第二話『dawn』
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まるで小さな子のように泣く少女の背を、勝っちゃんが優しく叩き 宥めた。流石、“弟分”がいるだけあって、手慣れたものだ。
やっと落ち着いた少女は、なんとなく気恥ずかしいのか 照れ隠しに顔にかかった長い髪を耳にかけた。
「─‥? その首から下げてる銀色のヤツ、何だ?」
ふと少女が首から下げているものに目が留まる。何だろう、銀色のものが黒い皮紐で結ばれている。
「どれどれ、‥‥うむ、何か刻まれてるな」
近くにいた勝っちゃんがそっと覗く。が、眉をしかめたまま停止してしまった。それからそれを近付けたり遠ざけたりしている。
「どうした?」
「読めん」
「とうとう老眼か‥」
「違うわ!!」
不鮮明で字が潰れているんだ!と講義する勝っちゃんを尻目に、少女は自分の首にかかっていたそれをまじまじと見た。
彼女も眉を顰めているのを見る限り、どうやら勝っちゃんが老眼だったわけではなかったらしい。
「!」
「読めたか?」
少女が軽く目を見開いたのを見て尋ねると、少女はゆっくりと大きく頷いた。
「‥‥ゆき。」
ゆっくりと紡がれた言葉に、少女の表情が綻ぶ。
「──それがお前の名か?」
尋ねて、振り返った彼女は さっきまでの表情を払拭して、
「はい!」
出会ってから今まで終ぞ見せなかった 満ち足りたような笑顔を見せた。
あまりにもそれが嬉しそうで、柄にもなく頬が緩む。微笑み返すなんて、最近じゃ商業目的にしか使っていないのに。
そうして気付けば、少女は真っ赤な顔をして俺の顔を見ている。理由が分からず軽く首を傾ければ、更に頬を紅潮させてぱっと目を逸らされてしまった。
熱でもあるのかと思って額を触ろうとすると、勝っちゃんにやんわり手を制された。
「‥‥お前、本当に罪つくりなヤツだな」
「は?」
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