第三話『remedy』
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一つずつ、一つずつ
一歩ずつ、一歩ずつ
ちょっとずつ進めば、ほら
世界が少しずつ表情を変えていく
【第三話 remedy】
生活には何ら支障はない。生活の知識は体に染み着いていたようで、記憶はなくても問題はないようだ。
だが、一つだけ問題があるとすれば
「おい、腕広げろ」
「こうですか?」
「あぁ。‥お前細いなー」
「‥‥っ‥」
「っと悪い、キツかったか?」
華奢な体に内心びくつきながらやっていたが、これでも力を入れすぎだったのだろうか。勝手がなかなか掴めず、少し力を弛める。ーーすると、背後に感じる人の気配。
「‥‥おい歳、お前は何をやってるんだ‥!!」
「え? ──着替えの手伝い」
そう、結希は着物の着方だけまるっと忘れてしまっていたのだ。
「だからって何でお前がやるんだ!!」
「じゃあ他に誰がいるんだよ」
「おミツさんに頼めばいいだろう!!」
「その方が手間だ、堅物」
ぎゃーぎゃー抗議する勝っちゃんを放置してテキパキと結希の着付けを進める。
「どうだ? キツくないか?」
「ぴったりです」
「よし」
「‥‥ちょっと待て歳、お前どうしてそんなに女物の着付け上手いんだ」
仕上げに帯の形を整えていると、勝っちゃんがいちいち問う。なんだ、そんなことか。
ため息一つ。
「そりゃお前、脱がせ慣れりゃあ構造も熟知して‥」
「いや、いい。もういい。結希にそういうこと聞かせるな」
「私?」
お前が言わせたんだろうが、という悪態は飲み込んで、何も分かっていなさそうな結希の頭をくしゃりと撫でた。
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