『星に願いを』
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梅雨も明けて、晴れ間が多くなってきた頃。 屯所の一角は人々で賑わうようになった。
「やっぱり男は赤だろう!情熱男気の赤だ!」
「分かってないねぇ、佐之クン。ここは男気の中に品を仄めかして薄い藤で王手だネ」
医務室の中まで聞こえる漫才二人組の声に、思わず笑いが零れた。
「もうすぐですね、七夕」
「えぇ」
非番の沖田さんが、町で買ってきた和菓子を持って医務室を訪れてくれ、ささやかなお茶会が開かれていた。
「沖田さんは“短冊”何色にしたんですか?」
「私は特に拘りが無いので白ですよ」
そう言って懐から白くて長細い紙片を取り出すと、沖田さんは顔の傍でひらひらと振って笑った。
“拘りが無い”とは言っていたけど、沖田さんには白が一番似合うと思った。
「‥あれ?ちょっと大きくないですか?」
「あ、わかります?」
明らかに他の人の短冊より一回りも二回りも大きそうだ。
沖田さんはニッコリ笑って嬉々として答えた。
「白じゃ目立たないかなぁと思いまして」
十分拘ってるじゃないですか!
そう口に出しそうになった言葉を、飲み込んだ。短冊に書く事を わくわくしながら考えている沖田さんを見ていたら、なんだか幸せな気持ちになったから。
代わりに一つ クスリと笑った。
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