日溜まりの中へ【前編】
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日が昇りきっても、まだまだ寒いままだった。
皆手が悴んで上手く竹刀を握れていないようだったので、私はぬるま湯でも持ってこようと、道場を出た。
(本当に寒い‥)
冬は好きじゃない。
私は「春」を待っていた。
ふと、視界に見慣れぬ男性と 少女が見えた。十二・三の少女だ。
近くを賄いの人が通ったので、尋ねてみた。
「あの可愛いお客さんは誰ですか?」
少女は可愛らしい朱色の着物を着ていた。
けれど‥―――
「あぁ、例の近藤さん達のお客様ですよ」
私はもう一度二人を見遣った。
「なんでも兼ねてからの知り合いだそうで。隣に居るのは娘さんです」
「娘さん‥」
「えぇ。‥それが‥‥、二年程前に‥お母様を亡くしたそうで‥」
あぁ、それでか。
少女から感じる生気が、か弱かった。
「‥ ‥」
まるで昔の私のようだ。
初めての接触は、これで終わった。
---To be continued...