〔四〕意志の集う場所
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今、私はとても困っている。
「どうしよう‥」
ゆゆしき事態。
「すっかり忘れてた‥!」
そう、“着替え”がない。
荷物は重いからと言って後から京に運んでもらうよう手配したのだった。
しかも後から届く荷物の中にある着物も西洋風だから手に負えない。
「何かないか何かないか‥」
手荷物の中を一心不乱に漁った。歯ブラシ・タオル・ヘアバンド‥‥、寧ろ英国に置いてきた方がいいようなものばかり持ってきている事にガッカリした。
──すると、鞄の底の方で何か薄い布地に手が触れた。
「これ‥!!」
―――――
―――
――
着替えを済ませると、そっと障子を開けて廊下を見回した。
──誰もいない
「‥寝坊したかな」
恐る恐る廊下へと一歩踏み出すと、ちょうど誰かが角を曲がってきた。
短髪で、後ろ髪だけ長く 束ねてある。人の良さそうな優しい目をした人だった。
「あの、すみません」
平隊士の人だろうか。私は躊躇いがちに声をかけた。
読み物を繰りながら歩いていたその人は、私の声に反応して立ち止まり顔を上げた。
「はい?」
人の良さそうな面持ちで、これなら土方さんの居場所を訊いても答えてくれそう‥と思ったその瞬間、男性の表情が突然青ざめた。
「ごっごごめんなさい!!!」
「へ? いや、あの、ちょっとお尋ねしたい事が‥」
「な、何も見てないです!! 悪気はないんですごめんなさいー!!」
彼は何故か平謝りし始め、顔を真っ赤にして走り去っていった。
ぽつりと残された私の頭上には大量の疑問符。
「何だったんだろ‥」
しょうがない、と心の中で呟いて 私は廊下の角を曲がった。
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