籠球×庭球
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誠凛との練習試合当日。更衣室から出てきて早々、黄瀬は「黒子っち迎えに行ってくるっス!」と監督と兄の制止も聞かずに走り出した。兄が黄瀬の背中に向かって怒鳴りつけていたが効果はなく、体育館の外へ消えていった。
「あー、笠松。…妹の方だ。今日の練習試合は片面コートだけでやる。もう片面で普段通り練習を行うから、お前はそっちを見てくれ」
今日の練習試合についてとレギュラー以外の練習メニューが竹内監督から説明される。わかりました、と監督に返事し、私は部員たちの居るコートに向かった。
練習メニューを部員たちへ伝え、練習を開始した皆をそれぞれ観察していると、体育館がにわかに騒がしくなった。練習試合があると聞いた女子生徒たちが黄瀬を見物しに集まってきていた。毎度の事ながらすごい人気だ。幾らか見物料を取ればあの古いゴールも買い替えられるかもしれない。
しかし残念ながら今日、黄瀬は練習試合では使わないと監督が言っていた。
「笠松さーん!」
見物客の女の子の一人に呼ばれた。クラスメイトの女の子だった。彼女は明るく社交的で、クラスのまとめ役のような人物だ。
「黄瀬くんは?」
「試合相手を迎えに行った。見に来てもらって悪いんだが、今日は黄瀬君は試合に出ないそうだぞ」
「ええ~!そうなの?」
「まぁ、ベンチには入ってるから、それで良ければ見ていってくれ。女の子が居れば森山先輩もやる気が出るだろうしな」
「あはは。先輩相変わらずだねー」
「黄瀬君の応援もいいが、たまには先輩たちにも声援をよろしく頼むよ」
「まっかせて!」
彼女は拳で軽く胸を叩いて言った。頼もしいことだ。声援は選手のパフォーマンスを向上させるという研究結果も出ている。サポーターは大切にしなくては。
彼女たちは黄瀬にしか興味はないのだろうが、今はそれでいい。黄瀬がきっかけでバスケに興味を持って公式試合で応援に来てくれれば万々歳である。
毎日カノジョができないできないと嘆いている森山先輩も、黙っていればいい男なので、試合でかっこいい所を見せれば誰か一人くらいはファンになってくれるかもしれない。がんばれ、先輩。
誠凛高校バスケ部が到着し、試合が始まって直ぐ、凄まじい音に騒然となった。見てみると、誠凛の赤い髪の子があの古いゴールを壊したらしい。やはり早々に買い換えるべきだったのだ。
「すみません、ゴール壊れてしまったんで全面側のコート使わせてもらえませんか」
監督が黄瀬を呼びつけた。どうやら試合に出すことに決めたらしい。私たちは全面コートを使用出来るように準備に取り掛かった。
練習試合の結果は、なんというか、海常が負けた。誠凛が思いの外強かったのもあるし、うちの慢心もあったかもしれない。とにかく負けた。負けて、黄瀬はボロボロ泣いていた。初めて負けたと泣いて、兄に蹴られていた。ちょっと可哀想だった。
「あー、笠松。…妹の方だ。今日の練習試合は片面コートだけでやる。もう片面で普段通り練習を行うから、お前はそっちを見てくれ」
今日の練習試合についてとレギュラー以外の練習メニューが竹内監督から説明される。わかりました、と監督に返事し、私は部員たちの居るコートに向かった。
練習メニューを部員たちへ伝え、練習を開始した皆をそれぞれ観察していると、体育館がにわかに騒がしくなった。練習試合があると聞いた女子生徒たちが黄瀬を見物しに集まってきていた。毎度の事ながらすごい人気だ。幾らか見物料を取ればあの古いゴールも買い替えられるかもしれない。
しかし残念ながら今日、黄瀬は練習試合では使わないと監督が言っていた。
「笠松さーん!」
見物客の女の子の一人に呼ばれた。クラスメイトの女の子だった。彼女は明るく社交的で、クラスのまとめ役のような人物だ。
「黄瀬くんは?」
「試合相手を迎えに行った。見に来てもらって悪いんだが、今日は黄瀬君は試合に出ないそうだぞ」
「ええ~!そうなの?」
「まぁ、ベンチには入ってるから、それで良ければ見ていってくれ。女の子が居れば森山先輩もやる気が出るだろうしな」
「あはは。先輩相変わらずだねー」
「黄瀬君の応援もいいが、たまには先輩たちにも声援をよろしく頼むよ」
「まっかせて!」
彼女は拳で軽く胸を叩いて言った。頼もしいことだ。声援は選手のパフォーマンスを向上させるという研究結果も出ている。サポーターは大切にしなくては。
彼女たちは黄瀬にしか興味はないのだろうが、今はそれでいい。黄瀬がきっかけでバスケに興味を持って公式試合で応援に来てくれれば万々歳である。
毎日カノジョができないできないと嘆いている森山先輩も、黙っていればいい男なので、試合でかっこいい所を見せれば誰か一人くらいはファンになってくれるかもしれない。がんばれ、先輩。
誠凛高校バスケ部が到着し、試合が始まって直ぐ、凄まじい音に騒然となった。見てみると、誠凛の赤い髪の子があの古いゴールを壊したらしい。やはり早々に買い換えるべきだったのだ。
「すみません、ゴール壊れてしまったんで全面側のコート使わせてもらえませんか」
監督が黄瀬を呼びつけた。どうやら試合に出すことに決めたらしい。私たちは全面コートを使用出来るように準備に取り掛かった。
練習試合の結果は、なんというか、海常が負けた。誠凛が思いの外強かったのもあるし、うちの慢心もあったかもしれない。とにかく負けた。負けて、黄瀬はボロボロ泣いていた。初めて負けたと泣いて、兄に蹴られていた。ちょっと可哀想だった。
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