日溜まりの中へ【後編】
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あれから季節は巡り
――5度目の冬が訪れた
もう冬は、嫌いじゃない
天下の新撰組ともなれば、私の箒は必要無い
私は刀を握る毎日を送っていた
〈大丈夫。今はこの道に満足している〉
この日は少しいつもと空気が違った
そう‥ 春だ
春を思わせる日溜まりを感じる
『--‥-』
『-‥---』
どこからか話し声が聞こえる
と、その直後 怒鳴り声が聞こえた
『壬生呂がなんだコラァ! お前らのせいで‥---』
郎士だった
只の酔っ払いと言った方が無難か
男の視線を追うと、山崎さんが居た
〈私が出るまでもないか〉
そう思い、その場を離れようとした時だった
視界の端に【春】が映った
日差しが一層強くなる
視界が澄んで
血が巡る
待っていた 本当の春が訪れる
山崎さんが舌打ちし、懐に手をやるのが見えたけれど 私の方が速かった
〈ご免なさい、山崎さん。これは私の‥---〉
--斬‥‥--
待っていた
--カチャ‥
待っていたのだ
「峯打ちですから。大事ありません。 そこの門兵さん!この人奉行所にでも連れていって下さい。只の酔っ払いですから」
ゆっくりと彼女の方を向く
それは 夢にまで見た‥
【春】
「あれ?可愛いお客さんが居る」
私を日溜まりの中へと導いたその手、瞳、笑顔
全てを、この手で守りたい
その『力』を、私は持っているから
『日溜りの中へ』-終