只、只

走っている。


何に向かって？

何の為に？


そんな事、決まっている。

託されたからだ。



――コレヲ日野ニ届ケテクレ――



その 想いを。



――頼ンダゾ――



その 意志を。



――‥鉄之助



全てを。









いつかも こうやって必死に走っていた。

いつかの まだ拙く弱き 無力の日。


あの時は、只、逃げた。

逃げて逃げて逃げて逃げて。

己が可愛くて。



でも、今は違う。




―――ココニ居テ ドウスル


―――ココデ死ンデ 何ガ変ワル




俺は、託されたのだ。



――オ前ダケハ‥



時代に散っていった命の全てを。


そして、生きると約束した。



――生キヌイテ ソシテ‥――



あの、最も優しき 偉大な鬼と。







――…ねぇ、鉄‥――



生きると、約束‥ した。



――何があっても‥、何をしてでも‥――



あの 曇り無き空のような



――生きて‥――



澄み切った少女と。







「‥‥‥ッ」






俺は、走る。

まだ“明日”が見えるから。


前へ、進む。

命在る限り 全てを背負って。








俺は‥









PEACE MAKERだから。








『明日へ――Tetsu』-終



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