日溜まりの中へ【前編】
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私の心は 寒風に吹かれた 冬のままだった
そんな私の心に、突如降り注いだ 日の水泡‥――
《日溜まりの中へ》
木枯らしが吹いて 思わず息を吐くと、雪のように白い。私はそれが消え行くのを見届けつつ、箒を持つ手に力を込めた。
(寒い‥)
ボヤいたって何をしたってどうにかなるモノではないのに、どうしても愚痴らなきゃいられないのは 人間の習慣なんだろう。
「‥おーい! 総司‥!」
遠くから自分を呼ぶ声が聞こえた。
「なんです?近藤さん」
近藤さんは、そのややがっちりした体を軽快に走らせて こちらに向かってきた。
「‥ふぅ。総司、実は頼みが‥‥ってまた掃除してるのか?」
「えへへへ。もう習慣ですから」
そう。此処の掃除をするのは、九歳の時から 自然と私の役割となっている。
「それより、頼みって何ですか?」
近藤さんは一瞬抜けていたのか、あぁ そうだった、と言って笑った。
「実はな、今日客人が来るんで お前に道場の方を頼みたいのだ」
「?土方さんはどうしたんです?」
「俺と歳の客人なんだ」
あぁ、なる程。
「別に大丈夫ですよ? 今日は藤堂さん達くらいしか来ませんし」
「そうか、それは助かる」
近藤さんはニカッと笑うと、じゃ 頼んだ、と言い残して元来た道を戻っていった。
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