第十話『vitality』
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まずは形から
そう言って始めた剣の道
でも、形から入ったものは
いつかは壁にぶつかる
強いって何だろう
弱いって何だろう
誰よりも力があればいいのだろうか
答えを探してまた
自分の弱さと向き合う
【第十話 vitality】
順調にいっていると思っていた。初めて剣を握った瞬間は零地点だから、少しでも振るえば、力が生まれて、それはこの身に加算されていく。だから、順調に強くなっているのだと、思っていた。
「まだまだぁ‥!」
「もう止しときましょうよ‥!」
お互い同じく疲れきっているのは、もう四半刻近く試合をしているから。やる気が無いのと有るのとは、一本でも取れているか取れていないかの違い。
いくらかわして長期戦に持ち込んでも、一本も取れないのが私の今の実力。決め手に欠けてちゃいつまで経っても勝てはしない。
「──っ!」
苛立ちが募って、痺れを切らして、無鉄砲に踏み出してしまったが最後。総司の射るような目に捕らえられて、その後は呆気ない。
「──面!!」
一発で伸されてしまった。
「面一本!‥‥って、結希~~っ?!」
平助の素っ頓狂な声と、それに続く皆の声が遠くなる意識の中でぼんやりと聞こえた。
強くなりたい、という願いがあった。
それは失われた記憶の中でもなお、確かに残っていた願い。
でも、私はいったいどんな強さが欲しかったんだろう。何の為に強くなりたかったんだろう。どうして強くなりたかったんだろう。
分からなくて、がむしゃらに剣の道に打ち込む毎日。けれど、いつまでたっても本当に“強く”なったと思えない。
がむしゃらに、闇雲に、ただ剣を振るだけじゃ意味がないことに薄々気付いてはいた。けれど、
──それならどうすれば、“強く”なれるのだろう
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