籠球×庭球
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黄瀬涼太にとって笠松名前という女は、主将である笠松幸男の妹でしかなかった。結構可愛い子だな、とは思ったがそれだけだった。事実、同じクラスだと言われてもまったく記憶に残っていなかった。
監督にマネージャーとして紹介された彼女は、やや堅苦しい口調で手短に名乗った。なんでも新入部員の体力作りや基礎練習の監督を行うらしい。それはマネージャーの仕事なのだろうか、と黄瀬は思ったが、よく考えてみると黄瀬自身マネージャーの本来の仕事というものは皆目分からなかった。海常はそういう方針なのだろうな、と早々に思考を放棄する。難しいことを考えるのは苦手だった。
部活後、三年生の先輩たちの一団の、少し後ろを黄瀬と笠松名前は並んで歩いていた。なんとなく、他の一年生と話す気になれず、かといって先輩たちの間に入っていく気にもなれず、消去法で名前の隣を選んだ。始終無言というのも座りが悪かったので世間話を振ってみた。
「笠松さんは、主将の妹さんなんスよね」
「ああ」
「中学でもマネージャーやってたの?」
「ああ」
「やっぱりバスケ部?」
「いや、テニス部」
会話が続かねー。黄瀬が少しうんざりし始めた時、名前の携帯が鳴った。彼女は「ごめん」と短く謝ると着信を確認し、嬉しそうに微笑んだ。友達からだろうか。
「やあブン太」
電話に出た名前の第一声は男の名前だった。なんだ、彼氏がいるのか。
「ああ、問題ないよ。兄貴もいるからね。そっちはどうだ?…ははっ、変わらないか。うん?来週?ちょっとまって…うん、大丈夫。私も参加するよ。…え?なんだ、またお前はジャッカルに迷惑かけてるのか。ほどほどにしろよ。…ああ、うん。わかってる。じゃあ、また来週」
通話が終わったのか、名前は携帯をカバンにしまった。
「悪いね」
「彼氏?」
「いいや、中学の、テニス部の友人だ」
「ふーん」
ただの友人、と言う割にとても嬉しそうである。やはり彼氏ではないのか。黄瀬は訝しんだ。
それにしても友達か。未だ楽しそうな名前を見て、黄瀬はかつての親友、黒子テツヤのことを思い出していた。先輩たちには生意気だなんだと言われながら、それなりに可愛がられている。が、同級生とは打ち解けられていなかった。黒子っちに会いたいな、と黄瀬はぼんやりと考えていた。
監督にマネージャーとして紹介された彼女は、やや堅苦しい口調で手短に名乗った。なんでも新入部員の体力作りや基礎練習の監督を行うらしい。それはマネージャーの仕事なのだろうか、と黄瀬は思ったが、よく考えてみると黄瀬自身マネージャーの本来の仕事というものは皆目分からなかった。海常はそういう方針なのだろうな、と早々に思考を放棄する。難しいことを考えるのは苦手だった。
部活後、三年生の先輩たちの一団の、少し後ろを黄瀬と笠松名前は並んで歩いていた。なんとなく、他の一年生と話す気になれず、かといって先輩たちの間に入っていく気にもなれず、消去法で名前の隣を選んだ。始終無言というのも座りが悪かったので世間話を振ってみた。
「笠松さんは、主将の妹さんなんスよね」
「ああ」
「中学でもマネージャーやってたの?」
「ああ」
「やっぱりバスケ部?」
「いや、テニス部」
会話が続かねー。黄瀬が少しうんざりし始めた時、名前の携帯が鳴った。彼女は「ごめん」と短く謝ると着信を確認し、嬉しそうに微笑んだ。友達からだろうか。
「やあブン太」
電話に出た名前の第一声は男の名前だった。なんだ、彼氏がいるのか。
「ああ、問題ないよ。兄貴もいるからね。そっちはどうだ?…ははっ、変わらないか。うん?来週?ちょっとまって…うん、大丈夫。私も参加するよ。…え?なんだ、またお前はジャッカルに迷惑かけてるのか。ほどほどにしろよ。…ああ、うん。わかってる。じゃあ、また来週」
通話が終わったのか、名前は携帯をカバンにしまった。
「悪いね」
「彼氏?」
「いいや、中学の、テニス部の友人だ」
「ふーん」
ただの友人、と言う割にとても嬉しそうである。やはり彼氏ではないのか。黄瀬は訝しんだ。
それにしても友達か。未だ楽しそうな名前を見て、黄瀬はかつての親友、黒子テツヤのことを思い出していた。先輩たちには生意気だなんだと言われながら、それなりに可愛がられている。が、同級生とは打ち解けられていなかった。黒子っちに会いたいな、と黄瀬はぼんやりと考えていた。