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恥ずかしいて##NAME1##の方見られへん。チラッと見ると湯船に浸かる##NAME1##の肌がほんのり赤くなっていってて、髪が水分含み始めとる。
これ我慢できるんかな、俺。

『謙兄ちゃんも入り。ちょうどええ温度やで!』

この子は俺の理性を何やと思っとるんやろ。

「い…いや俺シャワーしか浴びへんし」

『勿体無いやんそんなん!疲れとるんやからどうせなら入ろー』

手引っ張られて仕方無く入ることにしたけど、もう逆上せそうや。
俺が犯罪者になる日も近いんかな。

『謙兄!』

「なん…!?」

呼ぶ声に答えようとしたら顔にお湯かけられた。

「やるなぁ##NAME1##…仕返しや!」

ぱしゃっとかけると、##NAME1##が短い声を上げる。
暫くそんなんを繰り返してると、急に電気が消えた。

『やだ…ちょ、なに?』

「ブレーカー落ちたんと違う?見に行って来るわ」

『私も行く…暗いん苦手や』

「はいはい」

風呂場を出てブレーカー見たらやっぱり落ちてるっぽいな。スイッチを上げると電気的な音がして復旧した。

『あー何も無くて良かったわ』

「また風呂場で暖房しよったんか?どうりで暑い訳や。電気かなり食うから使うな言われよったやろ」

ごめんなさい、なんて素直な返事に俺は何でも無さそうな顔して心の中で悶絶する。

『…突然なんやけど謙兄って今好きな人おるん?』

唐突な質問に心臓止まりかけた。

「な…んで…?」

たった三文字の言葉を発すのもやっとや。

『…何となく気になって。謙兄、モテとるのに自覚無いんやもん』

「は!?何言うとんねん大してモテとらんよ。白石みたいなんがおるせいで俺なんか全然目立たん」

『そんな訳あらへん。クラスの女の子はテニス部の人かっこええ言うとったしその中に謙兄ちゃんの名前も出てきとった!確かに白石先輩は非の打ち所が無さそうやけど…』

下級生にまで及ぶほどテニス部は名高いんかいな。って当たり前か。テニスの中では全国大会に出る強豪校やし、##NAME1##のクラスには財前もおるし。

「けど?」

『謙兄ちゃん派の人もおるはずや』

「おったりしても一握りやろ」

自分で言うとって少し悲しい。でも女の扱い上手いんは白石やし、成績がええんも白石やし、顔とかスタイルとか肌とかも見た目に関しては男が認める程完璧。何やほんまに俺が悲しいだけやん。

『じゃあ…私も謙兄派や言うたら?』

試してない##NAME1##の声に俺のハートのブレーカーが落ちた。

「…部活くらいちゃんとやれんのか?」

「スンマセン」

「何でそないに歯切れが悪いんや!無駄多すぎやっちゅーねん!!」

白石が自分のことのようにああもう言いながら両手で頭抱えとる。
今の状況は、部活に力入らん俺に痺れ切らした白石が部室で俺の胸倉掴んで喚いとるっちゅー端から見たらただの地獄絵図。

「何がノースピードノーライフやねん。お前が言われとーない事言うたろか?ん?」

「え…あ、待って」

「シャキッとせんかいこのヘタレ!スローライフ!!」

「俺が悪かったあああ!!」

よりによって親友にトドメを刺された。もう立ち上がれん。

「部長も謙也さんも騒ぐなら外でやったらどうですか?今コートなら誰もおらんし人一人帰って来んかった所で分からんと思いますよ」

「おーそれはええかもな」

「やめて!!心配せんでも俺のライフはもうゼロやから!何でお前らそんなに人を貶すのが好きなん!?しかも悩んどる人を!!」

「何ー?謙也は悩み事あるん?」

「金太郎さんは気にせんでええよ」

金ちゃんの素朴な質問は小春が煙に巻いてくれるらしい。
純粋な子ってええけど困り者やな。

「ケッ…また女か。しかも妹て」

バンダナ取って髪にへばり付く汗をウザったそうにタオルで拭きながらユウジが吐き捨てた。

「…やっぱり分かるん?俺が##NAME1##の事で悩んでるなーって」

「他に悩むことあらへんやろ?」

「謙也さんすぐ忘れてはるからな」

「白石も財前も俺を何やと思っとんねん」

もう突っ込むのも疲れてくるわ。

白石の解散の合図に、部員が外に流れて行くのをぼーっと見ながら溜め息を吐く。

「言うた筈ですわ」

そっぽ向きながら呟く財前の方に目を向けた。こいつだけはまだ残っとったらしい。

「俺があいつを狙うって決めた時は容赦せんって」

「お前…何でそんなこと…もしかして名前のこと…」

こいつの目はよぉ分からん。本気か嘘かも読み取れん切れ長の瞳は、テニスやってる時しか光らんのやろな。

「謙也さんに揺さぶりかけたいだけやけど」

「そんな理由かい!!」

興醒めして叫ぶと、財前に嘲笑われた。
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