cherry blossom
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桜の木に近付くにつれ、次第に花弁が舞い込んでくる。
それと同時に、桜の木の下に 先客の姿があった。
「――‥あ」
“彼”だった。
間に少しだけ沈黙があって、気まずくなる前に 取り敢えず自己紹介。
「えっと‥‥、私、相内「春華さん」」
心臓が、跳ねた。
「でしょう?」
そう言って笑む彼の表情は、今まで見た事も無いくらい 綺麗だった。
何故私の名を知っているのか。それを訊く前に、彼の方から答えた。
「さっき、教室で覚えました」
「――そう‥ですか」
それともう一つ、さっきから気になっている事がある。
「‥‥私達、何処かでお会いした事あります?」
意味の分からない、頭のおかしな奴だと思われても、仕方がないと思っていたのだけれど。
彼は 只、笑った。
それは優しく。それでいて どこか切なげに。
「‥いえ、きっと 初めてでしょう」
「そうですか‥」
私達が、同級生らしくない よそよそしい こんな敬語を使い合ったのは、この日が最後だった。
「私の事は、“総司”って呼んで下さい」
それから、
私は自然と 彼に 惹かれた。
そして、
そうなるのが当然かのように
私達は一番近い存在となった。
【cherry blossom】-END