第12話 帝国の逆襲!後編!!
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皇帝ペンギン1号は、守兄のゴッドハンドを軽々と破って、ゴールに突き刺さった。
真・帝国学園の先制。ゴッドハンドをあんな簡単に破るなんて、とんでもない威力だ。それに、禁断の技って何?
「さっ君……さっ君!?」
佐久間は悲鳴を上げていた。全身が痛むのか、自分の体を抱きしめている。まさかこれが、禁断の技の!?
「ははっ!素晴らしい!」
「素晴らしくなんかない!」
きっとあれは、体に物凄い負荷がかかる技なんだ。だから鬼道は……!
「大丈夫!?あんなシュート、もう撃ったら」
「うるさい!」
「さっ君……」
「負けたら何も意味は無い。何も残らないんだ。欲しいのは勝てるだけの強さ、価値ある勝利」
「そんな、ことって」
京都でヒロト君と話したことを思い出す。皆、どうして、強さや勝ちにばかり拘るんだ。
「美波だって、強い奴は好きだろ。それこそ、鬼道みたいにな」
「これは好き嫌いの問題じゃない!」
「佐久間……お前、何故……」
「見たか鬼道。俺の皇帝ペンギン1号」
「二度と撃つな!あれは禁断の技だ!皇帝ペンギン1号は禁断の技だ。二度と使うな!」
「怖いのか?俺如きに追い抜かれるのが!」
「違う!分からないのか!このままではお前の体は!」
「敗北に価値はない。勝利の為に、俺は何度でも撃つ」
「佐久間……」
ふらつきながらも戻っていく佐久間を、あたし達は見送ることしか出来なかった。
禁断の技、皇帝ペンギン1号。それが何かを鬼道は説明してくれた。
これは影山が考案したシュートで恐ろしい程の威力を持っている。けれどその代償として……全身の筋肉は悲鳴を上げて、激痛が走る。
体にかかる負担はあまりにも大きい。だから禁断の技として封印された。撃つのは1試合2回が限界。
もし、3回目を撃つようなことがあれば……二度とサッカーが出来なくなる。
シュートを受けた守兄も、もう一度受けたら立っていられなくなる。そんなシュートを、佐久間は勝つ為なら何度でも……!?
「あれは1号なんだよね。じゃあ2号は?」
「1号を改良して、威力は落ちるが三人で撃つことで負担を減らし使える技にしたのが2号だ」
「三人がかりで負担を減らした技を1人で撃つなんて無茶だ!」
「ああ。この試合の作戦が決まった。佐久間にボールを渡すな!」
「その作戦、大賛成だ。目の前でそんな最悪な光景は見たくない」
「僕も、ディフェンスに入るよ」
「あたしだって!もう一度だって撃たせるもんか!」
「一之瀬、吹雪、美波……。佐久間のマークは頼む」
ピーッ
雷門からのボールで試合再開。鬼道がドリブルで上がる。
「思い出せ!これが本当の皇帝ペンギンだ!皇帝ペンギン!」
「「2号!!」」
皇帝ペンギン2号。それを見た源田は臆することなくニヤリと笑った。
「ビーストファング!」
獰猛な獣が食らいつくようなキーパー技。源田はシュートを止めた瞬間悲鳴を上げて、突っ伏した。まさか、あの技……!
