Ⅰ
夢小説設定
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「俺が告白したらどないなるねん…そんなんもう、兄妹でおられんようなるだけやん」
―あれ…ほんまにその通りや
突き付けられた真実に涙腺が弛みそうになるのを堪え、二人の反応を待つ。
「謙也は昔から##NAME1##ちゃんのこと好き言うとったな」
「まぁ…昔からあいつのこと見とったし。恋しとるなって自覚したんは数ヵ月前やけど」
家族に可愛がられていたせいか、##NAME1##はこの年になっても父の事や兄である謙也を邪険に扱ったりはしない。そんな純粋な彼女を愛らしく思う剰り好きと勘違いしていたと思っていた。
―いや…本当は怖かったんかも知れん
妹の事が好きだなんて言うのはおかしいと気付かされることがこんなに悔しいなんて。
「アホちゃいますか」
「え…?」
「あんた自分に自信無いから、血縁無いなんて知るあいつが可哀想言う理由つけて逃げとるだけやん」
「何やと?」
財前を思いきり睨んでも彼は携帯を弄り続けるだけだ。
「もし俺が謙也さんやったら真っ先にあいつのこと奪いに行く。あんたと違て俺は自信ありますから」
コト、と籠った音を立ててテーブルに携帯を置き、向き直る彼の目は真摯に自分を捕らえていた。
「言うなぁ財前。ええでええで」
それまで黙っていた白石は、感銘を受けたよう拍手を送る。茶化された気分になったようで財前は舌打ちをしていたのだが。
「謙也さんはそうやってウジウジ考えとったらええですわ。でも」
ラケットバッグを片手に、ドアノブを握りながら振り返る。
「俺があいつを狙い始めた時は覚悟しとってくださいね?」
不敵に笑んで、財前は扉を閉めた。
「え…何。どういう意味?」
身動きが取れず謙也は瞳を揺らす。
「頑張れ言われとんのや!」
ばしんと肩を叩かれても、放心状態からは抜け出せなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ただいまー」
『お帰り謙兄ちゃん!』
うわ、わざわざ玄関まで来てくれた。毎回毎回ええ子やな。
『はいこれ』
「ん?何やそれ」
小さな紙袋の中味を開けると、ふわりと甘い香りが漂った。
『調理実習のやつやねんけど…良かったら食べてみて』
昼間言うてたやつか。ちょっと自信無さげに上目遣いでかわええ。貰ったそれを持ってリビングに入り座ってからケーキを一口食べる。
「ん、美味しいで!」
『ほんまに!?良かった』
「料理出来るなんて凄いな、##NAME1##」
料理出来んでも可愛いとか言うたんが失礼に思えてくるな。
照れて笑う##NAME1##に釣られて笑いつつ頭を撫でて、テレビを点けた。
「ホラー特集やっとるな」
『えっ』
左に座ってきた##NAME1##が画面に視線を向ける。
「怖い?変えるか?」
もし苦手やったらどうしよ、と思って聞くと##NAME1##は首を振った。
『いや…嫌いやないから大丈夫』
ほんなら大丈夫かな。チャンネル変えるタイミング失って、俺はそのままホラー特集を見続けることにした。
「次はミニドラマかいな…演出すごーてビビってまうよな」
『…せやね』
##NAME1##の返事は何とも無いけど、錯覚かいな。
さっきよりずっと近い。いつの間にか体は俺の方向いてて顔だけ前向いてる感じになってる。
「あ、これ振り向いたらあかんやつちゃう?」
テレビの中の人が、焦燥感ある音と共にゆっくり振り返った途端、鼓膜が破けるぐらいの叫び声が聞こえた。
「ちょっ…##NAME1##!?」
『ご、ごめん…怖かって』
テレビの悲鳴と##NAME1##の悲鳴が両耳揺さぶっとったわ。
「こ…怖いなら怖い言わんかい!!」
