「忍足##NAME1##なー｡かわええんとちゃいます」

「は…？」

「純粋なとこは兄妹そっくりですわ」

「それ俺の事もかわええって「言うとらんわアホ」

冷静になって考えると大事な気しかせえへん。

「謙也さんが踏み込まんのやったらそれまでやろ。ああいう女って自分の気持ちにまず気付かへんから」

「まあ…天然やからなあいつ」

報われる報われんはどうでもええとして、この現状は打破せなあかんことは確かや。
財前もそれを伝える為に残っとるんかもしれん。

「…今日伝える」

「おん。ヘタレとったらカッコよーないっすわ」

有言実行。俺はすぐ立ち上がった。

「ヘタレちゃうわ！じゃあな財前。アドバイスおおきに」

バンと音を立てて扉を開けて家路を急いだ。

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「何でそないなこと言うん？」

『謙兄ちゃんはもっと自信持ってもええはずや！ちゃんとモテるんやって…』

「それ言うたら##NAME1##やってモテとるやろが！」

『…それは分からんけど…好きやない人から好かれとったって答えられへんよ』

さっきからどうも俯きがちで元気がない。俺のせいなんやろか。

「##NAME1##は俺に何を伝えたいん？」

そっと頭の上に手を乗せて、湿った髪に指を絡ませた。

『…自信持って欲しいだけやけど…』

見つめてくる濡れた目が熱く、瞳を揺らすだけで逸らせへん。
思わず固唾すら飲んでまう。

「な…と、とりあえず風呂出よか」

『あっ…うん』

我に返った様に何度か##NAME1##が頷いた。

「先出とくな」

あの雰囲気から逃げるみたいにそそくさと風呂を出てしもた。

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昨夜の事を思い出して、謙也は玄関の前で溜め息を吐く。

ー今日こそは伝えたらなあかんな

ドアノブを握ると同時に、もう片方の手を胸の前で握った。