第二話『dawn』
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カタン、と襖を開けると、眩しい陽光が室内に入り込んでくる。突然暗がりの中に光が差したことで少女は軽く目を細めた。
「不安がることはないぞ、ゆき」
勝っちゃんはゆったりとした笑顔を見せて少女の頭を撫でた。ーー勝っちゃんはこういうときに至極頼もしい。
人を安心させる力を持っていると、思う。
「名前も住んでるところも思い出せたんだ。大丈夫」
元気付けるように、少し乱暴なくらいに頭を撫でて、目線を合わせ
「記憶が戻るまで、落ち着くまで 安心して此処にいていいんだぞ」
にかっ、と大らかに笑う。その大らかさがきっと人を惹きつけるのだろう。
それは少女も例外ではなく、肩の力が抜けていくのが見て取れた。そしてそのまま頭が下がっていき、
「‥よろしく お願い‥します」
ついさっき見たような体勢に逆戻り。俯いた少女の薄い肩は、微かに震えていた。
俺は勝っちゃんと顔を見合わせると、小さく吹き出した。
「本当に泣き虫だな、お前」
震えた声が 肩が、今度はなんだか愛おしく感じられた。
【第二話 END】