〔四〕意志の集う場所
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改めて、“自分の居る場所”に神経を澄ます。
あさげの匂い。
次第に賑やかになる室内。
朝稽古の音、活気。
皆の笑い声。笑顔。
瞳を閉じて、思い浮かべる。
彼等が掲げる“誠”の一文字。
彼等が誓う忠誠の志。
彼等が捧げる尊い命。
改めて、自分の居る場所を、実感した。
「──‥」
くらくらする頭を抱えて、私は朝稽古の掛け声が聞こえる方向へと、誘われるように行く。
けれど、朝稽古をしている彼らは 皆道場の中ではなく、外で木刀を振るっていた。
「‥中には入らないの?」
ふとした疑問を、近くで休憩していた鉄に投げ掛けると、彼は突然声を掛けられたことに一瞬驚いたらしい。大袈裟に肩をビクつかせて振り返ると、あぁ春華か、と呟いて 一呼吸置いて答えた。
「あの空気の中に入れるヤツがいたら、顔を見てみたいよ」
毎朝恒例なんだ、と鉄は言い加えた。
───────
─────
──
静寂の中に、その人はいた。
稽古場の中央に 静寂を纏って心静かに居るその人は、右方 床の上に置かれた刀に並ぶように正座し、黙祷していた。
「──‥何方です?」
静寂を破ったのは彼からだった。私は突然の一声に驚いて、思わず逃げの体勢を取ろうとした。
「あぁ、待って下さい。逃げずとも」
クスリと笑うと 彼は目を開けて此方を向いた。
「ごっ、ごめんなさい。沖田さん‥」
観念して壁の裏からすごすごと姿を現すと、私は思わず頭を下げた。
優しい瞳を細めて、沖田さんは笑った。
静寂の中、精神を研ぎ澄ましていた沖田さんは───少し 怖かった。
見事に磨き上げられた刀と対峙する時と‥どこか似ている。
「集中なさっていた時に邪魔してしまって‥本当にすみませんでした」
「いえいえ。別に立ち入り禁止とかにしている訳じゃないんですけど‥、誰も近寄ろうとしないんですよねぇ」
でも、その声は温かだったんだ。
笑顔は綺麗で見とれてしまうほどだけど、一番合う形容詞は──“温かい”。
その声を聞いて、ひどく安心して、私は沖田さんの元へ歩み寄ったのだ。
「さっきの沖田さん、鬼気迫るような気迫がありましたから」
そして、その鬼気で 今まで生き抜いてきたのですね。とは、言えなかった。
これが新撰組なのだと。“新撰組の沖田総司”なのだと、私は目で耳で体中で──感じた。
「──沖田さん」
少しの沈黙の後、私は重い口を開いた。
「一つ、お訊きしたい事があります」
研ぎ澄まされた刃のような貴方は
「なんでしょう?」
温かな心を持つ、貴方は‥
「貴方は、何故、刀を振るうのですか‥?──」
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