ぎゅっと俺に抱き付く##NAME1##に躊躇いながら抱き付き返す。
『怖い物見たさやって…もう消そ!ご飯食べよ』
リモコンで消してソファーを立つ##NAME1##を名残惜しく思う俺とは。
二人でご飯を作って、食べ終わった後##NAME1##が裾を引っ張ってきた。
「ん?どした?」
裾引っ張るんはあかんやろ。可愛すぎるっちゅーねん。
『えっと…嫌やったらええねんけどな?』
控え目にお願いしてくる妹を嫌がる兄貴なんておらんわ。
『お風呂…一緒に入って?』
兄妹やめたい。
---------------------
「あーかーん」
『あかんくない!ほんまに今日は無理や怖いねん!』
「俺と風呂入るんは怖ーないんか!?」
普通中学生ぐらいになると兄貴とか親父とかは嫌う筈やねんけど。いや、嫌われたら泣くな。
『怖かったら言わん…今日だけでええから妹のお願い聞いて?私のお兄ちゃんやろ』
録音したい。
「…ほな風呂の前の洗面所で待っといたるから!それで堪忍や」
『何で嫌がるん?もしかして私の我が儘にうんざりしたん?』
「そんな訳あらへんわ!!」
『じゃあ何で…昔は一緒に入ってくれよったのに』
がっくり肩落とされて罪悪感が半端ない。
「もう年頃やねん。俺もお前も」
『年頃言うても兄妹やん』
そうや。
この子知らんのやった。ゾッとして黙ると、##NAME1##が俯く。
『…ごめん。謙兄に迷惑かけるつもりやなかったんやけど…』
立ち退こうとする##NAME1##の腕を気付けば掴んどった。
「ちゃうねん…悪かった。##NAME1##にそんな顔させる気なんてあらへんのに。分かった!タオル巻く約束できるんなら一緒に入れるで」
他人の裸見るんも同然やしこのくらいの処置は当たり前やろ。
頷いた##NAME1##が先に着替えるんを待って、終わったんを確認してから風呂のドアを開けた。
『久し振りやね、謙兄ちゃんとお風呂入るんは』
久し振りすぎて緊張してまうわ。
「せ…せやな!何年ぶりやろ」
―あれ…ほんまにその通りや
突き付けられた真実に涙腺が弛みそうになるのを堪え、二人の反応を待つ。
「謙也は昔から##NAME1##ちゃんのこと好き言うとったな」
「まぁ…昔からあいつのこと見とったし。恋しとるなって自覚したんは数ヵ月前やけど」
家族に可愛がられていたせいか、##NAME1##はこの年になっても父の事や兄である謙也を邪険に扱ったりはしない。そんな純粋な彼女を愛らしく思う剰り好きと勘違いしていたと思っていた。
―いや…本当は怖かったんかも知れん
妹の事が好きだなんて言うのはおかしいと気付かされることがこんなに悔しいなんて。
「アホちゃいますか」
「え…?」
「あんた自分に自信無いから、血縁無いなんて知るあいつが可哀想言う理由つけて逃げとるだけやん」
「何やと?」
財前を思いきり睨んでも彼は携帯を弄り続けるだけだ。
「もし俺が謙也さんやったら真っ先にあいつのこと奪いに行く。あんたと違て俺は自信ありますから」
コト、と籠った音を立ててテーブルに携帯を置き、向き直る彼の目は真摯に自分を捕らえていた。
「言うなぁ財前。ええでええで」
それまで黙っていた白石は、感銘を受けたよう拍手を送る。茶化された気分になったようで財前は舌打ちをしていたのだが。
「謙也さんはそうやってウジウジ考えとったらええですわ。でも」
ラケットバッグを片手に、ドアノブを握りながら振り返る。
「俺があいつを狙い始めた時は覚悟しとってくださいね?」
不敵に笑んで、財前は扉を閉めた。
「え…何。どういう意味?」
身動きが取れず謙也は瞳を揺らす。
「頑張れ言われとんのや!」
ばしんと肩を叩かれても、放心状態からは抜け出せなかった。