「鬼道。ひょっとしてあの技も……」
「ああ、ビーストファングだ。皇帝ペンギン1号と共に封印された技だ」
『!』
「ってことは、ビーストファングも同じく体を破壊する技……!」
「源田にあの技を出させるな!」
「シュートを撃つなってことになるね」
「でも、源田を守るにはそれしかない!」
シュートを撃たないってことは、点を取れないってこと。けれど今は0ー1だ。なんとかして点を取らないと負けになる。
佐久間と源田に禁断の技を使わせなかったところで、勝てなければ考えを変えられない。どうにかして、使わせずに点を取れれば……。
「あいつら、サッカーにここまでかけるなんて……」
夕弥の震え声に、あたしは拳を握りしめた。目の前の勝利だけで、その先のことは考えてない。こんなの、二人のサッカーじゃない。
「佐久間!」
明王ちゃんが佐久間に出したパスを、しろ君がマークにつき、一之瀬がカットした。それをあたしがキープする。
「渡す訳にはいかないよ!」
「君が壊れるところは見たくない!」
「皇帝ペンギン1号は撃たせないんだから!」
「くっ……」
ボールを染岡に回る。でも染岡はシュートを撃つのを躊躇って、一郎太にパスを出した。
その隙を逃す真・帝国学園じゃない。パスはカットされて、ボールを受け取った明王ちゃんがシュートを放つ。
それ自体はゴッドハンドでなんとか防いで、跳ね返ったボールは土門がクリアする。
でも、守兄の様子が変だ。全然ダメージが抜けてない。……皇帝ペンギン1号。受ける側でもああなのに、撃つ側はどれ程の痛みなんだ。
「目を覚ませ!自分の体を犠牲にした勝利などに、なんの価値がある!佐久間!源田!」
「分かってないのはお前だよ、鬼道」
「勝利にこそ価値がある。俺達は勝つ。どんな犠牲を払ってでもな!」
「説得なんて、無理無理。奴らは心から勝利を望んでいる。勝ちたいと願ってるんだ。シュートしてみろよ」
歩きながらドリブルで鬼道に近づいた明王ちゃんが、わざとボールを渡した。
挑発を受けた鬼道は、明王ちゃんに向けてボールを放つ。それは軽くトラップされた。
「何故だ!何故アイツらを引き込んだ!」
「俺は負けるわけにはいかねえんだよ!」
お互い周りそっちのけで激しいぶつかり合いを繰り広げる。
二人が同時に蹴りこんだボールが跳ね上がった時、ホイッスルが鳴って前半が終了した。
ベンチの空気が重苦しい。佐久間と源田、明王ちゃん、影山、そして禁断の技。このまま試合を続けたらどうなるだろう。
……試合を中止すれば禁断の技を使わせずに済む。土門の言う通りだと思ったけど、瞳子監督は退けた。
「後半は私の指示に従ってもらうわ。吹雪くんはフォワードに戻って。皆勝つ為のプレイをしなさい」
「それじゃあ、佐久間くん達が……」
「これは監督命令よ。私の目的はエイリア学園を倒すこと。この試合にも負けるわけにはいかない!」
「……試合を続けよう」
監督に賛成したのは、意外なことに鬼道だった。
この試合は佐久間達の目を覚まさせる為の試合。勝つのに禁断の技は必要ないということは、サッカーを通してじゃなきゃ、分かってもらえない。
試合を止めれば、佐久間達は完全に影山の影響下に置かれて、遅かれ早かれまたあの技を使う。そして二度と試合出来ない体に……。
二人を救い出すには、この試合が最初で最後のチャンスなんだ。……ここで立ち止まる訳にはいかない。
「いいんだな」
「……構わない」
「分かった。でも、佐久間達に絶対あの技を使わせないようにしよう」
「さっ君にはマークを徹底的にするとして、問題はどう源田のゴールを破るかだね」
「ああ。ビーストファングを使わせずに……何か方法がある筈だ」
考え込む鬼道にオレに任せろと声をかけてきたのは、しろ君だった。
「源田って奴があの技を出す暇もねえくれえ、すげえシュートをぶちかましてやるよ」
「俺も協力するぜ!」
「吹雪、染岡……」
「しろ君のスピードに染岡が加わったシュートならゴールを割れるよ!うん、あたしも手伝う!」
「大丈夫さ、鬼道。佐久間にボールを渡さない。サッカーが出来ない辛さは、俺が一番分かってる」
「美波……一之瀬……」
「サッカーが好きな奴に、敵も味方もない!やろうぜ!二人を守って、そして試合にも勝つんだ!」
『おう!』
.
