籠球×庭球
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
誠凛高校からの帰り、電車の中で名前は眠ってしまっていた。黄瀬は名前と誠凛の上級生との会話に出ていた幸村という人物について聞いてみたいと思ったが、言い出せないまま名前が眠ってしまったので諦めた。
電車が止まり、プシュ、と空気の抜ける音と共にドアが開く。一人の少年が車内に乗り込み、眠る名前の隣に座った。車内は結構空いているのに、何故わざわざ名前のすぐ隣に座るのか。変質者か。茶髪に、微笑んだような糸目の、なかなかの美少年だ。しかしこちらをじっと見ている。変質者か。黄瀬が少年を警戒していると、電車が動き始め、名前が少年の方に倒れそうになる。ぐい、と名前の肩を引き、自分の肩を枕替わりに貸してやった。
「君、笠松さんの彼氏?」
「は?え、ええ!?」
少年の口から飛び出した言葉に驚愕する。
「いやいや、彼氏じゃないっス!ていうかあんた誰!?笠松さんの知り合い!?」
「大きい声出したら迷惑だし、笠松さんが起きちゃうよ」
あんたの所為だろ!と極力声を抑えて詰り、睨みつける。どう考えても少年の声のかけ方がおかしい。もっと自然な流れで話しかけてきても良かっただろうに。なんてマイペースなやつなんだ。
「ほんと誰スか、あんた」
「不二だよ」
「名前聞いてるわけじゃねーんスよ。何者かっつー話しなんスよ」
「青春学園高等部テニス部一年だよ」
「はいはい。ご丁寧にどーも…テニス部?」
不二と名乗った少年は、どうやら中学時代の名前の知り合いであるらしい。今日は妙にテニスに縁のある日だ。誠凛の猫っぽい上級生もかつてはテニス部で、それで名前を知っていたような口ぶりだった。笠松名前という少女は実は有名人なのだろうか。自分の肩を枕にしてぐうぐう寝ている名前を見ながら黄瀬は思案した。
「その制服、立海じゃないよね。笠松さん、立海から離れたって本当だったんだ」
少し残念そうな不二に、黄瀬は何故だか優越感を感じた。そうっスよ、笠松さんは海常のバスケ部のマネージャーなんスよ。心中でふふん、と得意げに胸を張る。名前が海常の生徒で、バスケ部のマネージャーをしていることが黄瀬の自慢になるわけではないのだが。
「あんたテニス部なら、幸村って人のこと知ってる?」
名前に聞きそびれたことを不二に聞いてみる。
「知ってるけど。でも、僕に聞くより笠松さんに聞いた方がいいんじゃないかな。他校生の僕よりずっと詳しいと思うよ」
ごもっともである。それ以上何も聞けなくなり、黄瀬はぐぬぬと歯噛みした。
二駅目で不二はじゃあこれで、と黄瀬に向かって軽く手を挙げて別れを告げた。
「あ、そうだ。笠松さんと恋人になりたいなら、真田くらいは倒せないといけないから身体を鍛えておいた方がいいよ」
できれば熊を素手で倒せるくらい。そう言い残して不二は電車を降りた。
「熊を素手で倒すくらい強くないと倒せない人間ってなんだよ…ていうか真田って誰だよ…」
不二の言葉を反芻し、黄瀬は頭を抱えた。
電車が止まり、プシュ、と空気の抜ける音と共にドアが開く。一人の少年が車内に乗り込み、眠る名前の隣に座った。車内は結構空いているのに、何故わざわざ名前のすぐ隣に座るのか。変質者か。茶髪に、微笑んだような糸目の、なかなかの美少年だ。しかしこちらをじっと見ている。変質者か。黄瀬が少年を警戒していると、電車が動き始め、名前が少年の方に倒れそうになる。ぐい、と名前の肩を引き、自分の肩を枕替わりに貸してやった。
「君、笠松さんの彼氏?」
「は?え、ええ!?」
少年の口から飛び出した言葉に驚愕する。
「いやいや、彼氏じゃないっス!ていうかあんた誰!?笠松さんの知り合い!?」
「大きい声出したら迷惑だし、笠松さんが起きちゃうよ」
あんたの所為だろ!と極力声を抑えて詰り、睨みつける。どう考えても少年の声のかけ方がおかしい。もっと自然な流れで話しかけてきても良かっただろうに。なんてマイペースなやつなんだ。
「ほんと誰スか、あんた」
「不二だよ」
「名前聞いてるわけじゃねーんスよ。何者かっつー話しなんスよ」
「青春学園高等部テニス部一年だよ」
「はいはい。ご丁寧にどーも…テニス部?」
不二と名乗った少年は、どうやら中学時代の名前の知り合いであるらしい。今日は妙にテニスに縁のある日だ。誠凛の猫っぽい上級生もかつてはテニス部で、それで名前を知っていたような口ぶりだった。笠松名前という少女は実は有名人なのだろうか。自分の肩を枕にしてぐうぐう寝ている名前を見ながら黄瀬は思案した。
「その制服、立海じゃないよね。笠松さん、立海から離れたって本当だったんだ」
少し残念そうな不二に、黄瀬は何故だか優越感を感じた。そうっスよ、笠松さんは海常のバスケ部のマネージャーなんスよ。心中でふふん、と得意げに胸を張る。名前が海常の生徒で、バスケ部のマネージャーをしていることが黄瀬の自慢になるわけではないのだが。
「あんたテニス部なら、幸村って人のこと知ってる?」
名前に聞きそびれたことを不二に聞いてみる。
「知ってるけど。でも、僕に聞くより笠松さんに聞いた方がいいんじゃないかな。他校生の僕よりずっと詳しいと思うよ」
ごもっともである。それ以上何も聞けなくなり、黄瀬はぐぬぬと歯噛みした。
二駅目で不二はじゃあこれで、と黄瀬に向かって軽く手を挙げて別れを告げた。
「あ、そうだ。笠松さんと恋人になりたいなら、真田くらいは倒せないといけないから身体を鍛えておいた方がいいよ」
できれば熊を素手で倒せるくらい。そう言い残して不二は電車を降りた。
「熊を素手で倒すくらい強くないと倒せない人間ってなんだよ…ていうか真田って誰だよ…」
不二の言葉を反芻し、黄瀬は頭を抱えた。