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「ただいまー」
『お帰り謙兄ちゃん!』
うわ、わざわざ玄関まで来てくれた。毎回毎回ええ子やな。
『はいこれ』
「ん?何やそれ」
小さな紙袋の中味を開けると、ふわりと甘い香りが漂った。
『調理実習のやつやねんけど…良かったら食べてみて』
昼間言うてたやつか。ちょっと自信無さげに上目遣いでかわええ。貰ったそれを持ってリビングに入り座ってからケーキを一口食べる。
「ん、美味しいで!」
『ほんまに!?良かった』
「料理出来るなんて凄いな、##NAME1##」
料理出来んでも可愛いとか言うたんが失礼に思えてくるな。
照れて笑う##NAME1##に釣られて笑いつつ頭を撫でて、テレビを点けた。
「ホラー特集やっとるな」
『えっ』
左に座ってきた##NAME1##が画面に視線を向ける。
「怖い?変えるか?」
もし苦手やったらどうしよ、と思って聞くと##NAME1##は首を振った。
『いや…嫌いやないから大丈夫』
ほんなら大丈夫かな。チャンネル変えるタイミング失って、俺はそのままホラー特集を見続けることにした。
「次はミニドラマかいな…演出すごーてビビってまうよな」
『…せやね』
##NAME1##の返事は何とも無いけど、錯覚かいな。
さっきよりずっと近い。いつの間にか体は俺の方向いてて顔だけ前向いてる感じになってる。
「あ、これ振り向いたらあかんやつちゃう?」
テレビの中の人が、焦燥感ある音と共にゆっくり振り返った途端、鼓膜が破けるぐらいの叫び声が聞こえた。
「ちょっ…##NAME1##!?」
『ご、ごめん…怖かって』
テレビの悲鳴と##NAME1##の悲鳴が両耳揺さぶっとったわ。
「こ…怖いなら怖い言わんかい!!」
ぎゅっと俺に抱き付く##NAME1##に躊躇いながら抱き付き返す。
『怖い物見たさやって…もう消そ!ご飯食べよ』
リモコンで消してソファーを立つ##NAME1##を名残惜しく思う俺とは。
二人でご飯を作って、食べ終わった後##NAME1##が裾を引っ張ってきた。
「ん?どした?」
裾引っ張るんはあかんやろ。可愛すぎるっちゅーねん。
『えっと…嫌やったらええねんけどな?』
控え目にお願いしてくる妹を嫌がる兄貴なんておらんわ。
『お風呂…一緒に入って?』
兄妹やめたい。
---------------------
「あーかーん」
『あかんくない!ほんまに今日は無理や怖いねん!』
「俺と風呂入るんは怖ーないんか!?」
普通中学生ぐらいになると兄貴とか親父とかは嫌う筈やねんけど。いや、嫌われたら泣くな。
『怖かったら言わん…今日だけでええから妹のお願い聞いて?私のお兄ちゃんやろ』
録音したい。
「…ほな風呂の前の洗面所で待っといたるから!それで堪忍や」
『何で嫌がるん?もしかして私の我が儘にうんざりしたん?』
「そんな訳あらへんわ!!」
『じゃあ何で…昔は一緒に入ってくれよったのに』
がっくり肩落とされて罪悪感が半端ない。
「もう年頃やねん。俺もお前も」
『年頃言うても兄妹やん』
そうや。
この子知らんのやった。ゾッとして黙ると、##NAME1##が俯く。
『…ごめん。謙兄に迷惑かけるつもりやなかったんやけど…』
立ち退こうとする##NAME1##の腕を気付けば掴んどった。
「ちゃうねん…悪かった。##NAME1##にそんな顔させる気なんてあらへんのに。分かった!タオル巻く約束できるんなら一緒に入れるで」
他人の裸見るんも同然やしこのくらいの処置は当たり前やろ。
頷いた##NAME1##が先に着替えるんを待って、終わったんを確認してから風呂のドアを開けた。
『久し振りやね、謙兄ちゃんとお風呂入るんは』
久し振りすぎて緊張してまうわ。
「せ…せやな!何年ぶりやろ」