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小さい体に、大きな力を秘めた少女だと思った。
‥小さいなんて、俺には言われたくないだろうけどね。
――‥でもきっと、俺は 君に憧れていたんだ。
小さくても、無限の可能性を秘めていた、君に。
俺はその時、潰れそうになっていた。
あらゆる重圧と、責務がのしかかって。
そして、それを分け合う筈の友とも分かたれた。
そんな時だ。君が俺を呼んだのは。
『何か心に秘めている事はありませんか――?』
普段冷静な筈の俺が、予期せぬ問い掛けに 心拍数を上げてしまった。
このコは、何故分かるのかと。
俺はすぐさま誤魔化そうとした。
けど、無理だった。
固かった筈の俺の口が、意思とは反して、いとも簡単に 弱音を吐いたのだ。
『馬鹿な奴が居るんだよ‥。世の中にはね』
一言出てしまえば、次の言葉を紡いでいくのは 本当に簡単だった。
『馬鹿優しくて‥馬鹿正直で‥。正真正銘の、馬鹿』
気付いたら、池田屋の話まで飛び出していたから 驚きだ。
『そいつがさ‥額に、縦一文字の‥』
何の話がしたいのか、自分でも分からなくなってきていた。
けれど
『永倉さん』
君は、全てを受け入れて
『‥大丈夫、ですよ』
そして微笑うんだ。
『その“藤堂さん”も、今、同じ地球上で 必死に生きています』
君は気付いていたのだろうか。
『生きて生きて‥、生き尽くさないと』
その笑顔
『組の為を思うなればこそです』
その言葉
『生きて、新しい時代まで見ないと‥ですよ』
君の全てが、どれだけの力を秘めているのか。
“それ”で、平助は救われた。
総司だって、救われた。
そして、俺も また‥。
「‥生きてみるもんだね」
君の言う通りだ。
「聞いてヨ‥、この俺に 嫁さんがいるんだよ?」
あの頃はこんな事、想像することも出来なかった。
「この俺に、家族がいるんだよ‥」
多くの命を奪ってきた俺に、その多くの家族を悲しませてきた俺に、
「‥‥そんな資格、あるのかなぁ‥?」
怖い。
只、怖い。
「‥でもサ」
君なら こう言うと思うんだ。
『生きましょう』
だから、生きてみるよ。
誰よりも“明日”を見たいと望んでいた、君と 皆の分も、生きて。
“新しい時代”とやらを、見てやろうじゃないか。
『生きましょう』
ごめん。
皆の所に行くのは、まだ先になるかもしれない。
『明日――Nagakura』-終
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