真・帝国学園の先制。ゴッドハンドをあんな簡単に破るなんて、とんでもない威力だ。それに、禁断の技って何?
「さっ君……さっ君!?」
佐久間は悲鳴を上げていた。全身が痛むのか、自分の体を抱きしめている。まさかこれが、禁断の技の!?
「ははっ!素晴らしい!」
「素晴らしくなんかない!」
きっとあれは、体に物凄い負荷がかかる技なんだ。だから鬼道は……!
「大丈夫!?あんなシュート、もう撃ったら」
「うるさい!」
「さっ君……」
「負けたら何も意味は無い。何も残らないんだ。欲しいのは勝てるだけの強さ、価値ある勝利」
「そんな、ことって」
京都でヒロト君と話したことを思い出す。皆、どうして、強さや勝ちにばかり拘るんだ。
「美波だって、強い奴は好きだろ。それこそ、鬼道みたいにな」
「これは好き嫌いの問題じゃない!」
「佐久間……お前、何故……」
「見たか鬼道。俺の皇帝ペンギン1号」
「二度と撃つな!あれは禁断の技だ!皇帝ペンギン1号は禁断の技だ。二度と使うな!」
「怖いのか?俺如きに追い抜かれるのが!」
「違う!分からないのか!このままではお前の体は!」
「敗北に価値はない。勝利の為に、俺は何度でも撃つ」
「佐久間……」
ふらつきながらも戻っていく佐久間を、あたし達は見送ることしか出来なかった。
禁断の技、皇帝ペンギン1号。それが何かを鬼道は説明してくれた。
これは影山が考案したシュートで恐ろしい程の威力を持っている。けれどその代償として……全身の筋肉は悲鳴を上げて、激痛が走る。
体にかかる負担はあまりにも大きい。だから禁断の技として封印された。撃つのは1試合2回が限界。
もし、3回目を撃つようなことがあれば……二度とサッカーが出来なくなる。
シュートを受けた守兄も、もう一度受けたら立っていられなくなる。そんなシュートを、佐久間は勝つ為なら何度でも……!?
「あれは1号なんだよね。じゃあ2号は?」
「1号を改良して、威力は落ちるが三人で撃つことで負担を減らし使える技にしたのが2号だ」
「三人がかりで負担を減らした技を1人で撃つなんて無茶だ!」
「ああ。この試合の作戦が決まった。佐久間にボールを渡すな!」
「その作戦、大賛成だ。目の前でそんな最悪な光景は見たくない」
「僕も、ディフェンスに入るよ」
「あたしだって!もう一度だって撃たせるもんか!」
「一之瀬、吹雪、美波……。佐久間のマークは頼む」
ピーッ
雷門からのボールで試合再開。鬼道がドリブルで上がる。
「思い出せ!これが本当の皇帝ペンギンだ!皇帝ペンギン!」
「「2号!!」」
皇帝ペンギン2号。それを見た源田は臆することなくニヤリと笑った。
「ビーストファング!」
獰猛な獣が食らいつくようなキーパー技。源田はシュートを止めた瞬間悲鳴を上げて、突っ伏した。まさか、あの技……!
