〔四〕意志の集う場所
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角を曲がって少し行くと、少しだけ襖の開いた部屋が一つ。
様子を窺う為に少し覗くと、昨夜の宴会で一際目立っていた人が二人、楽しそうに話していた。
(えっと確か‥)
「‥“永倉さん”と“原田さん”?」
微かな記憶を頼りにその名を小声で呼んでみると、談笑していた二人は此方を向いた。
「おお、春華チャン!」
「入ってこいよ!」
会ったばかりなのに気さくに声をかけてくれた二人に安心すると、私は顔だけ出していた襖を開けて中に入った。
「あの、土方さんは今‥──」
どこにいらっしゃるんでしょうか。そう言い終わる前に、永倉さんが先ほどの隊士と同様の百面相を見せた。
青ざめた後、頬を真っ赤に染めるのだ。
「!! 春華チャン!!?」
「はい?」
「どしたのその格好!!」
視線を自分の着ている“着物”に移す。が、特におかしい部分は無い‥と思う。
「? 何かおかしいですか?」
「えぇ!?」
「おぉ!出血大奉仕なのか!? そうなのか!?」
「馬鹿スケベ左之は黙ってて!」
何処から取り出してきたのか、永倉さんはハリセンを思い切り原田さんの頭に喰らわせた。
盛大なコブが原田さんの頭に出来上がり 静かになったのを確認すると(大丈夫だろうか..)永倉さんは此方に向き直り私の肩に手を置いて真剣な目で言った。
「春華ちゃん‥、今、君、何着てる‥?」
「? “浴衣”ですか?」
「そう!それ!」
“浴衣”のどこがおかしいのだろう?(確かに今の季節には寒いけれど)
疑問符を浮かべながら首を傾げていると、永倉さんは長く息を吐いて、気を取り直した様子で言った。
「あー‥、その、‥それ、いつの浴衣‥?」
「? えっと、渡英は十三の時だから‥、五年くらい前です!」
「あー‥あー‥、そっか、渡英、ね」
そう言って、少しだけ視線を下ろすと、永倉さんは途端に顔を逸らし 自分が羽織っていた上掛けを私の肩に掛けた。
「その、ね、‥女性は、あまり足を‥‥見せては‥」
「足‥?」
ゆっくり視線を下ろしてみる、と、目につくのは私の不健康そうな足。
(足?)
(うん。足が、見えている)
「此処は、男だらけの住居だから‥‥ネ?」
永倉さんの言葉につられて、私の顔から血の気が引いていくのがわかった。
ちょっ‥待っ‥
「こんな所帯で、そんな格好してたら、あー‥男達には目の毒で‥「きゃーっ!!?」」
永倉さんの言葉を遮るように私は今更ながら羞恥の声を上げて 上掛けを引きちぎれんばかりに引っ張って身を覆った。
「‥‥分かってくれたようで 何よりデス」
永倉さんは溜め息混じりに笑った。
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