第五話『bloom』
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俺がしたのは、足払い。だが、思い切り隙をついたはずが気付かれ、あまつさえ次の瞬間には結希は──物凄い跳躍を見せた。
「びっ‥‥っくりした‥」
度肝を抜かれたのはこっちの方だ。
「‥お前、身軽だな」
「うーん‥」
結希は顎に手をやって考えるような素振りを見せ、首を傾げた。
「なんかピョンピョン跳ぶのが好き?‥みたいな」
「なんだそりゃ」
苦笑して言う。
既に剣を交える雰囲気ではなくなっていた。もう十分力量は測れたから良しとして、俺は竹刀を下ろす。
力は無い。これは女の細腕だから仕方ないとして、その代わり反応は良い。戦闘的な体の捌きはなっていないが、反応が良ければその分飲み込みが早いだろう。
一番問題なのは、体が軽すぎて踏み込みが甘いことで、一方逆にコイツの跳躍力は強みになるだろう。だが──
「‥こりゃあ侍の剣じゃないな」
「え‥?」
力強く踏み込み、覇気で威嚇して重みをぶつける。これが武士の重厚な戦い方と言える。だが、コイツにはその要素が無いのだ。
考えて、ふと顔を上げると、俯いている結希が視界に飛び込んでくる。
──おい‥待て待て、違うぞ
「おい結希、才能が無いとか駄目だとか言ってるんじゃねぇからな!」
「‥え?」
「侍の刀使いよりも身軽さ生かした剣の方が合ってるって話だ。お前は武士じゃねぇんだから、違う道でいいんだよ。」
目線を合わせて言うと、沈んでいた瞳に微かに一筋の光が差したのを感じた。
それを見て自分がほっとするのを感じて、再び自分が浅からぬ情を抱いていることに気付かされる。
──まいったな
「──で、幸いなことに、」
でもまぁ、いいか。と素直に頷いて、俺は我知らず口元を綻ばせていた。
「俺はそういう戦い方と武士の剣との中間に位置してる」
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