第三話『remedy』
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今のところ戻った記憶は、名前と多摩、‥だけかァ」
「‥‥」
「おい、勝っちゃん」
懲りずに結希の気分を落としている勝っちゃんに肘鉄を喰らわせると、勝っちゃんは慌てて結希の方を見た。
「いや!違うんだ! 別に追い込もうっていうんじゃなくてただ確認の意味でだなぁ!」
「はい‥」
「そうそう!一つ作戦を思いついたんだ!」
「‥作戦?」
突然自慢げに腕をくんで胸を張った勝っちゃんに視線が集まると、満面の笑みを浮かべて 言った。
「忘れた時は原点に戻ろう作戦だ!」
----
「‥で、例の場所に行こうってか」
「ものを忘れた時はその場所に戻って記憶を手繰れっていうだろう?」
「単純だなー‥」
ぶつくさ言いながら三人で昨日通った獣道を行く。ふと見やれば、結希はキョロキョロと辺りを見回していた。
──記憶の欠片を探しているのだろう。
失ったものを、取り戻そうと。
「‥辛い記憶もあるかもしれない。引き返してもいいんだぞ」
見回していた視線を俺に戻す。すると結希は二三度瞬きをしてから、躊躇うことなく真っ直ぐに言った。
「いえ、自分のことですから‥ ちゃんと知っておきたいです」
昨日はなかったような 笑顔を浮かべる余裕が今のコイツにはあった。
昨日は不安で満ちていた瞳が、今は揺るぎない。
コイツは、きっと強い。
「‥よし、そろそろ抜けるぞ──」
+