〔五〕良い所、悪い所
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「此処は桜餅が絶品なんですよ」
私と沖田さんは屯所を出ると京都の町をぶらりと歩いた。
沖田さん行きつけのお店や、生活に役立ちそうなお店を教えてもらいながら。
私は、隣から時折聞こえてくる咳に気を配りつつも、これを楽しんでいた。
「春華さん」
「何ですか?」
沖田さんはふと足を止めて、合わせていた目線を下にやって、私の足を指差しながら言った。
「足、痛くないですか?」
「え?」
「向こうじゃ草履とか履かないんでしょう?」
突然の話題に目をしばたかせた。そして、その気遣いにただただ驚く。そんな事まで考えてくれていたなんて。
「っ全然大丈夫です!お気遣いありがとうございます」
軽くお辞儀すると、沖田さんは少し寂しそうに笑った。
「なんだかよそよそしいですよー? もっと楽に構えて下さい」
「え?」
「敬語とか」
「沖田さんもじゃないですか」
「これは私の性分ですから」
「じゃあ私だってそうですから」
「‥‥」
一瞬沈黙があって、目をぱちくりとさせて。──そしてそれからどちらからともなく 笑った。
「じゃあお互い様ってことで」
「そうですね」
二人笑顔になって、空気が和むのを感じる。──すごく心地よくて、好きな空気だった。
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