土方さんが、自分語りをしてくれている。


「──だから、‥お前はお前のままでいいんじゃねぇか」


　きっと自分のことを人にさらけ出すのが苦手な人なのに。きっと極力それを避けてきたような人なのに。自分の為に、それをしてくれている。

　さっきまでの自分の狭小さに、情けなくなってしまう。それと同時に──目の前の人が恵んでくれる優しさを有り難く、かけがえのないものに感じる。


「──ごめんなさい。‥私、卑屈になっていた」


　人と比べても仕様のないことなのに。人と人との繋がりは、それぞれにそれぞれの意味と価値があるのに。
　比べられることなど、ありはしないのに。


「ありがとう、土方さん」


──もっともっと、強くなりたい。

　より一層、強く思った。
　
　貴方と出会えたから、歩み出せた。強くなろうと思えた。そしていつだってこうして、背を押してくれる。
　だから、私が強くなれたその時は、きっと貴方の力になりたいと思った。たとえそれが僅かばかりの力だったとしても。少しでも、恩を返したいと、強く願った。


　漸く私が笑うと、土方さんはどこか安堵したような笑顔を返してくれた。




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