whereabouts
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いつかもこうして走っていた。
‥“いつか”なんて白々しい。
もう、分かっている。
『慶応三年 十一月十八日』
あの時もこうして、“在るべき場所”を目指して、ひたすらに走っていた。
「っ‥、はっ‥はぁ‥はぁ‥」
胸が張り裂けそうに痛い。
走っていたせいなのか、それとも他の別な理由なのかは分からない。
もう、どちらでも良い。
この確かな痛みが、今生きているという証だから。
足はずっと前に進んでいき、止まらない。
町並みは確かに“あの時”と変わった筈なのに、何の迷いもなく進む。
きっと、本能が叫んでいるから。
「―――‥‥ぁ‥」
思わず、足を止められた。
(――此処‥は‥)
小さな漬け物屋の曲がり角の先、細く続く路地。
私はこの道の先を知っている。
私は黙って路地の方に足先を向け、今度はゆっくり 歩き始めた。
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