〔弐〕初めての空
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私達のやり取りを微笑みながら見ていた近藤さんは、大きく満足そうに頷いた。
「よしよし!それじゃあ、同じ医学を志す同士として、屯所内の案内は君に頼んでも良いかな?山崎君」
「はい」
そう山崎さんが返答するのを確認すると、じっと成り行きを見守っていた土方さんは、すっと立ち上がった。
「これからお前の“家”になる場所だ。しっかり見ておけよ」
そう言う土方さんの表情は、“バラガキ”と称されていた頃のそれではなかった。それは──組織の主軸、副長の顔。凛とした、頼もしい表情。
去っていく黒い長髪に見とれながら、日によく映えるな、とぼんやり思った。
「‥じゃあ、行きましょうか」
すっと立ち上がる山崎さんに合わせて、私も立ち上が──ろうとした。
「──~~っ!!」
けれど、それは叶わなかった。
「‥‥何しとるん‥です?」
激痛‥とは違う、何とも言い難い感覚が私の脚を襲う。言葉にならず、私が悶えていると、山崎さんはポカンとした表情で口を開いた。
「──‥もしかして、足、痺れとるん‥です?」
これまた言葉にならず、私は大きく頷いた。すると、山崎さんはまたポカンとした表情で私を見下ろして、それから、顔を背けるようにして小さく吹き出した。隠すつもりだったんだろうけれど、笑っているのはもう丸分かり。
「──堪忍‥」
私は恥ずかしさとどうにもならない痛みとに堪えていたから、多分途徹もなく変な顔をしていたと思う。やりきれなくてもう俯くしかない。
山崎さんは笑いを噛み殺しながら、なんとか言葉を繋ぐ。
「‥英国行ってた言うから、どんだけえらい特別な奴なんやろと‥」
思っていたのに、この様だったので笑ってしまった、ということだろうか。何にしてもやっぱり恥ずかしくて、顔が熱くなってしまう。
「すみません‥山崎さん。すぐ立ちますので‥!」
「あー、えぇ。気ぃ遣わんで」
相変わらず笑いを噛み殺しながら、手で制される。
見たところ、お互い似通った年頃なのだろう。いつの間にか山崎さんの敬語が解けていた。
治ったら行こか、とだけ少し弛んだ口で告げて、彼はもう一度座り直した。
とは言うものの、
──いつになったら、この痺れは治るのだろう
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