当、いきなりどうしたの?」
「円堂さん、ちゃんと休めてる?」
「……大丈夫大丈夫!皆と会って元気出たしやる気十分!次のエイリア学園との試合も勝つよ!」
「あのさあ美波、本当に大丈夫か?戦い続きだし、無理してないか?」
「ちょっと疲れてるだけだよ」
「俺も1年以上の付き合いだし、風丸程じゃないけどなんとなく分かるんだからな」
「それは」
「あ、美波先輩!なんか鞄から音しますよ!」
「ん?」
宍戸に言われて確認すると、携帯に秋からメールが来ていた。河川敷に集まって練習するんだって。
名残惜しいけど、いつまでもここで話してる訳にもいかない。
「まあ、無理の無い範囲で頑張れよな!」
「お土産よろしくー」
「また来てくださいね!」
「応援してますから!」
「……頑張って」
「おうっ!退院したら、また皆でサッカーやろうぜ!」
そう拳を突き出せば、半田達は笑って返してくれた。
***
河川敷まで行くと、もう皆集まって練習を始めていた。
「遅ぇぞ美波!」
「あ、ごめん……しろ君」
「ったく、お前が最後だぜ?俺達はさっきっからワイバーンブリザードの練習してたのによ」
「うん……」
「……お前、どうした?何かあったのか」
「なんでもない!それよりどう?ワイバーンブリザード!」
「ああ!完璧だぜ!なあ、染岡!」
「おうよ!」
ギリギリのところで編み出した連携必殺技を、二人はものにしたらしい。あたしも負けてられない。……今は切り替えよう。
グラウンドに入ると、杉森が手を叩いた。視線を合わせれば、言いたいことはなんとなく分かる。行くぞ!
「アクアストリーム!」
「シュートポケット!……ぐあっ!」
「うっし!」
あたしのシュートは杉森を破ってゴールに突き刺さった。うん、前より威力上がってる!
「杉森からゴールを奪うなんて凄いな、美波は」
「でもまだまだ!今よりもっともっと強くならないと!」
「いや、凄いさ。……俺なんかより」
「なんかって……でもあたしは一郎太のスピードには追い付けない。一郎太には一郎太の強さがあるんだよ!」
「そうか……そうだな。俺は俺の強さを磨くよ。そして今より強くなってみせる」
「あたしもあたしも!一緒に頑張ろうね!」
よーし、練習だ!
「……もう、俺がいなくたって……。いや、俺も、美波を守れるくらい強くなれたら……」
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受付で半田達の病室を聞く。5人とも同室って凄い。……埋まってる部屋、多いな。
「失礼しまーすっ!」
「美波じゃないか!久し」
「さっきまで円堂いたよ」
「何で遮るんだよ!」
「相変わらずだなあマックスは」
てか守兄とはやっぱりすれ違っちゃったな。まあしょうがないか。
「Gマートでお菓子買ってきたよ!お見舞いだからね!」
「しょっぱいのが多いね」
「流石は美波、なんかのど渇きそう」
「う……飲み物くらい我慢してよ!」
守兄みたいにそこまで無駄遣いをしてないとはいえ、財布がキツイ。
備え付けのお茶を少林が淹れてくれた。一口飲んでホッと一息。
「先輩!漫遊寺中に行ったんですよね?僕、憧れてるんです!どんな感じでしたか?」
「校舎とかが古風だったかな。あと心と体を鍛えてるとかどうとか」
「そうなんですか!僕も行きたかったなあ……」
「じゃあいつか行こうよ!イナズマキャラバンでさ!」
「はい!」
少林は拳法好きだし、漫遊寺のサッカーを気に入りそうだ。同じくらいの体格だから、案外夕弥と気が合ったりもして。
「にしてもエイリア学園倒しながら全国を旅行出来るなんていいよね」
「凄いポジティブな考え方……。でも観光する時間無いよ?大体練習だし」
「こんな時だからこそ前向きに考えるんでしょ」
「それもそうかも」
前向きに、か。リュウジ、ヒロト君、明王ちゃん。友達と再会出来たのは、この旅の中でも良かったことと言っていいかもしれない。
……雷門の敵として、だけれど。
「俺達も早くサッカーしたいな」
「円堂といい美波といい賑やかだよね。だから退屈しない」
「入院生活退屈してる?」
「まあね。でもたまにはこういうのもね、のんびり本読んだりしてるよ」
ほら、とマックスが指差した先のテーブルには、お見舞いの品らしい小説がいくつか積んであった。
「最近良かったのはこれかな。言ってることが微妙にズレるのは二つの人格があったからなんてね」
「それネタバレだろ!また俺読んでないのに!」
「実は双子かと思いきや……っていうのはなかなかの叙述トリックでしたよね!」
「共犯者絶対いると思ってました!」
「待て待て待てお前ら待て!」
「え、何々?そんなに面白い本?」
話題に挙がったのはなんでもミステリー系の本だとかで。
主人公のモノローグや言動が変わるのは二つの人格の持ち主だったとかなんとか。
「でも他の登場人物は気づかないんだ?」
「それが気づかないんだよ。正常性バイアスが働いてるのかもしれないね」
「ほら、優しい人は怒ると怖いとか、ハンドルの握ると人格が変わるとか聞くじゃん。二面性ってやつ」
そういうものなんだって納得しちゃうとか、せ、正常性バイアス?影野は物知りだ。
二面性。あることをきっかけに普段と違う面が顔を出す、オンオフが激しい。みたいな。
何かが、何かが引っ掛かる、ような?