「鬼道。ひょっとしてあの技も……」
「ああ、ビーストファングだ。皇帝ペンギン1号と共に封印された技だ」
『!』
「ってことは、ビーストファングも同じく体を破壊する技……!」
「源田にあの技を出させるな!」
「シュートを撃つなってことになるね」
「でも、源田を守るにはそれしかない!」
シュートを撃たないってことは、点を取れないってこと。けれど今は0ー1だ。なんとかして点を取らないと負けになる。
佐久間と源田に禁断の技を使わせなかったところで、勝てなければ考えを変えられない。どうにかして、使わせずに点を取れれば……。
「あいつら、サッカーにここまでかけるなんて……」
夕弥の震え声に、あたしは拳を握りしめた。目の前の勝利だけで、その先のことは考えてない。こんなの、二人のサッカーじゃない。
「佐久間!」
明王ちゃんが佐久間に出したパスを、しろ君がマークにつき、一之瀬がカットした。それをあたしがキープする。
「渡す訳にはいかないよ!」
「君が壊れるところは見たくない!」
「皇帝ペンギン1号は撃たせないんだから!」
「くっ……」
ボールを染岡に回る。でも染岡はシュートを撃つのを躊躇って、一郎太にパスを出した。
その隙を逃す真・帝国学園じゃない。パスはカットされて、ボールを受け取った明王ちゃんがシュートを放つ。
それ自体はゴッドハンドでなんとか防いで、跳ね返ったボールは土門がクリアする。
でも、守兄の様子が変だ。全然ダメージが抜けてない。……皇帝ペンギン1号。受ける側でもああなのに、撃つ側はどれ程の痛みなんだ。
「目を覚ませ!自分の体を犠牲にした勝利などに、なんの価値がある!佐久間!源田!」
「分かってないのはお前だよ、鬼道」
「勝利にこそ価値がある。俺達は勝つ。どんな犠牲を払ってでもな!」
「説得なんて、無理無理。奴らは心から勝利を望んでいる。勝ちたいと願ってるんだ。シュートしてみろよ」
歩きながらドリブルで鬼道に近づいた明王ちゃんが、わざとボールを渡した。
挑発を受けた鬼道は、明王ちゃんに向けてボールを放つ。それは軽くトラップされた。
「何故だ!何故アイツらを引き込んだ!」
「俺は負けるわけにはいかねえんだよ!」
お互い周りそっちのけで激しいぶつかり合いを繰り広げる。
二人が同時に蹴りこんだボールが跳ね上がった時、ホイッスルが鳴って前半が終了した。
ベンチの空気が重苦しい。佐久間と源田、明王ちゃん、影山、そして禁断の技。このまま試合を続けたらどうなるだろう。
……試合を中止すれば禁断の技を使わせずに済む。土門の言う通りだと思ったけど、瞳子監督は退けた。
「後半は私の指示に従ってもらうわ。吹雪くんはフォワードに戻って。皆勝つ為のプレイをしなさい」
「それじゃあ、佐久間くん達が……」
「これは監督命令よ。私の目的はエイリア学園を倒すこと。この試合にも負けるわけにはいかない!」
「……試合を続けよう」
監督に賛成したのは、意外なことに鬼道だった。
この試合は佐久間達の目を覚まさせる為の試合。勝つのに禁断の技は必要ないということは、サッカーを通してじゃなきゃ、分かってもらえない。
試合を止めれば、佐久間達は完全に影山の影響下に置かれて、遅かれ早かれまたあの技を使う。そして二度と試合出来ない体に……。
二人を救い出すには、この試合が最初で最後のチャンスなんだ。……ここで立ち止まる訳にはいかない。
「いいんだな」
「……構わない」
「分かった。でも、佐久間達に絶対あの技を使わせないようにしよう」
「さっ君にはマークを徹底的にするとして、問題はどう源田のゴールを破るかだね」
「ああ。ビーストファングを使わせずに……何か方法がある筈だ」
考え込む鬼道にオレに任せろと声をかけてきたのは、しろ君だった。
「源田って奴があの技を出す暇もねえくれえ、すげえシュートをぶちかましてやるよ」
「俺も協力するぜ!」
「吹雪、染岡……」
「しろ君のスピードに染岡が加わったシュートならゴールを割れるよ!うん、あたしも手伝う!」
「大丈夫さ、鬼道。佐久間にボールを渡さない。サッカーが出来ない辛さは、俺が一番分かってる」
「美波……一之瀬……」
「サッカーが好きな奴に、敵も味方もない!やろうぜ!二人を守って、そして試合にも勝つんだ!」
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