第二話『dawn』
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意図せずして発された言葉は、他の二人だけでなく俺自身をも驚かせた。けれど、何故だろう、それは止まることなく溢れた言葉。
「──お前はお前だ。他でもない、此処で今布団の上で息をしている、それがお前だ」
何故そんなことを言い出したのかはわからない。けれど、繰り返す言葉に、彼女の瞳に色が戻ってくる。
「確かに此処にいる」
「大丈夫だ」
彼女の瞳に光が戻ってくる。胸の奥のざわめきが、妙に凪いでいく。
「今此処に存在している。それがお前と俺たちの全てだ」
それ以外に、それ以上に、存在の証明など要るだろうか。
言う言葉は、何故だろう。自分にも言い聞かせているようだった。
「‥って、俺も何クサいこと言ってん‥」
「っ感動したぞ歳!!!」
我ながら自分で言ったことが恥ずかしくなって、思わず顔を腕で隠そうとするが──その前にガバッと巨体が俺に抱きついてくる。重みで、潰れる。
「おい、苦し‥」
「お前もそういう思いやりを持つように‥!」
「俺は女にはヤサシイんだよ」
言いながら、必死に暑苦しい男の抱擁から逃れようともがいていると、不意に着物の裾が引っ張られるのを感じた。見やると、少女の白い手が布団から伸びている。
「──‥ぁりがとう‥ございます‥‥」
俯き、紡がれた言葉はか細く、震えていた。
俯いたまま顔を上げないのを見て、勝っちゃんと顔を見合わせる。思わず小さな笑みが零れた。
「──泣き虫だな、お前」
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