「ここにあるパンフレット読むと設定がよく練られてるのが分かるんだよね」
「……パンフレットって?」
「病院だから色々置いてあるんだよね。ほらこれ、だから時間潰すにはまあまあで」
「それ貸して!」
「それはいいけど。そういえばそれ借りた時さー、豪炎寺の……ちょっと聞いてる?」
マックスが何か言ってるけどそれどころじゃない。
そう考えるには情報が足りない。想像するにしたって荒唐無稽だ。けど、もしかしたら、本当にそうだとしたら。
「なあ美波、顔色が悪いぞ?」
「うわ何その顔。……ねえ本当、いきなりどうしたの?」
「円堂さん、ちゃんと休めてる?」
「……大丈夫大丈夫!皆と会って元気出たしやる気十分!次のエイリア学園との試合も勝つよ!」
「あのさあ美波、本当に大丈夫か?戦い続きだし、無理してないか?」
「ちょっと疲れてるだけだよ」
「俺も1年以上の付き合いだし、風丸程じゃないけどなんとなく分かるんだからな」
「それは」
「あ、美波先輩!なんか鞄から音しますよ!」
「ん?」
宍戸に言われて確認すると、携帯に秋からメールが来ていた。河川敷に集まって練習するんだって。
名残惜しいけど、いつまでもここで話してる訳にもいかない。
「まあ、無理の無い範囲で頑張れよな!」
「お土産よろしくー」
「また来てくださいね!」
「応援してますから!」
「……頑張って」
「おうっ!退院したら、また皆でサッカーやろうぜ!」
そう拳を突き出せば、半田達は笑って返してくれた。
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河川敷まで行くと、もう皆集まって練習を始めていた。
「遅ぇぞ美波!」
「あ、ごめん……しろ君」
「ったく、お前が最後だぜ?俺達はさっきっからワイバーンブリザードの練習してたのによ」
「うん……」
「……お前、どうした?何かあったのか」
「なんでもない!それよりどう?ワイバーンブリザード!」
「ああ!完璧だぜ!なあ、染岡!」
「おうよ!」
ギリギリのところで編み出した連携必殺技を、二人はものにしたらしい。あたしも負けてられない。……今は切り替えよう。
グラウンドに入ると、杉森が手を叩いた。視線を合わせれば、言いたいことはなんとなく分かる。行くぞ!
「アクアストリーム!」
「シュートポケット!……ぐあっ!」
「うっし!」
あたしのシュートは杉森を破ってゴールに突き刺さった。うん、前より威力上がってる!
「杉森からゴールを奪うなんて凄いな、美波は」
「でもまだまだ!今よりもっともっと強くならないと!」
「いや、凄いさ。……俺なんかより」
「なんかって……でもあたしは一郎太のスピードには追い付けない。一郎太には一郎太の強さがあるんだよ!」
「そうか……そうだな。俺は俺の強さを磨くよ。そして今より強くなってみせる」
「あたしもあたしも!一緒に頑張ろうね!」
よーし、練習だ!
「……もう、俺がいなくたって……。いや、俺も、美波を守れるくらい強くなれたら……」
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