中学３年生の夏、私は担任の先生に呼び出されていた。

「表裏さん、君に雄英高校から推薦入学の案内がきている。」

『えっ、私にですか、、？』

「君の個性、特に癒しは大変貴重な個性だ。ヒーロー社会でも大いに活躍できる。雄英としては何としても君を手に入れたいんだろう。
表裏さんは医学部に進みたいと聞いているが、ヒーローになりたいと考えたことはあるかい？」

ヒーロー、、もちろんこのヒーロー社会に生まれて憧れたことがないといえば嘘になるが、正直私の個性は戦闘に特化した個性ではない。
恐らく雄英はヒーローの治癒係として私を置いておきたいのだろう。

『大変光栄なお話ですが、治癒を目的としてのスカウトならばお断りします。それなら医師になった方がより多くの方を救えますので。』

「そうか、、まあまだ時間はあるし、もう一度じっくり考えてみてくれ。何せこの学校から雄英に進学する生徒が出るなんて初めてのことだしな。」

なるほど、学校の知名度を上げることが目的か
担任の言葉にため息をつきながら職員室を出ると、友人の絵麻が待っていた。

「呼び出し、何だったの？」

『うーん、雄英から推薦入学のお誘いがきてたみたい』

「え、すごいじゃん！受けなよー！」

『でも私今まで個性あんまり使ったことないしなあ、、正直まだ使いこなせてないし、特に戦闘訓練なんて付いていける気がしないよ』

「何言ってんの！入っちゃえばこっちのもんだって！玲の個性なら戦闘に参加しなくても十分活躍できるし、一流ヒーロー間違いなしだよ！大金持ちだよ！！」

絵麻の言葉に苦笑しつつ、ヒーローか、と考えてみる。
確かに医師同様に人を救う素晴らしい仕事だと思うけど、どうも自分がなると思うと想像ができない。
そもそも、事件や事故に巻き込まれたこともないのでヒーローという存在事態私にとってはテレビで見る別世界の物語だった。