《第十一輪》



待たないで

信じないで

忘れて


残酷な言葉を繰り返す


心の中で
懺悔の言葉と
更なる罪を重ねながら








《花、時々キミ/第十一輪》







 雲が落ちてきてしまいそうな曇天。振り仰ぎ見ると、途轍もなく広い空が 私を押し潰してしまいそうな感覚をおぼえて、とっさに瞳を強く瞑った。

 今は、“約束の刻限”。場所は、“純”の場所───




(私は、貴方の事を待っています。)

 嘗てそう自分自身が自分自身に誓ったから。


(私は、貴方を信じます。)

 それは無条件な決意だった。


 大丈夫。時がこの想いを昇華することはなかった。“悲しい慣れ”は、偽りだった。
 あの人に対するこの気持ちは──偽りじゃない。消されることのない、薄れることのない、確かな真実だった。

 今も此処に、在り続けるから。


(ねぇ、忘れないで)











 不思議な空だ。
 雲が落ちてきてしまいそうな曇天。振り仰ぎ見ると、途轍もなく広い空が 俺を押し潰してしまいそうな感覚をおぼえて、とっさに両手を高く掲げた。

(いっそ、押し潰してくれ)

 空っぽの心に、“何か”が欲しかった。
 たとえそれが破壊でも、苦しみでも痛みでも──優しさ、以外なら。


(どうか、どうか。押し潰して)

 分からないんだ。すべきことが。見えないんだ、その空の向こうの光が──


(だから、どうか)

 この涙を隠して。




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