第十一話『ambition』
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鐘が鳴る
これまでの日々に別れを告げ
これから始まる日々を歓迎する
夜明けから新たに始まる
真っ白な年を
一体何色に染めていこうか
【第十一話 ambition】
師走、というのは、お坊さんが馳せる程忙しい月という意味が由来とも言われているようだけれど──どうやら道場主も忙しいらしい。
「よーし!まずは神棚から綺麗にするぞ!」
ここ試衛館にいる道場主──近藤さんの号令の元、年末の煤払いが執り行われようとしている。駆り出されているのは勿論、食客たち。
「おい左之ー!神棚の掃除はもっと丁寧に‥!」
「おぅよ大丈夫だ!新八が届かないところは俺が責任もってやってやる!」
「‥おーそうかい‥ありがとうよ‥‥っておい!平助どこ行くんだよ!」
「いや、今、可愛いにゃんこが、庭に!」
近藤さんと三人組は、わいわい力を合わせて道場を掃除し。
「‥‥よし」
「おぉ、これはまた見事な松を取ってきたね。──あぁ、総司、墨を摺ってもらえるかな」
「はいはーい御安いご用です!」
土方さんは門松作りに取り掛かり 、山南さん、総司は近藤さんの新年の賀詞の代筆。
そして私は──
「──御事汁、できました!」
芋・牛蒡・人参・豆腐・蒟蒻・豆が入った、事始めの『御事汁』を作る係。
おミツさんに訊いた通り作ってみたものの──味には不安がある。
「えーっと、味は保証しません!」
「潔いなお前」
開き直って宣言すれば土方さんにそう突っ込まれ、それに笑い返すくらいには私も図太くなった。
よし、と膝を打つと、近藤さんは快活な声で辺りの皆に号令をかけた。
「腹が減っては掃除もできぬ!飯にしよう!」
待ってましたとばかりに皆笑顔を浮かべるのを見て、私も笑顔になるのが半分──不安が増すのが半分。
果たして皆の口に合うのかどうか。
そんな不安を知ってか知らずか、土方さんはすれ違い様「さぁ楽しみだ」と楽しげに言う。悔しくてその背中を小突くと、土方さんは笑った。
その一寸後に、土方さん含め皆がこぞっておかわりを求めることになるとは思ってもみなかった。
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