utopia
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「‥じいさんになれる時代だから、かな」
「おじいさん?」
「‥そう。今の日本は 過去の生きたくても生きられない時代とは‥違うから」
平助の少し苦しげな表情に、一瞬ドキッとした。
彼が何を想って言っているのかは、私には分からない。
「それに、人生に選択肢があるんだよ。日本には」
「そうなのかな」
「あるある。自分で会社作っちゃう事だって出来るし、海外に飛ぶ事も出来る。頑張りゃあ総理大臣にだってなれるしね」
『総理』とは大きく出たね、と私が少し笑うと、平助も笑った。
「とにかくさ、道がいっぱいあるんだよ。今の俺達には。
だから、その部分“だけ”は良いと思う」
「“だけ”‥?」
「うん。」
平助は、途端 苦しそうな表情をした。
「だってさ、日本にはまだ‥悲しい事件も 多いし‥。精神が豊かだとも‥ 思えないし。 それに、ほら‥」
平助が教室の後ろの方を向いたのを見て、私もそれに倣った。
「世界にはまだ‥、悲しい現実が 沢山あるから」
平助の視線の先にあるのは、世界地図。
「‥俺は欲張りだから、この手に幸せがあるだけじゃ 飽き足らないんだ」
そう言う平助の瞳は 真っ直ぐだった。
眩しくて‥、綺麗だ。
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