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――ジャリ‥ジャリ‥ ザッ‥
観光客が沢山居る。
中にはハンドブック片手に三・四人で連んでいる学生も居た。
「――‥ねぇねぇ、土方さん あそことかで俳句考えたりしてたのかなぁ!?」
「うわー!ドキドキだぁ!」
‥なんて嬉々とした会話が聞こえてくる。
女子高生の視線を追うと、そこには建物。見たことがない建物だった。
知らない。
私の知らない、“新しい”モノ。
そうしたら、気付かない内に口を開いていた。
「――‥違う‥よ」
「へ?」
土方さんは本当に隠したがりだったから、私は詠んでいるのを見たことがない。
‥彼女達に不信がられ 驚かれた事は言うまでもないけれど、そんな事は、もう 良い。
もう 止まらない。
「何見てるんですか?沖田さん」
「あぁ、コレですか?」
「豊 玉‥発句集?」
「えぇ。ふふふ、身の安全の為にもう作者は誰か明かせないですけどね」
「?はあ‥」
そっか。いつかのあの句集、土方さんのだったんですね。
それを切欠に、色んな記憶が溢れ出した。
『生きて‥下さい。‥決して‥自ら命を断たないと‥約束、して‥』
『‥っ‥貴方に、逢いたい‥っ! もう‥一度、また、貴方に‥っ!』
『―――‥私も‥、貴女に‥逢いたい‥っ』
『‥‥‥好き‥です』
『‥‥えぇ‥私も‥ですよ』
『愛してる』
「‥っ ぅ‥ぅ‥‥っ」
泣くな。泣くな。
まだ“彼”に言っていない。
言わなければならない、幾つかの言葉。
瞬間、風が吹いた。
懐かしい、愛おしい、風が。
「春華さん」
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